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第二十六話 ガリルレギオンのナイスガイ!!

 ガリルレギオン――――世界が作られたときに、大地を守るために生み出されたとされる精霊王。その姿は、一説によると体すべてが強固な岩でおおわれ、守りに優れた存在だという。

 レイディアント学園にあるガリルレギオンの塔にも、その名にふさわしい体の丈夫な者たちが住んでいた。


 




 「で、なんで俺なんだ?」


 目の前に仁王立ちしているレイオスを見てアシルは身の危険を感じていた。ラピスを担いでレイオスの部屋へ向かう途中、前からすごいスピードで走っていた部屋の主に体を縄で巻かれたまガリルレギオンの塔まで無理やり連れてこられたが今のレイオスは異常すぎる。


 (死亡フラグか? うんにゃ、そんなルートに行った覚えはないけどな〜)


 そんなのんきなことを考えつつ、体に巻きつけられていた縄を外す。少々きつめに縛ってあるが、テイルにとってはこんなこと朝飯前だ。巻かれる前に体の筋肉を膨張させていたので体の筋肉を収縮させれば縄がほどけるはずだ。


 「ふんっ! …………あれ? ほどけねえ」


 筋肉を収縮させたはずなのに、なぜか縄は解けなかった。それどころか、縄は先ほどよりも強くテイルの体を締め付けた。


 「いでででででっ!! 痛いって、レイオス」


 「なら、俺の言うことを聞いてくれるか」


 まがまがしい魔力を放ちながら、レイオスは黒い手紙をテイルの顔の前に広げて見せた。


 「ん、なんだこれ、手紙か? え、読めって? めんどくせ――わ、わかった! わかったから、剣を俺の首にあてんな!」


 無言で剣を首にあてるレイオスに、恐怖しながらも手紙を読み始めた。


 「ん〜と、何々? ……………………ふむ。なるほど。なんと! ぷっ、頭が悪いとか。って、ごめんごめん! ……ふう、ん? な、なんと! お金が取られた!? 別にいいんじゃね、お金ぐらい――――痛いって、痛い! 首が切れてる!」


 『別にいいんじゃね、お金ぐらい』と、テイルが言った瞬間、首にあてられていた剣が浅くだが、首に食い込んだ。


 「テイル、俺は仲間を自分の手で葬るのは好きじゃないんだ。だから、おとなしく俺の言うことをきいてくれないか」


 「ちょっ、ちょっと待て! この手紙やら、お前がなんでそんなに怒ってるとか、わからないことばかりだがそれは後で説明してもらうとして、何で俺をこの塔に連れてきたんだよ!」


 するとレイオスは少し深呼吸したあと、話し始めた。

 

 「すまん、ちょっと平常心を失っていた。一から説明するからよく聞いてくれ。まず、この手紙なんだが、校長が言っていた泥棒が俺の部屋に残した暗号なんだ。その中に、『地の精霊はナイスガイ!! 数ある罠を打ち消そうと 体を張ってくれるだろう すべての罠を越えしとき 剣の力手に入れん』と書いてあったろう。俺の推測だと、地の精霊とはおそらくガリルレギオンのことだ。つまり、ガリルレギオンの塔に手掛かりがあることを示している」


 「ふんふん、それで?」


 「そして次の暗号にナイスガイ!! と書いてあるだろう。これはおそらく、ガリルレギオンの塔の中で生活している生徒たちだと思うんだ。で、その中で一番ナイスガイ! な人物がテイル、お前だと俺は思っている」


 心の中では本当はそんなことみじんも思っていないのだが、顔には出さなかった。


 「ふむ、俺がナイスガイか。ま、確かにガリルレギオンの中でも俺は兄貴的存在だしな! ハッハッハッハァ!」


 (扱いやすい奴だな。本当に)


 テラスで食事をした時に、アシルが話してくれたことがある。





 『テイルはね、ガリルレギオンの塔の中で兄貴的存在なんだよ』


 『あれがか?』


 そばで目があぁ、目がああと叫んでいるテイルを見てレイオスは半信半疑に聞いた。


 『まあ、信じられないかもしれないけど本当だよ。いざって時に頼りになるし、ガリルレギオンの中でもかなり強い部類に入るしね』


 『そうは見えませんね』


 普段は人のことを悪く言わないレイラもテイルに至っては、別のようだ。苦手な部類に入るのか、少々顔をしかめている。


 『まあ、普段があれだからね。それに、ほめられると調子に乗りやすいから。レイオスも、今度でいいから一回ほめてみなよ。バカみたいに調子に乗るから。ま、もともとバカの塊みたいなものだけどね』


 『ふ〜ん』


 『アシル! 今の言葉は聞き捨てならねえ。俺はバカじゃない! 俺は――――――』


 『レイオスフラッシュ!』


 『のぎゃあああぁぁ! 目があああぁ!』

 

 ばかという単語に反応し、話に割り込んできたテイルの目の前でレイオスが先ほど放ったコルテウス・ブレイバー(別名:レイオスフラッシュ)を放つ。またもや、直撃を食らったテイルはあまりの痛さに失神したのか地面とキスをしたまま、動かなくなった。


 『…………ま、機会があったら試してみるよ』










 (なんてことがあったんだよなあ)


 ナイスガイといわれて高らかに笑っているテイル。こんな奴が兄貴だと、下の者は大変だろうなと、苦労している下の者たちに心の中でエールを送った。


 「テイル、それで続きなんだが……」


 「この俺に任せておけば問題ないぜ。なにせ、俺はア・ニ・キだからな!」


 「テイル、続きを……」


 「ナイスガイ、参上! ってか。ガッハッハッハ!」


 「ラピスの気持ちがわかる気がするな。シャイニング・スタウロス」


 「ガッハッハ……ん、なんだこれ。陣? 何でおれの足元に…………れ、レイオス!? 待て、早まるな。そんな事をしてもお前には何のメリットもないはずだぞ。……何、話を聞けって?何をだ。って、ちょっ、ま――――――――ぎゃあああああああああああ!!」


 光の十字架に貫かれるテイル。はたから見れば、悪魔を裁くようにも見えなくはない。


 (話が進まんな…………ラピス達が来てから暗号を解くか)


 出る前にしっかりと置手紙を残しておいたのだ。ガリルレギオンの塔に行くと書いておいたから恐らくここに来るはず。ただ、





 「無理やりテイルを連れていったからな。会った瞬間に飛び膝蹴りなんてことも……」


 ラピスの理不尽的な強さを思い出し、恐怖するレイオスであった。


 

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