表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/70

第三十話 レイディアント学園の知識

更新、遅れて申し訳ございませんでした!また、これからちょくちょく更新したいと思いますのでぜひ飽きずに見ていってください!

「れ、レイオスさんこれはどうですか?」


 レイラが差し出した、蛇と赤い羽根を銜えた鳥が表紙の本をレイオスは他の本を見ながら器用に後ろから差し出された本を受け取った。


 「う〜ん、これでもないな」


 現在、レイオスたちはレイディアント学園光と闇の塔最下層にあるエブリール図書館へと来ている。魔術書の本数五万六千三百冊、魔法書の本数三万八百六十二冊、歴史書の本数九万四千五十冊。そのほかにも、料理書やら戦術書やら指南書やら童話やら誰かのポエムやら多々あるがそのすべてを確認した者は、この図書館の管理人だけらしい。


 レイラから渡された本を手にとって開く。


 『ぼええええええぇぇ〜〜』


 聞いた瞬間に、ぱたんと閉じる。そして、できる限りの力をこめて遠くの本棚へ放り投げた。ぼええぇぇぇぇ〜〜〜、と声が徐々に聞こえなくなっていき、何かにぶつかるような音がした。


 一瞬の沈黙。そして、沈黙に耐えられなくなったレイラが口を開いた。


 「…………い、今のはなんですか?」


 「…………そこで気にしたら終わりだぞ」


 「……ですね」


 いまだに、遠くの本棚のほうで叫び声のようなものがする。その声を聞いて、誰かが駆け付けたのか悲鳴を上げるのが聞こえた。


 「レイラ、あの本どの本棚から持ち出してきたんだ?」


 「え、それならあっちのほうに置いてありましたけど」


 レイラが指さした方向、レイオスから向かって右側の方向にその本棚はあった。


 赤黒く変色した棚、血を吸ったわけでもないのにその本棚だけが赤黒く変色している。近づいてみてみると、中におさまれている本の天部分には大量のほこりが積もっている。他の本もみてみたが、どれも同じようなものだ。


 (変だな……、なんでここだけこうも違うんだ?それに、レイラもよくここから取り出せたな)


 なにか、参考になるものがないか奥へと進む。


 「れ、レイオスさん? こ、ここ、危なくないですか。なんだか、とても嫌な感じがするんですけど」


 奥へ進むごとに周りの本棚が高くなり、光を奪い取っていく。そして、この埃。レイラがそういうのも無理はないだろう。


 「大丈夫だって。学園の図書館で何か危険なことが起こるわけがない」


 「…………それなら、いいですけど」


 まだ不安を隠しつつも、レイオスに気取られまいとレイラは本棚に何かないか探し始めた。そんな光景を見つつ、レイオスも探し始める。



 その時だった。


 「う〜ん、どれがどれかわからないな。何々、古代語のレッスン981? ……長い、っ!」


 刹那、レイオスは本を放り投げレイラの腰を右手でつかむと地面に伏せた。瞬間、今までレイオスたちの頭があった場所を大きな鎌が通過した。


 「れ、レイオスさん!? あ、あの、そういうのは、う、うれしいんですが、ば、場所を考えないと、い、いけ――――」


 「レイラ、ちょっと黙っとけよ! 舌を切るぞ!」


 「ふえっ?」


 また、前方から大きな鎌がレイオスめがけて回転しながら飛んできていた。レイラを抱えたまま上に跳躍し、それを回避する。が、


 一番最初にかわした鎌が、ブーメランのように跳躍したレイオスのところへ戻ってきた。レイオスが左手で腰に差してある剣を取り、鎌へ向かってそれを投げつける。


 金属と金属同士がこすれあう嫌な音がし、鎌と剣が衝突する。力を失くした鎌はそのまま木製の床に突き刺さった。レイオスの剣も、反動でそのまま空中を力なく落ちていき床に音をたてて落ちた。


 「ふうっ」


 床に着地したレイオスは、レイラをその場へ優しくおろした。が、先ほどの跳躍などでかなり揺らしていたのかレイラは気を失っていた。


 「やるわね、あなた」


 何かを引き抜く音が後ろから聞こえた。恐る恐る後ろを振り向くと、床から鎌を引き抜いてその場に立っている女性がいた。


 「あなた、名前はなんていうの?」


 レイオスはその問いに答えず、相手を様子見た。


 年は、15から16ぐらいだろうか。目は少ししか見えなかったが赤色で、黒より少々明るい色の髪が顔の上半分を覆っている。レイディアント学園の生徒服を着ている。だが、少々変わっており襟がなく、鎖骨が見えるほど露出されている。スカートは、いたるところが避けており太ももが丸見えだ。銀色の鎖を左腕に巻き、その鎖の一つ一つに長方形の札のような紙が付いている。


 何物かはわからない。ただわかるのは――――


 「私の本を、投げたのはあなたね」


 「っ!」


 謎の女性がそういった瞬間、持っていた鎌を持ち上げレイオスに向かって投げ飛ばした。すんでのところでかわすが、先ほどと同じように鎌が戻りレイオスめがけて戻ってくる。回避するため、足に魔力をため上へ跳躍する。


 「さっきと同じ動きじゃ、私からは逃れられないわよ」

 

 いつの間にか、謎の女性がレイオスの上に移動していた。よくみると、本棚に鎖が取り付けられている。あの鎖で、レイオスより早く移動したのだろう。


 謎の女性――鎖女がもう片方の手に持っていた鎌をレイオスの顔めがけて振り下ろす。


 (くそっ! 防御できない。…………ならば)


 瞬間、レイオスがとった行動を見て鎖女は驚いた。


 右手に魔力をこめ、鎌を受けとめたのだ。いくら、魔力を込めているとはいえ、手が無傷で済むはずがない。普通の人なら恐怖を感じて出来ないはずだ。だが、それだけでは終わらなかった。右手に力を込め、自分の体を浮かせる。そして、右足を鎌の取っ手にのせてそのまま体を左に無理やり回転し、左足で鎖女の頭部を蹴った。不規則な動きに動揺した鎖女は、うまく防御がとれずそのまま床へ飛ばされる。一回、二回と回転しそのまま地面から動かなくなった。


 「いつつ……うわ、手が切れてる。やっぱり無茶するもんじゃないな。魔力の硬質化はやるには早すぎるか」


 手に治癒魔法をかけながら、地面に倒れている鎖女を見る。


 「ちょっとやりすぎたか」


 そういうと、レイオスは鎖女の頭に手を置いた。


 「光がもたらす恩恵にあずかれ とわの光は汝を照らし 聖母の光はそなたを包む レイディアント・ハウレン」


 温かな光が鎖女を包み込んだ。レイオスの手から放たれる温かい光は、鎖女の皮膚に浸透し、少しずつ腫れた頭部をいやしていく。先ほどまで赤くなっていた頭部は、徐々にだが元に戻り始めていた。


 「…………うっ」


 鎖女が目を覚ました。


 「ようやくお目覚めか」


 「…………………………負けた、のね」


 レイオスに目を合わせないよう、顔を背ける。


 「なんで、俺たちを襲ってきたんだ?別に、悪いことはしていないはずだぞ」


 「……………………覚えてないの、自分がしたこと」


 「俺が何かしたのか?」


 「した。思い出して、本を読んでいたときのこと」


 レイオスはその場に座り込むと、右手を顎に当てて考え出した。エブリール図書館に入り、管理人がいなかったが他の人も自由に使っていたので自分たちも本を探し始め、それから自分が参考書を使って暗号の解読、レイラが本棚から参考書を探し出してレイオスに渡していた。それが、今回のレイオスたちの行動だ。


 (そのほかに何かあったっけ?)


 その後に、レイラが変な本を持ってきてそれを投げた後、この本棚を見に行って鎖女に襲われた。


 「変な本に…………ぼえぇぇぇ〜〜っと、叫ぶ変な本を投げて…………本?」


 「……やっと気づいたようね」


 鎖女が背中に手を伸ばし、あるものを取り出した。


 「あっ! それは!?」


 鎖女が取り出したものは、レイオスが先ほど放り投げた変な声を出す古びた本だった。心なしか、本からレイオスに向かって恨めしい声を出している気がする。


 「あなたは、私の大事なジュニファーちゃんを手荒に扱ったの。だから、攻撃した」


 「………………ジュニファーちゃん?」


 すると、鎖女は変な声を出す古びた本をレイオスの顔に近づけた。


 「そう……この子が、ジュニファーちゃん。私のかわいい子供たちよ」

  

 「……………………」


 レイオスはなにもいえなかった。自分がしたことが、こんなことにまで発展したのにも驚いたが、本のことをジュニファーと言い、名前まで付けて自分の子供と言っている鎖女にも驚いた。


 (危ない子か……………)


 レイオスはそう判断した。でなければ、ほかに言いようがない。今なんか、ジュニファーちゃん(叫び声をあげる薄気味悪い本)を顔にこすりつけながら怪しい笑みを浮かべて、ぶつぶつと怪しい単語を呪文のように唱え続けている。いろんな意味で恐ろしい…………


 「……あ、そういえばおまえの名前って何なんだ? 鎖女だとなんか微妙なんだが」

 

 すると、鎖女はジュニファーちゃん(気色悪い声を出す最低の本に顔)をこすりつけるのをやめ、レイオスの方を向いた。


 「……………人に名前を尋ねるときは、自分から言うものよ。狼君」


 「狼って……俺の名前は、レイオス・ウォーリア。前回の選別式でここに入学してきたラスカ森からの留学生だ」


 「…………へえ、あの森から。道理で、そんな変な格好をしているのね」

 

 (変な格好…………)


 正直なところ、鎖女にだけは言われたくないと思ったレイオスだが、また何か言うと埒があかないため聞き流すことにした。


 「で、おまえの名前は?」


 すると、鎖女は前髪をかき分けた。


 「私の名前は、デルフィナ・トルトゥーラ。デルって呼んで。ちなみに、私はこの図書館の管理人をつとめているわ」


 予想していたよりも、整った顔立ちだった。顔自他は少々丸みを帯びているが、目は鋭く、レイオスと似た獣の目に近い。化粧をしているのか、唇は青く、目の周りは黒かった。


 「お前が、この図書館の管理人!? どうりでへ――」


 「何か言った?」


 「いえ、なんでもありません」


 どこから持ち出したのか、先ほどの叫ぶ本とはまた違う、今度は血の色をした本をレイオスの目の前に突きつけた。なにやら、怪しい魔力が感じられる。下手に逆らったら、ひどい目に遭うとレイオスの第六感が働いた。


 鎖女ーーデルフィナは満足したのか、持っていた本を本棚に戻し始めた。鎖を器用に使い、一番上の棚まで行き、本を片づける。


 「器用なことするなあ。その鎖に、なんか仕掛けでもあるのか?」


 本を棚に納めて降りてきたデルフィナにレイオスは問いかけた。


 「……そうよ。この鎖に魔力を流し込み、それを鎖に貼っている紙の力で陣の代わりをし、動かしているの」


 レイオスは鎖に張り付けられている紙をみた。なるほど、先ほどの戦闘では気がつかなかったがよく見ると、紙に複雑な術式が描かれている。複雑な術式なので、レイオスの知識だけではこの紙には防水加工と防火加工が施されているのしかわからなかった。


 「……そういえば、狼君は何でここにきたの?ここの棚一体は、生徒立ち入り禁止区域のはずなんだけど。張り紙みなかった?」


 「生徒立ち入り禁止区域? …………ちょっと、待てよ」


 そういうと、レイオスはレイラを担いで禁止区域の棚の入り口まで戻った。そして、レイラを近くにあったソファーに座らせた後、禁止区域の棚の入り口の方を見た。


 棚の上の方、古びて黄色くなってはいるが確かに張り紙がある。だがここからでは、文字がかすれていてなにが書いてあるのかは見えない。これでは、ここは禁止区域だとはわかるはずもない。


 「あんなんじゃ、わからないぞ」 


 「……気のせいよ」


 「いや、気のせいじゃなくてさ、これじゃ――」


 「気のせいよね」


 「はい」


 またもや、どこからともなく血の色をした本をレイオスに突きつけた。先ほどより赤くなっている気がする……


 「……まあ、後で直しておくわ。それでさっきも言ったんだけど、狼君とそこの青髪の女の子はここになにしにきたの? 立ち入り禁止区域に入ったからにはなにか、訳があるんでしょ?」


 きらきらと目を輝かしながら、デルフィナは興味があるから早く話して、なオーラを出した。レイオスも別に隠すことではないし、はなすことにした。


 「さっき、校長が放送で泥棒が入り込んだって言ってたろ。え、聞いてない? ……ま、いいや。で、その放送の後に俺の部屋に誰かが入り込んだんだ。で、行ってみるともぬけの殻でさ。かわりに、こんなものがおいてあったんだ」


 そういって、レイオスはポケットから黒色の手紙と緑色の手紙をデルフィナの前に出した。デルフィナがレイオスから差し出された二つの手紙を受け取って、中身を確認する。


 「……………………ふうん、面白いわね。暗号を解いて、自分の大事なものを取り返さなきゃいけないのね」


 すると、デルフィナはなにを思いついたのかレイオスの裾を引っ張りある本棚へとつれていった。


 「ここは?」


 さきほどの立ち入り禁止区域の場所とは違い、入り口に銀細工の門が取り付けられている。デルフィナがなにやら呟いたかと思うと、門がひとりでに開いた。どうやら、今唱えたのは解除呪文のようだ。そのまま、デルフィナの後についてゆく。

 周りの本棚は、綺麗なイトハマという木材芸術に使われる木がふんだんに使われている。それに魔力がその木から感じられるところから、どうやら防腐呪文でも使っているようだ。

 デルフィナの後ろを歩き続けながら、周りの本も見た。埃は全くない。立ち止まり、適当に本棚から一冊の本を抜き出す。


 「精霊魔法〜使い魔との融合と座標指定による魔術の定義第一章か。……すごいな、これ。確か、めちゃくちゃ高価な本だぞ」


 一瞬、レイオスの頭の中をある計画がよぎったがデルフィナがこちらの方を見つめていたのでその計画は破棄することにした。


 「こっち」


 複雑な本棚の迷路を自分の家のように移動していく。レイオスは、いつ着くのかとあくびをしながらそう思った。


 まだまだ時間はかかりそうだ…………



合計アクセス数がついに十万を超えました!!これも皆様のおかげです。


 と、いうことで……


 1、一気に十話更新


 2、レイオスたちの挿絵を目次前に挿入


 3、皆様がこんな外伝を見たい!


 このうちのどれかを選んでいただき、一番多かったほうを実行したいと思います。ぜひ、どれがいいか選んでください!!


 追伸:ポメラを買ったよ!これで、小説の更新が急激にアップ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ