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第十六話 戦いの終わり

 「それじゃ行くわよ。シルフィード・ランス・アスレイド!」


 ボボボボと、ラピスの周りに風の槍が四つ浮かぶ。すると、風の槍は丸い球体状になりラピスの周りにとどまった。


 「ほう、術式固定かい。なかなかやるねえ」


 術式固定――その名の通り、詠唱して出した魔術などを自分の周りに留め、時間差などいろいろな作戦に使うときに使う高等技である。ただ、この技を使うとき術のコントロールができなくなるので固定していた術を解いた瞬間、衝撃で吹っ飛ばされる事もある使い勝手の悪い技なのだ。


 なのになんで、あんなものを使ってるんだラピスの奴は…。そうレイオスが不思議に思っていると


 「行くわよ!」


 そういうとラピスは走りだした。鍵に魔力を込める。鍵に埋め込まれた魔力石が反応し風の刃を作り出した。ラピスはそのまま足に魔力をため跳躍すると左手でカギを握りしめフェヴェリオスの頭上から振り下ろした。キイイイインと、まるで金属を削るかのような音がする。


 「なるほどね、なかなか硬いじゃない」


 ラピスが繰り出した攻撃はフェヴェリオスの右手に阻まれていた。しかし、レイオスの時とは違い少しながらもフェヴェリオスの右手が削られている。


 「なかなかやるじゃないか、風の刃を振動させ音波を発してその衝撃波で攻撃するなんてねえ」


 ラピスは風の刃を振動させて普通とは比べ物にならないほどの破壊力を生み出していた。物体を振動させると必ず音波というものが発生する。音波は同じ周波数の音波を出し続けることによって衝撃波を生み出すことができるのだ。ラピスは、風の刃を振動させ発した音波の衝撃波を術式固定で固定しあの破壊力を生み出していた。


 「すごいな…」


 レイオスの口から賛辞が漏れる。


 「見なおしたよ、お譲ちゃん。だけど、私の本命はあくまでレイオスなんだ。じゃまをしないでくれないかい!」


 フェヴェリオスはそういうと、右手を振るった。


 「きゃっ!」


 ラピスの体が吹き飛ばされる。それと同時にフェヴェリオスは跳躍し、右手を剣状に変えラピスに迫った。剣を横なぎに振り首を落とそうとする。


 「…甘いわね、一つ!」


 突如、ラピスの周りに浮かんでいた風の槍の一本が上のほうに向って放たれた。放たれた衝撃でラピスの体が下へずれる。


 「なっ!?」


 剣は空を切っていた。そしてその下にラピスがいる。


 「もう一回、二つ!」


 二つ目の槍が今度は下に向かって放たれた。その衝撃でラピスの体が浮く。そしてそのまま、フェヴェリオスを切りつけた。


 「くうっ!」


 フェヴェリオスの頬が切り裂かれる。フェヴェリオスが痛みで顔をゆがめるのが、ラピスの目からもみえた。


 「そして、三つ!」


 ラピスがフェヴェリオスを指さすと三つ目の槍がフェヴェリオスに向かって放たれた。これはやばいと、右手を前に構えガードする。だが、風の槍は威力を殺すことなくフェヴェリオスをそのまま地面にたたきつけた。


 「ぐうっ!甘く見るんじゃないよ。サナトス・ランス!」


 地面にたたきつけられながらもフェヴェリオスはラピスに向かって闇の槍を投げつけた。槍は空中にいたラピスに向かっていく。


 「やばい!空中じゃ身動きが――」


 だが、レイオスの心配は全くの無駄に終わった。


 「そっちこそ甘く見ないでほしいわね、四つ!」


 最後の槍が右に向かって放たれた。ラピスの体が右にずれ闇の槍を回避する。ラピスはそのまま、地面に着地した。


 「どう?私の力は」


 えへんと、両腕を腰に当てる。ああいうことをしなければもう少し大人っぽく見えるのにそうレイオスは思ったが、言うとまた、槍を投げられそうな予感がしたので言うのをやめた。


 「…………」


 フェヴェリオスが無言のまま立ち上がる。


 「どうしたのよ、もう降参?」


 「……調子に乗るのもたいがいにしな」


 「へ?」


 「調子に乗るのもたいがいにしなって言ってんだよ!」


 突然の事にレイオスとラピスは動けなくなった。いきなり、フェヴェリオスの言葉遣いが変わったのだ。やさしい口調から、怒りの口調に。


 「私の力だと?うぬぼれもたいがいにしな!私は全く本気なんか出していないんだよ。それを調子に乗ってべらべらと。そんなに死にたいんならあんたから殺してやるよお!」


 ばっと、フェヴェリオスがラピスに向かって両手を向けた。


 「私の中に流れる忌まわしき血よ、いまその力を解き放て! アスティカルレイド!」

 

 すると、突如フェヴェリオスから血のように赤黒い物体が現れた。それは、何かを探すようにうごめいたあと、ラピスの魔力に気付いたとたん、すごい速度でラピスに向かっていった。


 やばい、あの詠唱は!


 レイオスは足に限界まで魔力をためラピスのところまでいった。そして、ラピスをかばうように前に立ちフェヴェリオスと同じように両手を前に出した。


 「俺の中に流れる忌まわしき血よ いまその力を解き放て! アスティカルレイド!」


 レイオスもフェヴェリオスと同じ詠唱をした。すると、フェヴェリオスのとは違い、光をまとった白い色の物体が現れた。レイオスはそれを自分とラピスを包み込むように覆った。


 「はっはぁ!レイオス、あんたもそれを使えるとはねえ。あんたの力と私の力、どちらが強いか勝負と行こうじゃないか!」


 フェヴェリオスの力とレイオスの力が激突した。ドンという衝撃とともに、レイオス達を覆っていた壁がみしみしと、悲鳴を上げる。


 くっ、なんて魔力の吸収力だ!


 フェヴェリオスが放ったのは触れるものすべての魔力を吸収する自分の中の血、アスティカルレイドの力だった。レイオスも、同じ呪文を唱えたがあまり使ったことがない上にあちらのほうが魔力を吸収する力が強いのでレイオスの力は徐々にフェヴェリオスの力に取り込まれていた。


 「ぐっ、がっ、がああああああああ!」


 徐々に光の壁が赤黒く変わっていく。それは、レイオスの魔力が徐々にフェヴェリオスに取り込まれていることを表していた。


 「レ、レイオス!あんた、大丈夫なの!?私も加勢したほうが…」


 ラピスは自分が今、力になれそうにないことは分かっていた。だけど、少しでも力になりたい。そうラピスは思っていた。


 「だ、大丈夫だ、ぐっ、俺がこの力を防ぐ」


 そう言いながらも、レイオスの体はフェヴェリオスのとおなじ、赤黒くなり始めていた。


 「よくいうねえ、レイオス!今の状態じゃ、勝てないってわかるだろう。さっさと約束の救いを使ったほうがいいと思うよお!」


 フェヴェリオスの力が勢いを増す。それと同時に、レイオスも自分の中の魔力がなくなっていくのがわかった。


 使うしかないのか、あれを……。


 『何を使うのかはわからないけど、それは必要ないと思うよ』


 声が聞こえた。男か女かわからない声が。だが、ラピスはその声の正体を知っていた。


 「アシル!」


 突然景色が揺れた。ぐにゅあと、目の前が粘土のようにねじれる。


 「な、これは!?まさか、あの子を倒してきたのかい!?」


 『あ、はい。そうです、あの真っ黒なモンスターなら今頃校長とテイルがいたぶっていると思いますよ。自分はラピス達を助けるように言われたんで来たんですけど、みんな眠ってるんで勝手に声だけ通じるようにさせてもらいました。あっ、あとですね、この記憶混合魔方陣、壊したんんでそろそろその場所も限界ですよ。早く逃げたほうがいいと思うんですけどね』


 淡々と、コマ拍子に事態が進みレイオスは何が何だかわからなくなった。だが、助けが来たということは理解できた。


 「アシル、あんたは早くそれ壊しなさいよ!よくわかんないけど、それ壊せば戻れるんでしょう?」


 「わ、わかってるよラピス。そんなに怒んないでよ」


 すると、先ほどより強く目の前がゆがみ始めた。それと同時に意識がもうろうとし始める。


 「くっ、もう少しでいけたのに。邪魔が入るとはねえ、しかたない今回はあきらめるとするか」


 そういうとフェヴェリオスは力を止め、詠唱に入った。


 「くそ、逃げるのか」


 「逃げる?とんでもない、逃げたりはしないよ。ただ、今日は急ぎすぎたかもしれない。また日を改めてくるとするよ。それでは、レイオス、いや光の王よまた会える日を楽しみにしてるよ」


 詠唱が終わる。それと同時にフェヴェリオスの体が徐々に闇に包まれ消えていった。


 「くっ…」


 意識が消えかかる。ラピスも、レイオスの背中に覆いかぶさるように意識を失った。


 「フェヴェリオス……闇の王か。……って、あれ?そういえば親父からもらった紙に書いてあったような…………くそっ、やっぱり親父がら…み…かよ」


 自分の父親がらみとわかり、怒りがこみ上げたままレイオスもそこで意識を失った。

レイ「はい、それでは第8回ローン・ウルフ講座を始めます」


レム「今回はアシルとテイルのプロフィールを紹介したいと思うぞ」


レイ「それではどうぞ」


アシル・ホーネンス 16歳 使い魔:バル(炎の馬) 得意魔法:火・幻術全般

体重:50キロ 身長:170センチ 好きなもの:甘いもの

ラピスの幼馴染。ラピスがいないときはとてもクールな雰囲気を出しているがラピスが近くにいると、途端に内気になる極端な性格の持主。童顔なため、学校の女性陣から守ってあげたいという意見が多数あるらしい。武器は銃を使い、それに魔力を込めて打つ戦法を得意としている。


テイル・ロスウェー 18歳 使い魔:なし 得意魔法:地

みんなに頼られる兄貴的存在。ただし、そのせいかたまに有頂天になるのが傷。武器収集家で、面白い武器を見つけると我を忘れるという困った奴である。ただ、体術・剣術など学校の中で数少ない近接戦闘が得意な人物。イスキューオーという血が流れており、情人より体が丈夫。


レイ「実際のところ、こいつらってあんまり出てないんだよなあ」


レム「まあ、もうすぐ出るのだしここで書いておいてもいいだろう」


レイ「それもそうか、それじゃ、今日はこの辺で終わりたいと思います」


レム「明日もまた見るのだぞ!」


レイ「明日じゃなく今度な」


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