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第五話 旅立ち

 『レイオス起きろ……』


 何かの声が聞こえる。それと同時に、顔に何かもふもふしたものが押し付けられるのを肌で感じた。


 『起きろといっとるだろうが!』


 声が大きくなる。もう少し寝かせてほしいと小声でレイオスは訴えるが、声の大きさは逆に大きくなった。


 『起きろと言ってるのがわからんのかあ!!』


 「……って、痛い痛い痛い!!」


 顔にとてつもない痛みを感じ、ベットから転げ落ちてしまった。


 「いててて……。おい、一体何すんだよレムエム!!」


 ふさふさした謎の物体――レムエムはすました顔でこう言った。


 「お、やっと起きたか」


 「やっと起きたかじゃねえよ……」


 ぶつくさ文句を言いながら、レムエムに噛まれたところを手で触ってみる。すると、そこから生温かいモノがあふれていた。


 「うわ……、血が出てる。もう少しましな起こし方はできないのか?」


 噛まれたところに回復魔法をかける。朝から不幸が起こる日はたいがい、その日一日はとてつもなく不幸な日となるのがレイオスの考えだった。


 (こんな目にあうとは・・・・・。今日も厄日かもしれんな……)


 「そんな事を言っていていいのか? あの小娘はもう起きておるぞ。下の階でお前が起きるのを待っている。早くしないと何をしでかすかわからんから、こうして起こしに来たのだ」


 時間を確かめると、まだ朝の4時だった。年寄りではないのだから、もう少し遅く起きてほしいものだ。


 (起きるのがはええよ……あの女も。レムエムも)


 そう文句を言いながらレイオスは、着替えて下の階へと降りて行った。





 「あ、やっと起きたのね。悪いとは思ったけど、勝手に貯蔵庫の中から干し肉を貰ったわよ」


 これが、ラピスの、レイオスに対する一声だった。


 (こいつ、悪いと思ってるなら、勝手に取っていくなよな)


 そう思いつつも、冷静を装い、ラピスの前に座る。


 そして、なぜここに来たのか問いただした。


 「あんたに、用があったのよ。『ラスカの一匹狼』の異名を持つレイオス・ウォーリア、あんたにね」


 ラスカの一匹狼―それは、賞金首になった時につけられたもう一つの名前だった。なぜラスカというと、この森の名前がラスカだからである。そして、このラスカの森にはレイオスひとりしか人間がいないので、一匹狼といわれていたのだ。それをもじって、ラスカの一匹狼というわけである。


 「で、何の用だ? 俺を捕まえに来たなら、あきらめろ。俺は捕まるつもりはないからな……って、干し肉を食うのをやめろ!」


 人が話しているときに、ものを食べる、普通、初対面の人に向かってすることじゃない。なのにラピスときたら…………この際、ぺったんこ女でいいな。この女は、干し肉を食うどころか、自分が大切に作っておいたミズベリーのアストロ添えを勝手に食ってやがる。あれは作るのに、一か月を要するのに…………


 「いいひゃないの、どうせ……んぐ、減るもんでもないんだしさ。あと、今何か悪口言った?」


 「減るわ!そして言ってない!」


 「あ、そうなの?」


 だめだ……。こいつと話してると頭が痛くなってくる。さっさと、用件だけ聞いて帰ってもらわなければ…………


 「で、あんたは何でここに来たんだ?」


 やっと、ミズベリーのアストロ添えを食べ終わったラピスに、問いかけた。


 「えっとね、あんたに魔法魔術学校、レイディアント学園に来てもらいたくて、ここに来たのよ。じゃなきゃ、こんなど田舎に来るわけないじゃない」


 「へえ、そう………………って、えええええええええええええええええええ!?」


 ラピスがあっさり言った、一言にレイオスは驚愕した(ど田舎に驚愕したのではない)。それもそのはず。魔法魔術学校レイディアント学園とは、魔法学校の中でも、1位2位を争う名門学校である。そして、その学校に入学できるのは、ヴァシリア王国の国民と、ほかの国から、数名だけである。


 その学校から、入学の誘いがきたのだ。レイオスも、驚きを隠せなかった。


 「レイディアントか……魔術や魔法を記した本がある図書館も世界二位の大きさだったと本で見たことがある。禁術も見れるんだよな。確か、飯もうまいとか。それに学校からお小遣いが出るって聞いたことあるぞ」


 「あんた、何気に結構詳しいのね。そんなに詳しいなら、入って。あと、こづかいは出ないわよ」


 「出ないのかお金……。いや、入りたいのはやまやまなんだが……」


 「なんで?入りたいのなら入ればいいじゃない。それとも、何か理由があるわけ?」


 確かに、レイオスには理由がある。レイオスは、このラスカの森の一応番人である。レイオスがいなくなったら、この森を守る者がいなくなる。そうなると、盗賊やギルドの連中が森を荒らすのは目に見えている。


 (さて、どうしたものか…………)


 (別に、行っていいではないか。我も久しぶりに外の町に行ってみたいぞ)


 (何を言うのかと思いえば……、じゃあどうすんだよ、森の管理は)


 (この森に棲むほかの精霊達に守ってもらえばいいだろう。我が訳をいえば、承諾してくれるはずだ)


 「ちょっと、あんた、なにぶつぶつ独り言、言ってんのよ」


 (やべ……)


レイオスと話すのに夢中になりすぎた。レムエムは、他の人には姿を見せないようにしているのだ。レムエム曰く、


 『男は姿を見せないほうがかっこいい』らしい。


 「とにかく、入るの、入らないの?どっちかサッサと決めてよね。私も忙しいんだし」


 あまり余裕はなかった。ラピスはどちらでもいいらしい。入ろうが、入らないが。


 (レムエム、本当にいいんだな)


 姿を消しているレムエムに向かって、問いかける。


 (うむ)


 レムエムから帰ってきた言葉はそれだけだった。しかし、その一言でレイオスの心はきまった。





 「わかった。俺、レイディアント学園に行くよ」


すいません。まだ魔術講座の用意ができていません。出来次第、すぐに出しますので許してください。


<(_ _)>



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