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第二十話 初めての授業〜中編〜

 レイオスとアシルは、光と闇の塔から火の塔――シャイレストとへと続く通路にいた。


 「それで、レイオス。さっきのは何だったの?」


 アシルは、先ほどから気になっていた謎の白い物体――自称オオカミの事をレイオスに聞いた。


 「ん?ああ、あれか。あのオオカミは、俺の使い魔なんだ。といっても、小さいころから一緒にいたから相棒みたいなものだけどな」


 「ふ〜ん、そうなんだ。ところで、レイオスの使い魔の属性って何?」


 「え〜と、ある程度の属性は使えるんだよな。一応、光属性のはずだけど」


 「光属性!? すごいや。見た目は、役に立たない犬みたいなのに」


 さりげなく、すごいことを言い出すアシル。


 「アシル……それって、さりげなくひどい言い方だぞ」


 「え?そうかな」


 (自分で自覚していないとは……)


 それから、アシルにレイオスの故郷のことや番人の話などをしているうちに、シャイレストの塔二階にある教室にたどり着いた。


 「ここが、今日から一ヶ月間、レイオスが授業を受ける場所だよ」


 そういうと、アシルは幾つかある教室のうち、第二学年と書かれた標識がある教室を指差した。


 「ここか。……ん?というか、何で俺はシャイレストに通うことになったんだ?」


 すると、アシルはああ、と思い出したような顔をした。


 「ごめん、話すのを忘れてた。校長先生が決めたことなんだけど、選別式の時、レイオスだけ属性がわかっていなかったんだよね。だから、一か月に一回の割合で授業を受ける場所を変えていこうということになったんだ。まあ、反対した人もいたけど校長があの人だからね」


 「納得」


 (と、いうことは全てを回りきるのに六ヶ月間必要ってことか。めんどくさ……)


 そう思いながら、アシルと一緒に教室の前まで行く。


 「ほら〜、朝の朝礼始めるわよ」


 中から、声がする。扉越しなので男性か女性かはわからないが、あの言い方から教師は女性なのかとレイオスは思った。が、


 「早く、席に着けと言ってんだろうが!ぐずぐずすんな」


 女性? レイオスがそう思うほど突然口調が変わった。すると、先ほどまで騒がしかった教室の中が嘘のようにしん、と静まり返っている。


 レイオスはアシルのほうを向くとできる限り、笑顔を作った。


 「え〜っと、アシル、俺が授業を受ける教師はどんな人なんだ?」


 「確か……ラクレフィーヌ先生だったと思うよ。主に魔法学専門でね。優しい人なんだけどたま〜に、怒るのが傷なんだよね」


 (あれが優しいのか)


 レイオスは思った。 教師って怖いな……


 そう思っていると、アシルが教室の扉を二回たたいた。


 「先生、新入生を連れてきました」


 「ああ、中に入れ……ていいわよ」


 アシルがはい、と返事をして扉を開ける。最初の言葉がすごく気になるが、気にしたら負けだと言い聞かせレイオスもアシルの後ろについて中に入った。


 (結構でかいな)


 それが教室内を見たレイオスの感想だった。


 正面中央に高い椅子がありそこに教師が座っている。生徒の席はそれを囲むように半扇状になっていて後ろの席に行くほど徐々に高くなっている。


 そして教師と生徒の席の間には、半径10メートルぐらいの円形状の空間がある。地面が所々変色していたり焦げているのでそこで、魔術や魔法を使うのだろうとレイオスは思った。


 生徒の数はおおよそ200人くらい。とんでもない数だ。どの生徒も、新入生のレイオスに興味がある様子で席を立って、レイオスを見ていた。


 「はいはい、そんな見つめてたら新入生が緊張するでしょう」


 ラクレフィーヌ先生が手を鳴らすと生徒たちは口を尖らせ、文句を言いながらも席に着いた。


 (この人が、さっきの人?…………教師って不思議だな)


 ラクレフィーヌ先生は、150ぐらいの小柄な先生である。紫色の髪をしており、それを後ろでひとまとめにくくっている。目の色は、髪より濃い紫色。はたから見たら、学生に間違われてもおかしくないような体型をしている。


 「まったく、……それじゃあ、今日から一ヶ月間、ここの教室で授業を受けることになったレイオス・ウォーリア君です。皆さん仲良くしなさいよ、それじゃレイオス君、自己紹介を」


 レイオスのほうを指差し、せかすように背伸びをしながら、両手でレイオスの背中を押して中央の台に立たせた。


 (き、緊張する。こんなに人がいる前で自己紹介するの、初めてだ)


 落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせる。


 (昨日、ラピスが考えてくれたセリフで……)


 実は、昨日の夜、ラピスがレイオスの部屋にきて明日の自己紹介のセリフを考えてくれていたのだった。レイオスは喜んでそれを受け取ったが、それがラピスが面白半分に考えたセリフだとは当の本人は知らない。


 「俺の名前はレイオス・ウォーリアと言います。この学校の評判を聞き、入学しました。入ってきたばかりですので、わからない事ばかりですが皆さんに迷惑をかけないよう出来る限りの努力をいたしますのでどうかよろしくお願いします。」


 そういうと、最後にできる限りの笑顔をする。これもラピスが考えたものだ。


 拍手が起きる。そして、ところどころで何人かの女子生徒が奇妙な声を声を出して椅子から崩れ落ちていた。


 (具合でも悪いのか?)


 何も知らない本人は、頭を下げ礼をするとラクレフィーヌ先生に自分が座る席を教えられ、アシルと一緒にその席まで行った。


 そこは、一つの台に三人座れるようになっていて真中に女子生徒が一人座っていた。


 腰辺りまである青い髪に、深みのある青い瞳。その瞳は、その子の性格を表すかのように慈愛のこもった色をしている。背は155ぐらいで、見た目によらずなかなかの体型。レイオス自身は何も思わないが実はこの女子生徒、男子生徒の中でかなり人気がある子なのだ。


 「えっと、初めまして」


 「あっ、は、はじめ、ま、ま、まふぃて」


 (噛んだ……)


 レイオスが挨拶をすると、その女子生徒も立ち上がって挨拶をした。ただ、少々緊張しすぎたのか、最後に噛んでしまっている。


 「わ、私の名前は、レイラ・フェリロールとい、いいます」


 「レイラか。いい名前だな」


 「へぅ!」


 レイラの顔がすごいスピードで赤くなった。その反応を見た男子生徒達が驚愕した表情になる。だが、レイオスが気づくはずもなかった。


 「なんだ、熱でもあるのか?」


 「いや、熱じゃないと思うよ」


 アシルが、レイオスの鈍感さにあきれながら答えた。


 「ほら、そこ!さっさと座りなさい」


 その光景を見ていたラクレフィーヌ先生が、大声で叱る。レイオスたちは、


 「はい」


 と返事をし、それぞれの席に着いた。


 「これからよろしく」


 レイオスがとなりに座っているレイラに笑顔で言う。


 「は、はい。こちらこそよ、よろしくお願いします」


 レイラも、ところどころ噛みながらも返事をする。


 (初めてだな……、こんな気持ちは)


 なんともいえない気持ちが体の中からわきあがってくる。


 (初めての友達に初めての授業……、すべてが初めてのことばかりだけど)


 顔が少しだけながらも笑顔になる。それを見たレイラが不思議そうな顔をした。


 「ど、どうかしたんですか?」


 「いや、なんかさ……初めてなんだけど」


 「?」


 レイラが首をかしげる。





 「楽しいな」



 レイオスがそう言って、作り物ではない、心の底から自分の今の気持ちを表すかのようにとびきりの笑顔をした。



 


 


 

 



 

レイオスとレムエムのローン・ウルフ講座ですが、学校の授業が始まりましたので一時的にですが休止とさせていただきます。

授業でも、いろいろな勉強を学びますのでローン・ウルフ講座を見てくださった読者の皆様、そちらのほうをぜひ見て言ってください。

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