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第十五話 ラピス参上!!

 エルハイマは長剣を振り下ろした。すさまじい速さで振り下ろされた長剣はレイオスとレムエムの間に叩きつけられる。


 「くっ…!」


 『ぬおっ!』


 衝撃で砕けた地面が破片となってレイオス達を襲う。


 「ちいっ!」


 破片をよけようと上に跳躍する。だが跳躍した瞬間、エルハイマの長剣がレイオスに襲いかかってきた。


 「くそ!」


 横から来る長剣を自分の剣で受け止める。だが、空中では力を十分に入れることができず、レイオスはフェヴェリオスの方に吹っ飛ばされた。


 『レイオス!』


 レイオスの所へ向かおうとするが、目の前にエルハイマが立ちはだかっていた。


 「あなたを主の所へ行かせるわけにはまいりません」


 ひゅんと、長剣をレムエムに向ける。


 『くっ、こんな時に。我が来るまで死ぬなよ、レイオス』


 そう言い残すと、レムエムとエルハイマは視界の奥へと消えていった。


 「レムエムは行ったようだねえ。それじゃあ、こっちも始めようじゃないか」


 レイオスは剣を構えた。恐らく、今の状態ではフェヴェリオスに勝つことができない。せめて、ラピスでもいてくれれば…


 「行きな、サナトス・ランス・ファイレイタ!」


 闇の槍が四本フェヴェリオスの周りに浮かぶ。すると、四本の槍が、一つに集まり一本の巨大な槍へ変化した。フェヴェリオスが、その槍をつかみ、レイオスに投げつける。


 くそ、でかい!


 フェヴェリオスが放った槍は、周りの魔力を吸収しどんどん大きくなっていた。


 あの大きさでは、自分の力では防げそうにない。かといって、レムエムに頼ろうにもその肝心の本人がいない…、くそ、よけるしかないか。


 レイオスは自分にまっすぐに向かってくる槍を見ながら、横に走りだした。足に魔力を通し、スピードを上げる。


 「甘いね! サナトス・ランス・ファイレイタは、相手の動きに合わせて自分も動く追尾式の魔術だよ」


 フェヴェリオスの言うとおり、レイオスが走り出すと同時に槍の動きもレイオスと同じ方向に動いていた。しかも、スピードがさっきより速くなっている。


 このままでは、当たる!


 避けるのを諦めたレイオスは、槍のほうを向き剣を地面に突き刺し手を合わせた。


 「我の体に流れる光の王の血よ 悪しき力から我を守れ 光の王 レイオス・ウォーリアが命ずる アディキアー・テレイティム!」


 先ほど使った防御壁を発動させる。そしてもう一つ、魔法を追加した。


 「すべてを防ぐ大いなる大地の力よ 我が呼びかけに応え 敵対するものを撃退せよ アースクレイブ・ガレンクオーレ!」


 地面が盛り上がり、巨大な魔力で作られた岩の盾が防御壁の前に現れた。地の属性系の魔法は防御に適した魔法が多い。恐らく、あのやりの力ではアースクレイブ・ガレンクオーレは破れたとしても、その後のアディキアー・テレイティムは破れないはず…。


 ドガンと、岩の楯に闇の槍が衝突した。ズガガガガと、槍が盾をえぐる。そして、岩の楯は槍の威力に負け崩れ落ちた。岩の楯を貫いた槍は多少小さくなったものの勢いを殺さず防御壁に突き刺さった。


 「ぐ、ぐうぅぅっ」


 なんて威力だ……!


 合わせた手に魔力を集中させる。すると、防御壁が先ほどより硬度を増した。闇の槍が勢いをなくし始める。


 防ぎきれる……! そう思った瞬間、


 「甘いねえ、槍に気を取られすぎて私の存在を忘れるなんてねえ」


 フェヴェリオスが目の前にいた。笑みを浮かべながら、右手の爪を剣状に変えて今まさに自分の右手を切り落とそうとしていた。


 間に合わない……!


 剣を抜き取り、防御しようとするがフェヴェリオスの剣はそれより早くレイオスの懐に入っていた。


 「レイオス、あんたの右腕もらうよお!」 


 切られる、そう思った瞬間だった。


 「やらせないわ!シルフィードランス!」


 突然、レイオスに風の槍が直撃、フェヴェリオスの剣からは逃れられたものの壁まで吹っ飛ばされてしまった。


 「ぐ、ごはっ!……いつつつつつ、い、今のは?」


 あまり体が痛くない。といっても、腹に青あざができているが。


 「まったく、どこにもいないと思ったらこんな所にいるなんて。勝手にいなくならないでよね。探したのよ」


 風の槍が飛んできた方向をみると、ラピスが腕を組みながら立っていた。なぜかは分からないが、服や顔に土が付いている。


 「まったく……あんたを探してたせいでひどい目にあったわよ。神殿に入ろうとしたら、モンスターに襲われるし、中に入ったら入ったで道に迷っちゃうし。見なさいよ、これ。私の服、泥だらけになったじゃないの!」


 すっごく理不尽なんだが…だが、俺を探しに来てくれたのは確かだ。ここは礼を言っておかないと。そう思ったレイオスは、ラピスのところまで行くと礼をいった。


 「探しに来てくれてありがとうな、ラピス」


 「ふぇ!?」


 ラピスがとても奇妙な声を出した。礼を言われるとは思っていなかったらしい。


 「い、いや、別に、あのね?あんたを探しに来たわけじゃないんだから。そ、そうよ、私はあの魔女に用があってきたのよ」


 顔が真っ赤になりながら、ラピスは話をそらそうとフェヴェリオスを指差した。


 「おやおや、なるほどねえ。その異常な照れ具合、レイオスも隅に置けないねえ」


 にやにやと、フェヴェリオスが口元を緩める。


 「?どういう意味だ」


 首をかしげるレイオス。元々、女性との付き合いが全くと言っていいほどないのでこういうことには疎いのだ。


 「べ、別に私とレイオスはそんな関係じゃないんだからね。誤解しないでよ!」


 「おやおや、私はお譲ちゃんの事は一言も言ってないんだけどねえ」


 「う、うっさい!それより、私をお譲ちゃんと呼ばないでよね!私はもう17歳なんだから」


 「はてはて、17歳にしては胸が―――」


 「うるさーーい!」


 ラピスは風の槍をフェヴェリオスに投げつけた。それをフェヴェリオスは紙一重でかわす。


 「危ないねえ、当たったらどうするつもりだい」


 「当たるように投げたのよ!よくも、私をペチャパイミジンコお譲ちゃんっていったわねえ〜!」


 「いや、そんなこと言ってない――」


 ヒュンという音とともに、レイオスのすぐ近くに風の槍が突き刺さった。


 「うん、そう言われれば言ってたような気がしないでもないが…」


 「はい、じゃあ決定!あいつ、ぶっ倒すわよ」


 ラピスが腰につけているポーチから鍵を取り出し、構えた。


 「なんなんだ、この雰囲気。さっきまでとかなり違う気がするんだが…」


 そう言いながら、レイオスも剣を構えた。


 それを見たフェヴェリオスがはあっと、ため息をつく。


 「やれやれ、お譲ちゃんは本当はお呼びじゃなかったんだけどねえ。しょうがない、二人まとめて相手にしてやろうかねえ!」


 そう言って、フェヴェリオスも右手を構えた。

―レイオス・レムエムのローン・ウルフ講座―

レイ「はい、始まりました。第七回目、今回は登場人物のプロフィールを紹介したいと思います」


レム「まず初めに、レイオスとラピスのプロフィールを紹介するぞ」


レイ「では、どうぞ」


レイオス・ウォーリア 17歳 使い魔:レムエム 得意魔法:光 

体重:56キロ 身長:178センチ 好きなもの:金 


本作の主人公。幼いころから、ラスカの森にいたので外の情報には疎い。剣術、魔術などはなかなかのもの。『光の王』という肩書を持っている。ただいま、親が作った借金を返済するために悪戦苦闘中。 二つ名は『ラスカの一匹狼』。


ラピス・レティオール 17歳 使い魔:ハピネス(蝶のような妖精) 得意魔法:風

体重:??? 身長:165センチ 好きなもの:空気がうまい所


本作の一応、ヒロイン。自己中心的で人の言うことはあまり聞いたことがない。セシルとは幼馴染で、いつもラピスがいじめる側になっている。胸にコンプレックスを持っており、そのことを言われると、我を忘れるぐらい怒る。ちなみに、生徒会長という肩書を持っている。 二つ名は『恐怖の生徒会長ラピス』。


レム「ひとつ聞いていいか?」


レイ「ん?なんだ」


レム「このプロフィール、小娘が見たら怒るぞ」


レイ「……大丈夫だ。今、ここにはいないから」


レム「後で見られたらどうする」


レイ「その時はその時だ。今、そんなこと気にしてても仕方ないだろう」


レム「うむ、それもそうか。それでは今日はこれぐらいにしたいと思う」


レイ「また見てください。それでは、さようなら〜」


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