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第十二話 光の王と闇の王

 魔女―魔族と契約を行い力を得た者。


 魔女は人々を混乱に陥れ、死をふりまく闇の象徴。


 それが、この世界における常識。


 古代ガロリア王国が栄えていた時代には、魔族と契約を行うものが後を絶たず、そのため唯一魔女を殺せる『魔女狩り』が後を絶たなかったと記録されている。


 しかし、時代が変わるにつれ魔女の数は減少し、現在ではいなくなってしまったと記されていた。


 そのため、レイオス達が驚くのも無理はない。


 「驚いたかい? いや、驚かないわけがないだろうねえ。今じゃ、魔女なんて伝説の中の存在なんだからねえ」


 そういうと、フェヴェオリスは自分の髪をなで始めた。


 黒い、漆黒の髪、レイオスと同じ髪の色だ。


 しかし、眼だけがレイオスとは違い、闇のように濃く黒い眼だ。


 「あんたが……魔女?」


 フードを脱いだフェヴェリオスにレイオスは困惑した。

 

 「ふふ、信じられないかい?それはそうだろうねえ。……だけど、実際にここにいる。私は本当の魔女だよ。その証拠に、ほら……」


 そういうと魔女は右腕の袖をめくった。


 「!……それって、魔族との契約の証し…ハイマドゥースの刻印だわ」

 

 「おお、よくわかったねえ。赤髪のお譲ちゃん」


ラピスの問いにフェヴェリオスはパチパチと拍手を送った。


 「お譲ちゃんの言うとおり、この紋章はハイマドゥースの刻印といわれる、魔女だけにしか刻まれないものさ。レイオス、ハイマドゥースがどういう意味をもつか知っているかい?」


 フェヴェリオスの問いに、レイオスは首を横に振った。


 「それはそうだろうねえ、この刻印の意味を知る者は契約を交わした魔女しか知らない」

 

 「ならなぜ俺に――」


 「おっと、まだ私の話の途中だよ」


 フェヴェリオスは、レイオスの言葉を遮ると話を続けた。


 「この刻印の意味は魔女しか知らない。だけど、唯一知っている者たちもいる。そうだろう、レムエム」


 『……なぜ我の事を知っている』


レイオスの隣から声がし、一瞬光ったかと思うとそこには光に包まれたレムエムが現われていた。


 「え、なに、犬?」


 突然現れたレムエムの存在にラピスは驚いた。


 『犬ではない。それよりフェヴェリオスとやら、もう一度聞くぞ。なぜ我のことを知っている。我の存在を知っているものは、レイオスとレイオスの両親、この学園の校長、その者たちしか知らぬはず。なぜ、他人の貴様が我の名前を知っているのだ』


 「…………」


 『まだあるぞ。貴様に会う前にこの周りを調べたが、柱にある文字があった。あの文字…我が昔に見たものと似ていた』


 「……なにと?」


 フェヴェリオスの口元が微かにひきつった。


 『古代ガロリア王国で見た文字…魔族と契約を結ぶための、契約文字だ』


 「やっぱりか…」


 「うそ!?」


 レムエムの言葉に、レイオスとラピスは驚きを隠せなかった。


 レイオスは、先ほどレムエムと一緒に見ていたせいか、そこまで驚かなかったがラピスは違った。


 いや、嘘でしょ?ありえないわこんなこと。魔女の存在だけでもややこしいってのに、それうえ契約ですって?……そ、そうよ、これは幻術よ。あの魔女がかけた幻術なんだわ。


 「大丈夫か、ラピス。目がおかしいぞ」


 えへへ、と笑い出したラピス。少々目がいっている。 


 「だ、大丈夫よ。うん。私は、幻術を返す方法を知ってるから。うん、レイオス動かないでよ」


 「へ――」


 「てやあ!」


 「げふっ!」


 ドゴン、という音とともにレイオスの顔面にラピスのこぶしが命中した。


 「どう、目が覚めた?」


 「なにすんだ、ボケー!」


 「なによ、まだ幻術から覚めてないの?もっかい殴ってあげようか」


 「すいません、ラピス様」


 『なにをしておるのだ、お前たちは」


 レムエムは、レイオスたちに一言言うとフェヴェリオスのほうを向いた。


 『さあ、答えよ。このような場所で何をしていた。恐らく、ここは魔族と契約を結ぶ場所―魔女になるための所の様だが、まさかレイオスたちを魔女にするつもりではあるまい――』


 「そのまさかさ」


 その瞬間、ゴウッという音とともにフェヴェリオスとレイオスたちの周りに黒い炎が噴き出した。


 「まさか、あの文字を知っている奴がいるなんてねえ。予想外だったよ。ま、ばれた以上さっさと始めるしかないねえ」


 そういうと、フェヴェリオスは両手を合わせた。


 「さて、ここじゃ戦う場所としては少々合わないねえ。場所を変えようか」


 パン、と地面に両手をあてた。すると、地面が光り輝きだした。よく見ると、なにか陣が描かれている。


 「く、なんだ!?」


 徐々に光が強くなっていく。それと同時に、レイオスの意識も朦朧としてきた。


 「レイオス、あんたにひとつ教えてあげる」


 いつの間にか、レイオスの目の前に来ていたフェヴェリオスが口を耳元に近づけてこういった。


 「あんたはね私と同じ、光を受け入れる器もあれば闇を受け入れる器もあるんだよ」


 「なんだと?」


 光が強くなる。レイオスの意識は、消えかかっているも同然だった。だが、フェヴェリオスが最後に言った言葉、それはなぜか聞こえた。


 「闇…の……王」


 その瞬間、レイオスの意識は途絶えた。



 





―レイオスとレムエムのローン・ウルフ講座―


 レイ「皆さん、こんにちは。第6回目は、体術について教えたいと思います」


 レム「体術というのは、魔術などと違い精神ではなく肉体を使うものだ」


 レイ「体術の中には剣術、棒術、組術など様々な分野がありますが一般的に一番広まっているのは剣術です。剣術は、剣をつかった体術の事で色々な流派があります」


 レム「そして、達人などは気と呼ばれるものを用いてすさまじい剣技を使用することができるそうだ」


 レイ「ちなみに、気とは自分の肉体に存在する肉体エネルギーを使うもので魔術は精神エネルギー、つまり魔力を使うものです」


 レム「ただし、レイオスのように魔力を剣に付加して戦う者もいるがな」


 レイ「魔力で戦うやり方は、魔力の消費が激しいのでそんなに使えないんだけどな」


 レム「ほかにも色々あるが、時間がないので省略しておく」


 レイ「どういう理由だよそれ」


 レム「ま、まあとにかくだ。体術には限りない無限性があるということだ」


 レイ「そういうことにしておくか。今日はこれで、終わりたいと思います。あ、最後にですが次の講座からは、ラピスが来るそうです」


 レム「あの小娘か…。我はあんまり好きではないのだがな」


 レイ「言うな…。それでは、また見てください!」


 レム「次も見に来るのだぞ!」






ただいま、今までの小説を書きなおしています。15話ぐらいまで出したあと、一度直しに入るので二週間ぐらい更新が遅れるかもしれません。なるべく早く、修正しますのでご了承ください。


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