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第三十九話 圧倒的な力

 「さて、どうしましょうか」


 秘密の草原アデスト、ツヴァイト・レグレーベンが作り出したその場所にエディスト・ハウレグスはきていた。来ていたといっても、地面の中にいるので来ていたという言葉はおかしいかもしれない。


 「今から一番近いのは光と闇の者ですか。……しかし、ほかの二人と違って少々手こずりそうですね。戦っている間に、ほかの二人が逃げてしまうかもしれません」


 そう言って、地面と直結している無数の草から光と闇の者、レイオス・ウォーリアを見る。


 「漆黒の髪に鋭い獣眼、そして、古代武器ですか。なるほどなるほど」 


 レイオスの容姿と所有している武器を見て、納得する。


 「強いですね」


 ツヴァイト・レグレーベンがエディスト・ハウレグスに命令したのは水、風、光、闇の者達の拘束、または始末だ。ツヴァイト・レグレーベンは特にどちらかを強要したわけではないので、どちらかを選ぶかはエディスト・ハウレグスの自由だ。


 「…………拘束は簡単ですが、拘束しても素直にあきらめる人たちではなさそうですね」


 ほかの二人の容姿も、地面と直結している草を通して見る。一人は燃えるような赤い髪で、とても活発そうなの女性。もう一人は驚くほど青い髪で、とてもか弱そうな女性。


 「…………早くすませるなら風の方を先に行った方がいいかもしれませんね。ただ、少しでも障害のある水の女性を先に倒した方が成功率は確実なものになるかもしれません。さて、どうしたものか」


 そう言ってはいるが、特に悩んでいる素振りも見せず少しほほえみながらエディスト・ハウレグスは考えていた。


 「ふむ、それじゃあ先に水の方にいきますか。なぜかはわかりませんが、風の方は疲れそうですしね」


 意味がよくわからない理由を言うと、エディスト・ハウレグスはその場から消えるようにしてレイラのところへと向かっていった。



 








 レイラの悲鳴が草原中に響いたのは、レイオス達が別れてから数分もたっていない短い時間だった。


 「今の声は!?」


 レイラと反対方向を散策していたレイオスが悲鳴を聞き、レイラの元へと走り出す。


 「有限なる海に宿りし海竜の生み子よ 悪しき敵をかみ砕け!」


 前方からかすかにだがレイラの声が聞こえた。


 (誰かに襲われてるのか!?)


 走るスピードを早める。足に魔力を流し込み、常人の肉眼からではレイオスの姿が見えないほど限界に近いスピードでレイラの元へと向かった。








 杖を敵に向けて、呪文を唱える。杖の先端に取り付けられた蒼い魔力石が輝き、魔力を増幅させた。


 「アクアマーレ・ドラガズレイン!!」


 唱え終わった瞬間、レイラの目の前に魔術陣が広がる。レイラがその魔術陣に杖を当てると、魔術陣から水で形作られた竜が現れ、敵をかみ砕こうと襲いかかった。


 「ふむ、地の精霊に邪魔されているのにこの魔力。なかなか、あなどれませんね」


 だが、琥珀色の髪をした男はそう言うと、まるで虫を払うように軽く、とても軽く手を横に振った。


 「えっ!?」


 たったそれだけ、たったそれだけの行動でレイラの上級魔術が霧のように霧散していった。


 レイラは信じられない思いで、琥珀色の髪をした男を見た。見た目は、普通の人間と何ら変わりないのに上級魔術を一瞬で破壊する力を持つ男。


 レイラの上級魔術は、この領域すべてに存在する地の精霊によって魔力を押さえつけられている。ラピスが魔術を使えなかったのも、この精霊達による者が原因だ。だが、地と相性が悪いラピスが持つ風属性と違いレイラは比較的相性がいい水の属性を持っている。だから、魔術が使えたのだ。つまり、たとえ魔力を押さえられているといっても今の魔力なら上級魔術でも中級魔術程度の力ならあるはず。中級魔術は普通の一軒家を破壊するぐらいの力は持っている。つまり、どんなに力があってもただの人間が片手ではじくことはでいないはずなのだ。


 「なのに、ど、どうして!?」


 レイラが少し後ろに後ずさった。その瞬間、琥珀色の髪をした男がレイラをにらみつけた。進入者を排除するため、主からの命令を守るため、レイラを睨みつける。


 恐怖で足がすくんだ。琥珀色をした男は睨みつけるのをやめて少しの間、魔術をはじいた右手をさすっていたが、さするのをやめレイラに向かって歩きだした。


 (に、逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ!う、動いて私の足!)


 だが、動かない。力を入れようとするも、あまりの恐怖に体に力が入らない。


 「できるのであれば殺したくはなかったが、命令であれば仕方ない。できるかぎり、苦しまないようにして差し上げよう」


 「あっ、ああ…………!」

 

 琥珀色の髪の男が地面に手を当てる。すると、地面から半月状の形をした剣が現れた。黒くて、負の力を感じる剣。


 「ひっ……!」


 男が剣を振りあげる。ゆっくりと、ゆっくりと、少しずつ剣が振りあがり、そして






 「さようなら、水の力を持つものよ」


 (私、死ぬの?)


 ゆっくりと振り降ろされる黒い剣が徐々にレイラの頭上へ近づいてくる。少しずつ少しずつ。


 (まだ、私は…………!)


 もう遅いとわかりつつも、かろうじて動く腕だけを動かして頭上をかばうように杖を掲げる。


 (なにも、していないのに!)


 剣が杖をまっぷたつに切り落とした。


 やっぱりだめなのね……


 魔術を破壊されたときからわかりきっていたことだった。この人は強い。私より何倍も、いや、何百倍も。


 





 「レイラーーっ!!」




 声がした。


 

 とても安心する声。初めてあったときから好きだった声。



 「っ!レイオスさん……」


 レイオスが私の好きな人が、琥珀色の髪の男の後ろ、草原の向こうから自分の方へ向かって走っていた。大陸でも珍しい漆黒の髪、獣独特の鋭い眼、整った顔立ちからは汗が流れている。


 「この、野郎ーー!」


 レイオスが剣を抜いた。そして、琥珀色の髪の男に向かって剣を投げつける。レイオスの手から放れた剣は刀身が透明になって、琥珀色の髪の男を襲った。


 「邪魔をしないでもらいたい。光と闇の者よ」


 一瞬だった。琥珀色の髪の男が左足で地面を軽くたたくと琥珀色の髪の男の背中を守るように地面が盛り上がった。レイオスが投げた剣が盛り上がった壁に突き刺さる。そして一瞬のうちにレイオスとの間合いを詰め、黒い半月状の剣を振りかざした。


 「あっ…………!」


 レイラが信じられないという声を出した。振り降ろされた黒い半月状の剣。そして、切り落とされたレイオスの右腕。空中で弧を描き、切り口から血があふれる。


 「……………………え?」


 レイオスも信じられない眼で自分の右腕があったところを見た。切られたところからは血があふれ、骨がきれいに切断されている。痛みはなかった。


 「さようなら、光と闇の力を持つ者よ」


 そして、とどめとばかりに切り下げた黒い半月状の剣をそのまま斜めに切り上げ、レイオスの右のわき腹から左肩まで切り裂いた。


 

ういっ!こんにちは、イソです。皆さんお元気ですか?自分は寝不足で頭がグワングワンしてまっす。まあ、そんなことはおいといて。


 ここでいうのもなんなんですが、近々、放っておいたalwaysの更新を再開したいと思います。それに伴って、今まで書いていたものも修正する予定です。まだ、alwaysを知っている読者の方は五月ごろに一度、見てみてください。運が良ければ、四月の終わりごろには再開しているかもしれません。


 追伸:あらすじにも書いているとおり、更新を毎週月曜日の夕方頃にすることに決めました。今まで投稿した日にちを見て思っていたんですが、めちゃくちゃ不定期www。

 ですので、毎週月曜日に決めました。必ず、その日には投稿しますので是非見ていってください!


 以上、イソからでした!

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