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第六十六話 天才とは平凡という意味でもある

低文章。低文字数。いまだに上達しない自分ではありますが、頑張りたいと思います。

 カン、カンと金属同士が衝突する音が延々と響く。目の前にある釜の中には見るだけで体が燃えそうになるほどの迫力が出ている。

 そんな中で、延々と響く音はなにも知らない人にとっては拷問に近い。が、男は文句も言わずただ延々と右手に持った先端に半透明のクリスタルが取り付けられた一メートルほどの棒、ハンマーを降り上げ火に強いドラゴンの皮手袋をはめた左手で、押さえてある長方形の鉄の塊めがけて降り下ろす。そんな動作が小一時間続いていただろうか。ふと、何かの気配を察し顔を上げ後ろを振り向くと一人の男がこちらをじっと見つめていた。


 「きてたんかい……」


 右手に持っていたハンマーを降り下ろすのをやめ、床に置く。床に置く瞬間にゴン、という音が響く限り、ハンマーの重量は相当なものであることが予測できた。


 「まあな。さっきから扉の前でずっと呼んでたんだけどよ。一向に返事がないから勝手に入ってきちまったぜ。わるいな」


 すると、つい先ほどまでハンマーを降り下ろしていた男は鼻をフン、と鳴らした。


 「思ってもねえことをいってんじゃねえ。さっさと用件を言いな、テイルよ」


 そう言って男は立ち上がった。ハンマーを引きずるようにしてそばの壁に立てかける。


 「ちぇっ、言ってくれるぜ。せっかく客がきたってのにさ。もうちょいましな言い方ねえのかよ、バンスの親方」


 「客なら客らしく表で待ってるんだな。それに、俺の名前はバンスじゃねえ。バ・ン・ズだ!」


 バンスならぬバンズと言われる親方は、憎たらしげにテイルを見ると横を通り抜け扉を開けた。扉を開けた先には木の板に羊毛を入れた布を置いただけの粗末なベッドに、椅子が二つと小さな円形状のテーブルが一つのみ。

 机の上には数え切れないほどの酒瓶が置かれており、床は食べ物の残りかすで汚れきっていた。

 ベッドもいい勝負だ。もとは上質であったろう布も今では色褪せて黄色く変色している。バンズはいすの背もたれにかけてあった汚い布をとり顔の汗を拭うとベッドに腰掛けテーブルにおいてあった酒瓶をとるとそのまま飲み始めた。


 「また酒かよ。いいかげんにしねえと体に悪いぜ?」


 後から入ってきたテイルが部屋の様子を見て汚ねえな〜、とぼやいた。


 「んぐっ、…ふん。てめえにいわれる筋合いはねえよ。で、今日は何のようできた?まさか、わざわざ俺の顔を見るためにきた訳じゃあるまい」


 「ああ、ちょいと仕事の依頼できたんだ。内容は剣の製造。大小さまざまな剣を約三百本ほど作ってほしい。あと、あれで作ってある短剣も何本かな」


 テイルがここに来たのは前回のミルテリスとの戦闘の際に使ってしまった剣の補充だった。この工房は流浪民街にある寂れた工房なのだが、テイルは剣を作るときは必ずここで作っているのだ。




 バンズーレ工房、それがこの工房の名前だ。バンズーレとはバンズの息子の名前だったらしい。その名前がつけられているのだ。

 開業は今から約三十年前ほど。最初は鍋やフライパンなどの小物類の修理を全般に承っていたらしいのだが、17年前ほどに起きた戦争で剣を作り初めて以来、今まで剣を作り続けているらしい。

 テイルがこの工房の存在を知ったきっかけは校長だった。レイディアント学園に入学したとき、アシルにはまだ武器というものがなかった。 




 「…………また無駄遣いしやがったな。ちょっと前に作ってやったばっかりだろうが!何に使いやがった」


 「いや、ちょいと女相手にね」


 すると、バンズは信じられないと顔を横に振った。


 「んなばかな。女があれを受けきれるほどの強い奴がこの国にいんのか?国王直属の部下でないかぎりんなこたないはずだぞ」


 「知らねえよ。俺だってびっくりなんだからさ。ま、そんなことより剣の製造よろしく頼んだぜ。金は置いとくから」


 懐から茶色の布袋を取り出し机の上に無造作に置く。丸く膨らん布袋はレイオスがみれば小躍りするぐらいの銀貨が入っていた。


 「………一ヶ月じゃねえ、二週間で終わらせてやる」


 「おう、ありがとな。親方」


 「親方じゃねえ、バンズだ!」


 「へいへい」


 適当に相づちを打つと、テイルは立ち上がって工房をでていった。




















 「ヴォルカニックランス、シルフィードランス、アクアレイドサーライズ!」


 

 「っ、ヴォルカニック・ランス!」


 三つの属性が付加された三本の矢に向かって、銃に魔力を込め魔術を解き放つ。だが、一つ二つと消したものの三つ目の水属性の魔術によってかきけされてしまう。アシルは勢いが弱まりつつも自分に襲いかかってくる水のチャクラムをよけると牽制代わりに乱射すると横道に逃げ込んだ。


 「ふははは、どうした。威勢がいいのは口だけか!」


 禿頭の魔術師が勝ち誇ったように笑う。


 「自分は慎重なタイプなんでね」


 といいつつ、相手の性格や技、癖や特徴を掴みとり始める。




 (アスネースの使い手かな……下級魔術を三発連続、威力はあまりないけど使い方がうまいな〜。頭はまあまあいい、と。体力はなさそうだね、あそこから動かないし。あとは………………禿げてるな〜〜、どうなったらあそこまで禿げるんだろうあの頭)


 最後の方はあからさまに特徴でも何でもないが、そんなことは別にどうでもいい。うん、どうでもいい。


 「どうしたどうした!天才である我におそれをなしたか?!」


 アシル・ホーネンスが横道からでないためか、調子に乗って魔術を連発する。火に水に風、この三つを順序よく打ち出し威嚇する。




  その時だった。


 (……………お前が天才?なら、なら、何故僕はあいつに………!)


 天才という単語にアシルの頭の中である記憶が呼び起こされる。その記憶はアシルがある男と戦った記憶、そいつは天才でもなくましてや才能があるわけでもなかった。

 





 なのに、天才と呼ばれていた自分に勝った。










 拳に力がこもる。銃を握る手が悲鳴を上げる。それほど、天才という言葉がアシルの心に突き刺さる。




 「はん、一向にでてこないとはな。私が天才と聞いて腰が抜けたのか?」


 

 天才、天才天才天才天才。


 なにが、天才なんだ。頭がいいから?力が強いから?他の人より優れているから?






 …………腹が立つ!





 「ハハハハッ…………ハ?」


 瞬間、突如として感じた魔力の放出に高笑いをしていた魔術師は固まった。








 銃を握れ、怒りを抑えろ。感情を表に出すな。


 「あなたが天才かどうかはしれない。けどね…………」


 


 頭を動かせ、考えろ、怒りはなにも生みはしない。



 「天才、っていう言葉は安易に使っていいもんじゃ……」



 唱えろ、唱えろ。唱えろ。


 「ないんだ!」


 魔力が急激にアシルの両手に握られていた銃に吸収される。異変に気づいた禿頭の魔術師が自分の前方を覆うように防壁を作り出す。が、アシルが銃を魔術師に向かって放った瞬間、魔力で作られた防壁が音もなく崩れさった。


 「なっ!?」


 魔術師が驚愕する。だが、すぐに我に戻りアスネースを行い火、水、風の矢を各二本ずつ生みだしアシルに向けて放つ。しかし、それさえもアシルの銃から放たれる不可解な魔力によってたどりつく前にかき消されてしまう。

 男に初めて恐怖が芽生えた。今まで魔法魔術学園レイディアンと学園で魔術を学び、主席とはいかないものの優秀な成績を残して卒業できた。そのおかげで今あるバッテラ氏の所へ転がり込むことができたのだ。それからは流浪民相手に魔術を使う日々。ただの人間が自分にかなうはずもなく今まで負けたことは一度もなかった。それぐらい、自分が習得したアスネースには自信があったのだ。なのに、目の前の少年はその上をいくほどの力を持って自分に襲いかかっている。恐怖、ただ恐怖だ。年下、それもまだ幼さの残る顔を持つ少年に魔術に関しては人一倍修業を積んでいた自分が負ける。



 いやだ、いやだいやだいやだ!


 「いやだああああああああああああ!!」


 何かが男の頭の中で切れた。それと同時に男の体の中から大量の魔力が放出される。


 「っ?!」


 頭の中で危険だという信号が発せられ、アシルの体を押し戻す。


 「小僧!! 今からいいものを見せてやる。ある方より教えていただいたこの魔術を! 私を怒らせてたことを後悔させてやるぞ。国取りの第一歩だ。まずはお前を消してやる!! ハハッ、ハハハハハハヒョアアアァァ!!」


 瞬間、はげ頭の魔術師が自分の胸に手を置いた。


 「カンタンネエテスラソエヨクナアウヤ ヲリネテコロワオトイトモイ!」


 聞いたこともない言語が魔術師の声から流れるように出た。すると、魔術師から放出された魔力が徐々に何かの形を成していく。が、








 「………………遅い」


 自身の一番得意な火属性の一撃。禿頭が何かを唱えた際に銃に魔力をため込んでいたものを禿頭の脳天に直撃させた。


 「ぎゃひっ!?」


 圧縮された火の一撃を受け魔術師はその場で気絶した。


 「よくわからないけど、そんなに時間のかかる魔術は対一の戦闘では向かないよ。どれだけ強い魔術だろうとね……」


 腰にあるホルダーに銃をおさめる。そして、別れる前に確認したレムエムがいった方角を見つけるとその場を後にした。















 ちなみに、余談ではあるが工房から帰ってきたテイルがラピスにシルフィード・ランスをぶつけられたらしいのだが今のレイオス達には知る由もない。


 


 

今回、天才という言葉に疑問を持ち急遽作ってしまいました。


あまりにもことの進み具合が遅いですが、それでもいいという方は温かく見守ってくれるとうれしいです。m(_ _)m また、今回は終わり方もあっさりしています。自分なりに早く物語りを進ませようと思ったらこうなってしまいました。( ゜∀゜)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \


orz

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