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第三十四話 テイルの実力

すいません!一万文字数超えるとかいって超えてません!!

 「うおらぁっ!」


 大剣ガリオンを横薙に一閃。続いて右手に溜めていた地系魔術ガインズ・ブレートを牽制代わりに正面に放つ。そして、バックステップで相手との距離をとった。


 「もういっちょ!一の太刀・旋化蹴撃ぃっ!」


 左足に氣を集中させ固定し、剣を敵の目の前に突き刺しそのまま跳躍すると柄頭を右手でつかみ、体を右回転させ相手を蹴った。氣で強化された左足が研ぎすまされた剣のように相手の右腕を切り裂く。


 「ぎぃやあああぁぁ!!」


 切り裂かれた右腕から人間ではない緑色の液体が溢れでる。


 「くそっ、浅かったか!」


 テイルは剣を上段に構えたまま、目の前で自分の右腕を切り裂かれて怒りで我を忘れた怪物ーーサブトヴァズを見据えた。


 サブトヴァズーー体は蛇、顔は人間。腕が四本あり、足がない化け物だ。緑色の鱗で覆われたその体は鉄と同じ高度を誇る。が、腹と腕の付け根には鱗がないため、そこが弱点ともいわれている。生息地は、じめじめとした湿気の多い湿地地帯だが、まれに乾燥した砂漠地帯にも出没するらしい。とにかく、学園に、都市の内部にこんな化け物がいるはずはない。


 が、存在している。今まさに、こうやって戦っているテイル自身が一番それを実感していた。


 「しゅあああああぁっ!!」


 サブトヴァズが口を開いた。歯はなく、赤い色をした咥内だけが見える。


 「気色悪いもん、見せんな!」


 テイルが、大剣を抱え走り出す。そのときだった。


 「じゅあぁぁっ!」


 サブトヴァズの喉が、急激に膨らんだ。


 (なっ、やばいっ!)


 テイルの脳内で危険信号が出されるが、体はサブトヴァズめがけて走り出していた。止まらない。


 そして、サブトヴァズの口から紫色をしたアメーバ上の液体がテイルに向かって吐き出された。なにか、と確認するまでもない。


 毒だ。


 テイルの頭の中で、生き残るための幾多もの考えがはじき出される。


 (剣で防ぐか!?いや、あの形状じゃまとわりついて剣まで溶かされるかもしれねえ。かといって、避けることもできない。魔術は、今からじゃ間に合わねえし・・・・・・くそっ!あれをやるしかねえか)


 テイルは体勢を低くすると、剣を横に放り投げた。放り投げた剣が、床に落ちてむなしい音を出す。


 「いくぞっ!四方より交わりて力とせ 力を変えて音ヘし 音よりて我が敵を消滅!」


 腰の後ろにつけているポーチから、四つの特殊な文字が描かれた紙を取り出す。それを、テイルが自分の前方へ出した。四つの紙はテイルの口の周りを旋回するように空中で円を描き始める。すると、四つの紙をつなぐように黄金色をした一つの線が現れた。


 「一の舞・封歌音針っ!」


 テイルの口に氣が集まる。それは、女性の音色のように音を出して収束していった。


 「かあっ!!」


 テイルが口を大きく開く。その瞬間、口に収束されていた氣の塊がテイルの口の周りを旋回している四つの札に吸い込まれていった。テイルの氣を吸い込んだ札は、それぞれを繋いでいる線同様に黄金色に染まっていった。


 サブトヴァズの毒液が目前まで迫っていた。だが、テイルはあわてない。この技を使うためには、対象を近くまで引き寄せなければ発動しても意味がないのだ。


 (まだだ・・・・・・もう少し、もう少し・・・・・・今だ!)


 「はあああぁぁぁっ!!」


 黄金色の光の束が四つの札から現れた。それはまるで、意志を持っているかのように動いている。黄金の光の束は少しの間だけその場にとどまっていると、毒液めがけて飛んでいった。


 「じゅらっ!?」


 サブトヴァズの目が大きく開かれる。が、気づいたときにはもう遅かった。黄金の光の束が一点に集まり布のようになると、毒液を包み込んだ。だが、それだけでは終わらず、そのままスピードを緩めずにサブトヴァズめがけて飛んでいった。


 「弾けろ、針繰斬」


 テイルがそういった瞬間、毒液を包み込んでいた黄金の布が突然霧散し、それと同時に毒液を細かく切り刻んだ。

広範囲に広がった毒液が、自分を生み出した主の体に覆い被さるように付着する。その瞬間、サブトヴァズは耳をつんざくような悲鳴をあげた。


 「これで終わりだ」


 テイルが横に投げた大剣ガリオンを拾い、背中に背負っていた鞘に収める。大剣ガリオンはほかの武器と違い、鞘も特別製だ。


 体をサブトヴァズからみて横面に動かし、両足を大きく広げ、右手は大剣ガリオンの握りを握る。そして、体を左に大きく内側にねじ込まして力を溜めた。


 「はあああぁぁぁっ!!」


 だが、サブトヴァズをただでは終わらない。毒液のせいで見えない目を残った片腕で覆いながら、臭いだけでテイルの居場所を把握し、突進する。


 「しゅあああぁぁっ!!」


 だが、テイルは動かなかった。両足に氣を溜め、体全体に力を溜めながら、サブトヴァズが突進するのを黙ってみている。


 「しゅあああっ!!」


 勝った、とサブトヴァズは思った。が、その期待は簡単に裏切られることになる。


 「二の太刀・影光」


 サブトヴァズの目の前にいたはずのテイルがいつの間にか後ろにいた。目の前にいるテイルが少しずつ黒く変色してゆく。


 「じゅ・・・・・・ら?」


 どんどん黒く変色してゆく目の前のテイルをみて、不思議に思ったサブトヴァズは後ろのテイルをみた。そのとき、


 サブトヴァズの体がまっぷたつに分かれた。そして、サブトヴァズの目の前にいたテイルが消えていく。


 「影光は、高速移動をすることによって相手の視覚を麻痺させ、目の前にいると誤認させる技だ。それに加え、斬撃を加えれば誰にもとらえられぬ刃となる」


 サブトヴァズの体が崩れ落ちる。それはすなわち、テイルが勝利したことを示していた。


 大剣ガリオンの刀身を布で拭い、背中に背負っていた鞘に収める。そして、サブトヴァズの方を少しみるときびすを返して奥へ歩きだした。


 






 「・・・・・・これでもない。デルフィナがくれたこの本、重要なところを書いてないな」


 「やっぱり、この板に何か秘密があるんでしょうか?」


 「・・・・・・かもしれん」


 床にピンク色のもふもふした毛布を敷き、その上で本を読んでいたレイラが床を叩いていった。


 「それじゃあ、今度はガリルレギオンに関係する単語がないか調べてみてくれ」


 「わかりました」


 「・・・・・・・・・・・・それにしても、この本の中を探すとなるとどれだけ時間がかかるかな。速く探さないと」


 「・・・・・・ですね」


 先ほどから、猛スピードで読んでいるはずなのにまだ四分の一ほどしかなくなっていない本の山をみて、二人そろってため息をついた。








 「・・・・・・・・・・・・ふう、これだけじゃ心乏しいな」


 ポーチの中に入っているものをみて、テイルは呟いた。先ほど、サブトヴァズの戦闘で札四枚と念のための回復薬を二個飲んでなくなっていた。それと、大剣ガリオン専用の布ーー服だけで研いだときと同じ作用が起きる布がなくなっている。


 「残りはっと、・・・・・・札は八枚。回復薬は5個。布は二枚か。もっと強い奴がいるんなら、ちょっときついかもしれねえな」


 そういって、テイルはその場に腰を下ろした。幸い、床は冷たいが濡れているわけではなかったので安心して腰を下ろせる。


 「はぁ・・・・・・みんな、今頃なにしてんだろうなぁ〜。俺のこと忘れて飯食ってたりしてな。・・・・・・・・・・・・笑えねえよ」


 まだ動けないほどではないが、腹が減っては戦はできぬというのは本当なんだな、と実感したテイルであった。








 



…………先に言っておきます。


すいませんでした!


いや〜、書いていたのはいいんですが、話の都合上、文字数が途中で区切られちゃったんですよね。はい、いいわけです。すいません。


次回は、おそらくですがかなり文字数があると自分では思っています。




次回!魔術が強化されてしまう場所でシルフィード・ランスを放ったラピスたちの運命は!?


ぜひ、見ていってくださいね。

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