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第四十九話 戦神の太刀〜我は力を求む〜

 「ブルアアアアアアアアアアア!!」


 私が召還した魔族の中でも最下級の魔族、バーサーカー。狂戦士とも言うこいつは、魔族が人を実験に用いたときに失敗作として生まれる出来損ないの産物。だが、普通の人間相手では比べものにならないほどの力を持っている。それがバーサーカーだ。

 私が使役しているこのバーサーカーは、生前は名の知れた戦士だったらしい。だが、生前の時でも人を殺すことに快感を覚える変態だったらしいが。そのためか、ふつうのバーサーカーより殺傷能力が高く本来のバーサーカーにはない知恵が多少なりとついている。そして、このバーサーカーとは私が小さい頃から使役しているバーサーカーだ。信頼、という点でなら右にでる者はいないと私は自負している。ほかのバーサーカーより意志の疎通が早く、そして主人の命を守るために自分の命を賭けてまでも仕えるその頑固たる意志。そして、知恵があるからこそ武器を使える。普通だったら素手で戦うのが基本、だがこいつは斬岩刀という切り傷等を与える物より砕く、ほうに特化している武器だ。

 また、私のバーサーカーには特別に防具も取り付けさせている。多少の魔術なら逆に跳ね返してしまう代物だ。


 「ブルアアアアアアアアアア!!」


 バーサーカーがまた吼える。召還したのに肝心の相手が業火の海の中に潜り込んででてこないからだろう。額にはいくつもの筋が浮かび、口からは涎がこぼれる。しかし、あの青い髪の男が作りだした竜巻の目はバーサーカーが入るにはいささか小さすぎる。これでは業火の海にふれて逆にけがを負ってしまうかもしれない。青い髪の男がでてくるまで待つしかないわね……。私の魔力もかなりなくなってしまったから今、戦うのは危険だし。



 と、憶測を張り巡らせていたときだった。突然、何か得体の知れない力が私を、いやこのドーム一体を覆った。体が重くなり、息が荒くなる。


 「こ……れは!?」


 手を胸に添え、魔力を直接心臓に流し込み血液の循環を強化する。


 (私は……知ってる?この力を……)


 得体の知れない力?いや、違う。魔力?それも違う。氣?これでもない。これは…………これは……!



 「ブルアアアアアアアアア!!」


 そのとき、バーサーカーが吼えた。自分にたたきつけられる得体の知れない力に怒りを覚え、そして自分の主であるミルテリスに危害を加えようとする者に死を与えようと。

 バーサーカーが動き出した。竜巻の目にいるであろうテイルに向かって、翼を大きく広げると両腕を振り上げ襲いかかる。


 「だめよ、バーサーカー!ぐっ、……も…どりなさい!」


 体が言うことを聞かない……!この力、いや、これは……


 「バーサーカー、その殺気に近づいてはだめ!」


 だが、ミルテリスの言葉はバーサーカーの耳に届くことはなかった。







 小ぶりの、柄頭に八角形の宝石がついた短剣。それが竜巻の目から現れ、一瞬にしてバーサーカーの右翼の付け根上部に突き刺さった。何の変哲もないただの短剣、だがバーサーカーがその短剣に一瞬だけ注意が向く。たったそれだけ。そう、それだけなのだ。



 それだけで、








 「三の太刀、短華・連極」


 テイルが、バーサーカーの背後にいた。ずっとバーサーカーのことをみていたミルテリスでもテイルがバーサーカーの背後に移動するのを確認することはできなかった。とてつもない速さ、そして先ほどまで考えられないほどの殺気を発していたはずなのにその殺気を、見事なまでに消している感情の支配。これは、一年やそこらで身に付くものじゃない。ましてや、平和なこの時代では身につけることのできない熟練された戦士のなせる技だ。


 テイルが二つ目の、先ほどと同じ形状の短剣を右翼の付け根下部に刺した。バーサーカーが悲鳴を上げる。

 右腕を後ろに振り回し、テイルを追い払おうとするがすぐに大剣ガリオンを抜いていたテイルは大剣ガリオンを盾に、バーサーカーの攻撃を受けるとその力を利用して空中を飛びドームの横壁まで移動するとどこからか取り出したのかラズボレイという、厳つい名前とは裏腹にとても細くて弾力のある片手槍を横壁に投げつけそれを足場にしてまた上空へと飛翔した。

 そして、さきほどのラズボレイと同じようにどこからか一つ目と二つ目と同じ形の短剣を取り出すと今度は右翼の付け根中部に突き刺した。バーサーカーがまたもや痛みで悲鳴を上げる。


 「ヲン・ツー・スレ、連極三双・斬華!」


 起動言語を唱える。




 ヲンで右翼の付け根上部に刺した短剣の柄頭に取り付けられた八角形の宝石が白く輝き出す。


 ツーで右翼の付け根下部に刺した短剣の柄頭に取り付けられた八角形の宝石が青く輝き出す。


 スレで右翼の付け根中部に刺した短剣の柄頭に取り付けられた八角形の宝石が赤く輝き出す。


 瞬間、バーサーカーが短剣を引き抜こうとするまもなく右翼が切り裂かれ、そして爆発した。


 「ブルアアアアアアアアア!!?」


 「なっ!?ば、バーサーカー!!」


 右翼が無くなってしまったことで空中を飛ぶことを維持することが難しくなったバーサーカーが驚きの悲鳴を上げながら落ちてゆく。ミルテリスが急いでバーサーカーを助けようと闇の翼を大きく広げ飛ぶが、それよりも早くバーサーカーは業火の海の中へと落ちていった。


 「ブルアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ…………」


 何が起きたのかわからない、そんな顔でバーサーカーが消えていった。あと、もう少し。あとほんの少し早く、私が動くのが速ければバーサーカーを助けられたかも知れなかった。私が物心ついたときから、いつもそばにいたバーサーカーだった。そのバーサーカーが、バーサーカーが……


 「貴様ーー!!」


 ドームの天井にある突起部分を掴み大剣ガリオンを背にしまおうとしていたテイルに向かって闇の剣を投げつける。だが、ミルテリスが闇の剣を投げつけた瞬間、テイルは突起部分から手を離し真下にあった竜巻の目の中にまたもやは入り込んでしまった。


 「くっ…………!あの男、よくもバーサーカーを……!」


 突起部分に突き刺さった闇の剣を引き抜き、竜巻の目の中にいるテイルに悪態をつく。魔術を使おうにも、魔力がまだ足りないしバーサーカーがいなくなってしまった今、戦力的にも不十分だ。それに、ツヴァイト・レグレーベンとの戦いの中では隠していたがそろそろ、いやもう体の主導権が限界にきている。ここはひとまず隠れなければ……


 闇の剣を握る手が痙攣を起こし始める。躊躇している場合じゃないわね……そう感じたミルテリスは、この場から逃げようと闇の翼を大きく羽ばたかせ入り口へ向かった。 




 だが、流れはもう傾いている。





 




 「おいおい、逃げる気かよ。つれねえな」


 入り口の所から声が聞こえた。まだ、業火の海で覆われていてその場所にいることはできないはずなのに。


 「実際の所はよ、何が起きたかさっぱりなんだけどな。だが…………暴れるだけ暴れてはいさよなら、ってのが気に入らねえ」


 ゆっくりと、とてもゆっくりとだが業火の海が消え始める。それと同時に業火の中から黒い影がゆっくりとミルテリスに向かって歩き始めた。


 「何者かは知らねえが……さっきの化け物といい、この業火の海といい、お前をこっから出してしまったら大変なことになりそうだぜ」


 業火の海が消えるにつれて、影の正体が明らかになる。いや、ミルテリスはこの声を、そしてこのシルエットを知っている。なにせ……


 「くっ…………青い髪の男……!」


 業火の海から現れたテイル。背後にある業火の妖しい光がテイルを照らし、よりいっそうテイルの体が怪しく見える。


 「ってことで、お前をここから出すわけにはいかねえ」



 大剣ガリオンを抜く。そして、ミルテリスに突きつけた。
















 「俺の名はテイル・ロスウェー!推して推して推して参る!」












皆様こんにちは〜、このごろ執筆意欲がわき始めているイソです"(  ´   ▽   `  )ノ"ちわぁ


え〜、前回、金曜日ごろに更新すると言っていたんですが諸々の事情により今日更新してしまいました。申し訳ございません!

 

せっかく執筆意欲がわいているのに、時間というものは刻々と過ぎていく……(´Д`|||) ドヨーン はあ、7月も学校の行事でいっぱいだ……。

 ただ、今週だけでストックが二個ほどたまっているんで更新はちゃんとやりますです!ぜひ見ていってください。

 

 それじゃあ、サヨーナラー(_´Д`)ノ~~.。・:*:・゜`☆、。・:*:・゜`★*

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