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第十三話 過去の記憶と忌まわしき体

 深き森の中にいる少女 記憶を求めて歩き出す


 少女が探しているのは二つ


 闇に埋もれた呪われし記憶 光に照らされた新しき記憶


 少女にとってはどちらも必要 だけど少女は気づく


 私は闇に魅入られた存在 光が欲しくても近づくことさえできない

 

 だから 私は闇をとる だって 私は闇の中でしか生きられないのだから




















 「……ここ、どこ?」


 ラピスは森の中にいた。ザアアアアアと、森の中を風が駆け抜ける音がする。


 「あれ?私…確か、レイオスと一緒に祭壇にいたはずよね」


 ぐるりとまわりを見渡す。360度、森ばかり。どうやら、レイオスとはぐれてしまったようだ。


 ため息をついて上を向く。上のほうはそこまで茂っていないようね。多少、遠いけど魔法を使えば上まで行けるかもしれない。そしたら何か見つかるかも、そう思ったラピスはすぐさま呪文の詠唱に入った。


 『空を舞う美しき風の精よ 我が体に巻かれた地の鎖を解き放ち その力を我が身に宿らせよ ハピネス・ウィング』


 ふわっと、ラピスの体が浮く。そして背中に蝶を思わせる羽が現れた。風の色を思わせるリーフグリーンの色をしており、生きているかのように羽が動いていた。


 「さあ、行くわよ〜」


 ググッと、足に力をため跳躍する。それと同時に、背中に生えた羽が動きラピスの体を上へと持ち上げて行った。


 徐々に上へと上がって行くにつれ視界が広がりだす。そして、完全に森を抜けたときラピスの目の前に黒い神殿があった。


 「なに、あれ…」


 怖い……黒い神殿を見た瞬間、たった一回、それだけでラピスは恐怖を覚えた。


 「どうしよう…あそこに行ったらいやな予感がすごくするんだけど」


 しかし、あたりにはあの黒い神殿以外は何も無い。


 「…しょうがないわね」


 そういうと、ラピスは羽を大きく広げ黒い神殿のほうへ飛んでいった。









 

 レイオスは黒い神殿の中にいた。中は埃ひとつなく、まるで今しがた作られたかのようにきれいだった。


 中を歩き続けると、ひとつの柱があった。なにやら文字が書いてある。レイオスはその文字を読み上げた。 


 「その昔この地に闇の王がいた 闇の王は摩訶不思議な力を使い人々を苦しめた それを見た光の王は闇の王を封印する為の神殿を作りそこに闇の王を封印した しかし 闇の王の力をすべて封印する事ができず 神殿は手を触れることができなくなった だが 神殿に入れるものが現れた その者の名は――ここで途切れてるな」


 石碑に刻まれた文章はそこで途切れていた。自然に崩れたものではなく、故意に誰かが削ったような跡だ。


 「レムエム、やはりここは…」


 『うむ、間違いない。伝説の中に登場する闇の王の神殿だろう。そうだろう、フェヴェリオス』

  


 音もなく後ろから現れたフェヴェリオスは、その問いに答えた。


 「そうだよ、ここは闇の神殿、はるか昔に消えたとされる古代の遺跡さ。ま、本物じゃないけどね」


 「?…どういう意味だ」


 「その石碑に触れてごらん」


 フェヴェリオスの言われるままに、レイオスは石碑を触ろうとしたが、まるで最初からそこに何もなかったかのように手は石碑をすり抜けた。


 「実体じゃないのか?」


 「そうだよ。今、あんたたちが見ているのは私の記憶。私がまだ少女だった頃、ガロリア王国時代の記憶さ」


 レイオスは驚いた。自分の記憶を相手に見せるのは相当な魔術師でないと見せれないはず、そして一番何よりも驚いたのは


 「あんた、いま何歳?」


 がくっと、フェヴェリオスが肩を落とす。どうやら、歳の方を聞いてくるとは思っていなかったらしい。


 「そうだね…それじゃあ、永遠の20歳てことにしといてくれないかい」


 「え?ガロリア王国から生きてるんだろう、20歳はないだろう」


 「…………」


 『…レイオス、お前はもう話すな。話が進まなくなる』


 そうレイオスに言うと、レムエムはフェヴェリオスのほうを向いた。


 『フェヴェリオス、貴様、このような話をするためにこの記憶を見せたのではないだろう。さっさと用件を言ったらどうだ』


 すると、今まで口元を緩めていたフェヴェリオスの顔が急に真顔になった。


 「そうだねえ、そこまで言うなら言おうじゃないか。レイオス、あんたに私と同じ存在になってもらうよ」


 ゴウッと、言い終わると同時にフェヴェリオスから大量の魔力が噴き出した。レイオスの光をまとったものとは違い、フェヴェリオスは闇をまとっている。


 レイオスは自分の肩にぶら下げている剣を手にとって構えた。そしてフェヴェリオスに質問した。


 「なぜ、俺を魔女にしたがる。俺じゃないとダメな理由でもあるのか?」


 「ああ、そうさ」


 フェヴェリオスの右手が次第に形を変えていく。それは徐々に、人間の手ではなく獣独特の鋭い爪がある黒い右手へと変わっていった。


 「私はね、魔女の中でも忌み嫌われる存在なのさ。普通、魔女は自分と契約した魔族を主として生きる。だけどね私の場合、契約した魔族を殺してしまったのさ。自分の体がアスティカルレイドという自分の魔力の量に制限がないという体質のせいでね。驚いたよ、魔族と契約した瞬間、私の体は魔力を欲するあまり魔族の魔力をすべて吸い取ってしまったんだ。そのおかげで私は魔女から追われる存在となってしまった。魔女だけじゃない、普通の人間たちからも追われたんだよ。魔女だからね」


 レイオスは話を聞き、フェヴェリオスが自分と同じ体質なのだと初めて気づいた。魔力に制限がない体質…それだけを聞けば魔術を使い放題だと思うかもしれないが実際はそうではない。魔力に制限なないということは、ある意味自分の魔力が空っぽということと同じなのだ。すると、体は自分の意志とは裏腹に魔力を得ようと周りから魔力を吸収してしまう。レイオス自身もアスティカルレイドだが、フェヴェリオスほど強力な体質ではないのでレムエムの魔力や大気中に存在する少量の魔力を吸収しているだけですんでいる。


 「私はわがままでねえ。一人だけというのはさびしいのさ。だから、私と同じ体質を持つレイオス、あんたに私と同じ存在になってもらおうと思ってたんだよ。そして、あんたには光の王という力がある。約束の救いとやらを私に見せておくれよ、さあ!」


 フェヴェリオスが右手をふるう。闇の魔力をまとった右手から衝撃波が放たれた。それはレイオスめがけて一直線に向かっていく。


 「…そこまで言うなら見せてやる」


 レイオスは衝撃波に向かって、剣をヒュンと一振りした。すると、突然何かに切り裂かれたかのように衝撃波が真っ二つに切り裂かれた。


 「我が名はレイオス・ウォーリア!すべてをさばく光の王なり。フェヴェリオス、お前のような存在などにはならない。約束の救いもお前などに使うものか!」


 剣をフェヴェリオスに向け、そう言い放った。

 

 「…そうかい。なら、力ずくにでも使わせてもらおうかねえ!」

 







 光の王と闇の力を持つ魔女、二人の戦いが始まる。


 


 

―レイオスとレムエム(それとラピス)のローン・ウルフ講座―


 レイ「皆さん、こんにちは。第6回目は、ローン・ウルフの世界に存在する大陸についてお話したいと思います」


 レム「本当ならば、プロローグに描くはずだったのだが作者の文章力の低さのせいで没になっていた所だな」

 

 レイ「そういうプライベートなところは言うなよ」


 レム「別にいいだろう。それより早く始めるぞ」


 ラピ「…ちょっと待ちなさいよ」


 レイ「うん?なんか用か」


 ラピ「せっかく私が来たのに待遇がおかしいじゃないの。それに、上のタイトルそれとってこれじゃ私おまけあつかいじゃないの!」


レイ「と言われてもなあ。本当なら、俺とレムエムだけでするもんだからな。この講座」


ラピ「だからって、おかしいわよ!」


 レイ「はいはい、愚痴は後で聞くから。それではお話します。ローン・ウルフの世界では、七つの大陸が存在します。水の精霊王が住む大陸――アモルファス、風の精霊王が住む大陸――ワユヴァーユ、火の精霊王が住む大陸――エピメーオス、地の精霊王が住む大陸――ガイアノス、氷の精霊王が住む大陸――ベーリンハイル、雷の精霊王が住む大陸――イベルテュール、そして光と闇の精霊王が住む大陸――レビリテリスこの七つです」


レム「この大陸の名前は精霊王がなずけたとされている」


ラピ「まったく、後で覚えときなさいよ。それじゃ、教えてあげるからちゃんと聞きなさいよ。この七つの大陸はもとは一つの大陸だったの。だけど、はるか昔に地殻変動が起き七つに分かれてしまったそうよ。ま、昔のことだから本当かどうかはいまいち分からないけどね」


レイ「ちなみに、俺たちがいる大陸はレビリテリス。そのほかにも、精霊たちが住む世界、魔族たちが住む世界などがあるけど、こんかいはこのへんで終わりです」


ラピ「私の出番、少ない…」


レイ「俺に文句言うなよ。それでは、皆さんまた会いましょう」


ラピ「次もちゃんと来なさいよね!」



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