第四十四話 過去の思い出
砂塵と化して消えていったエディスト・ハウレグスを見てミルテリスはため息をついた。
「はあ〜〜、何よ、もう終わり?あの絶望的な条件の中で活路を見いだすのが正義の力って奴でしょ。これじゃあ、私が出てきた意味がないじゃない」
完全に消えてしまったエディスト・ハウレグスをあざけるかのようにミルテリスは右手の剣をぶんぶんと振り回す。端から見れば、無邪気な子供がおもちゃを持って遊んでいるようにも見えなくはない。だが、黒い剣を振る度に剣圧のせいで突風が起こり周りを破壊していく様は、無邪気な子供とはほど遠い。
「むううううううう〜〜〜〜〜、暇、暇よ!エディスト・ハウレグスの若僧、めちゃくちゃ弱いから時間が余ったじゃないの。なんであんな弱いのよ、前より弱くなってなかったかしらあの若僧。どうせ、四千年もこんな地下にひきこもってたからあんな弱くなったんでしょうけど」
少しの間、腹いせに衝撃派を放ち周りの地面を抉って遊ぶ。だが、それもすぐに飽きてしまい、ミルテリスはまた大きなため息をついた。
「………………休憩しよ」
そういうと、ミルテリスは右手に纏っていた黒い剣を消してその場に寝ころんだ。だが、寝ころんだといっても闇の魔力を背中にためて地上から数センチ浮いた状態で寝ころんでいる。
ミルテリスは空を見上げ、耳を澄ました。さっきまでの戦闘が嘘のように静かで、頬をなでるそよ風は四千年前に感じた風と同じようにミルテリスを優しく包んだ。
「…………あれから、四千年もたってしまったのね」
右手を持ち上げ、太陽からの暖かい光が顔に降り注ぐのを遮るように右手をかざす。
「懐かしいわ、この感じ。まさか、四千年もたってようやく復活できるとは思わなかったわ」
四千年前、ミルテリスはある大罪を起こしてしまい、封印されてしまった。封印を施したのは、エディスト・ハウレグスが仕える地を統べる命の王、ツヴァイト・レグレーベンを含めた六体の精霊達。どの精霊達も、ミルテリスに劣らぬ魔力と力を持ち四千年前から存在している者達だ。
「……っ。………………やっぱり、限界があるか」
昔のことを思い出していたときだった。突然、ミルテリスの身体に痙攣し、電流を流されたように身体に鋭い痛みが走る。
「まだ、完全じゃないみたいね。まあ、レイオスの命の危険が迫ったときに一時的に封印が弱まっただけだから仕方ないか」
痛みが収まる。どうやら、痛みが発生するには時間差があるようだ。
ミルテリスは立ち上がると手、足、身体全体を動かしてみた。少々鈍い痛みがはしるものの、戦闘には影響はなさそうだとミルテリスは感じる。
「さ〜〜てと、最後に懐かしい奴に会いに行くかなあ。運が良ければ、倒せちゃったりして」
そういうと、ミルテリスは意識を集中させた。すると、周りの魔力がミルテリスの闇の翼に吸収され、翼が巨大化する。
「レイオス、ほんの少しだけだけど手助けしてあげるわ。ついでに、力を残しておいてあげる。あなたの特異体質と合わされば強力な力になるはずよ」
胸に手を押しつけ、今は眠っているレイオスに話しかける。エディスト・ハウレグスの時とは違い、優しい表情になり、微かにだが口元がゆるむ。
「さて、行きますか!お爺、いや、ツヴァイト・レグレーベン。今会いに行ってあげるわ」
跳躍。力を入れたそぶりはなかったのに一瞬にしてミルテリスが空へと舞い上がる。そして、翼を広げるとツヴァイト・レグレーベンの魔力が感じられる場所を探し始めるのであった。
「………………あれ、なんか忘れてなかったかしら?…………ま、いいか」
「レイラ、しっかりしなさい!早く、こっからでて助けを呼ぶのよ!」
「も、もうだめ…………。あ、足が動かないです〜〜……」
「ああ、もう!こうなったら、力ずくでもつれていくわ!」
「あ、ありがとうございます。ラピスさ…………きゃっ!ちょ、ちょっと、ら、ラピスさん!?変なところをさわらないでください!」
「胸を触られたぐらい、別にいいじゃない!こんな大きい胸を持ちやがって…………!」
「あ、あの、ラピスさん?か、顔が怖いです!っていうか、手をワキワキして近づいてこないでください!助けを呼ぶんじゃないんですか!」
「ふふふふふふふ、こうなったら揉んで揉んで揉み尽くしてその胸を小さくしてやるわーーーーー!!」
「きゃあああああああーーーーー!!?」
ミルテリスがツヴァイト・レグレーベンを探し始めたと同時、地下迷宮のとある場所で二人の女性がピンク色の戦いを繰り広げていることなど、その二人以外、誰も知る由もない…………
皆さんこんにゃにゃちわ〜〜、もうすぐテストが始まってしまうことで有名な(?)イソです"( ´ ▽ ` )ノ"ちわぁ
文字数が少ない?…………な、なんのことやら(汗
まあ、週一更新にしたおかげでストックがたまってきているんでガバッと溜まったら毎日更新などをやりたいな〜と思っています。まあ、たくさんたまったらですが……
あ〜、早くコメディーをかきたい!戦闘描写よりコメディーのほうが好きなんです実際。(おい
まあ、もう少しなんでもう少々お待ちくださいです!
それでは、さいなら!