表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/70

第十一話 闇を統べる魔女

「うわああああああぁぁぁ!」


「きゃあああああぁぁぁぁ!」


レイオス達は暗闇の中を落ちていた。ひゅうううううという風を切る音だけが聞こえる。


『レイオス!!』


レムエムが叫ぶ。


「わかってる!」


レイオスは答え返すと、右手を暗闇のほうへ向けた。


「ホーリーエクセキューション・バシレウスソード!!」


右手が光り輝き、祭壇で出した光の剣が姿を現す。


「伸びろ!」


すると、レイオスの声と共に光の剣の刀身が伸び暗闇に向かっていった。


ドガッ!


何かに刺さる音がする。それと同時にレイオスの降下が止まった。


「我が身に宿る風の息吹よ 悠久をはしる風を従え いま此処に われを守る風とならん エディションゲイル!!」


ぶわっという音と共に、風が吹き荒れる。その風はラピスの体を包み込み、宙に浮かせた。


「ふう、危なかったわ・・・・・・・それよりここはどこ?大広間の地下にこんなところがあるなんて」


「さあな」


「さあなって、なによ、その言い方!」


ギャーギャーとわめくラピスをよそに、レイオスは考えていた。


(どういうことだ?学園の地下にこんなものがあるとは。バシレウスで照らさているのにこの暗さ・・・何か魔法の類を使っているのかもしれない。それに、この下からくる純粋な気配・・・魔物ではないな。ということは、人間?いや、人間にこんな純粋な気配はしないし・・・・)


「ああ、もうわけがわからん」


くしゃくしゃっと髪を掻くと、レイオスはレムエムに向かって話しかけた。


(レムエム、ここがどこだかわかるか?)


(いいや、我も始めて見るぞ。こんなところは)


やっぱりか、とレイオスはうなだれた。


(これからどうする?)


(ここで、立ち往生していたも何も始まるまい。いっそのこと、下へ降りてみたらどうだ)


下を見てみる。暗くてよく分からないが、やはりあの純粋な気配がする。いやな感じというわけではないが、危険なことに変わりはない。


(危険かもしれないぞ)


(こんなとこで何もしていないよりましだろう。それに、小娘がこんなとこでじっとしているような輩には見えんがな)


ラピスのほうを見る。下をのぞきこみ、いけるかな? 風魔法でゆっくりと降下すればなどと独り言を言っている。


(それもそうだな)


レムエムとの会話を切り、下へ行く準備をする。


「ん、下へ行くの?」


レイオスの動きに気付いたラピスが話しかけた。


「ああ。ここで待っているより、下に行ったほうが何か得られるかもしれないからな」


そういうと、レイオスはバシレウスを消した。ヒュウッという音とともにまた暗闇へと落ち始める。ラピスも、風魔法を操りながら降下を始めるのがレイオスの目からみえた。









一方、大広間では祭壇を壊した怪物が姿を現していた。



『ギュオオオオオオアアアアアアアアアアア!!』


怪物の咆哮に、生徒達の精霊が固まる。生徒たち自身も、あまりに急なことに対応できず動けずにいた。


『ギュオオオオ・・』


怪物が動き始める。その瞬間、生徒たちの中から二人の少年が怪物の前に躍り出た。


「へ、選別式のせいで体を動かせずイライラしてたところだ。ぶっ放してやるぜ」


背中に大剣を背負って現れたのは、テイル。背中に背負っていた大剣を抜き、構えて戦闘態勢に入っている。


「まったく、少しは落ち着きなよ。毎回毎回、そうやって失敗してるんだからさ」


腰にしまっていた銃を二丁とりだし、テイルをなだめているのはアシル。アシルも、テイルと同じく怪物に銃を構え戦闘態勢に入った。


「こ、こら!容易に前に出るんじゃない。ここは我々先生たちに任せるんだ!『いやだね』なっ?」


あからさまにいやな顔をしながら、テイルはいった。


「先生、足震えてんじゃん。そんなんで任せろって言われても、信じられないね」


「し、しかし、生徒だけでどうにかできる問題じゃないぞ!」


「ま、見ててくださいよ。ぱぱっと終わらせますんで」


そう言って、テイルは怪物に向かって走り出した。


「すいません、先生。だけど、大丈夫ですよ。僕が付いてますんで」


そう言って、アシルも怪物に向かって走り出した。













―光と闇の塔 地下―


降下し始めてから、数分。下のほうが少し明るくなりだした。どうやら、あそこが最下層らしい。


「ラピス、そろそろ着くぞ。何が起こるか分からないから気を抜くなよ」


レイオスがそういうと、ラピスはふん、と鼻を鳴らした。


「誰に向かって口きいてるのよ。そんなこと、心配されなくてもわかってるわ」


「はいはい」


地面が見えた。


「伸びろ」


右手からバジレウスが現れ、地面に向かって伸びていく。


ガスッ!


バジレウスが地面に突き刺さる。それと同時に、レイオスはバジレウスに少しずつ縮むよう命令した。



そこは通路だった。大理石の柱が一直線に並び、松明がともっている。周りは薄暗く、通路の奥に不思議な光が輝いていた。


「よいしょっと」


ラピスも地面に着地する。そして、周りを見渡し、ため息をついた。


「これは・・・・でかいわね。それにかなり古い時代の建造物だわ」


レイオスとラピスは、周りを見ながら不思議な光がある方向へ歩いて行った。


「ねえ、レイオス。ここ、なに?色んな文字がいたるところに刻まれてるけど読めないのよね」


「・・・・・・」


「ねえ、聞いてる?ねえってば!」


レイオスはラピスの言葉を聞いてなかった。いや、聞けなかった。それ以上のことが、レイオスの頭を埋め尽くしていたからだ。


(レムエム、この文字・・・)


(ああ、間違いない・・・・この文字、これは・・・)


「よく来たねえ、『光の王』よ。いや、ここではレイオス・ウォーリアと呼んだ方がいいのかね」


突然だった。


いつの間にか、レイオスとラピスの前に黒い鳥を肩に止まらせ、真っ黒なフードをかぶった人が現れた。


あまりに突然なことに、レイオス達が固まる。だが、黒い鳥を従えた人はお構いなしにしゃべり続けた。


「ずっと待ってたんだよ、レイオス。選別式が早く始まらないかと、ずっとそわそわしててねえ。いやはや、少々手荒な方法で連れてきてしまったが許してくれ。悪気はないんだよ、悪気はねえ」


黒い鳥を従えた人は、そこで話を区切りレイオスを見つめた。顔が見えないが、敵意がないことは気配からわかる。


「お前、誰だ?」


レイオスは聞いた。


「私かい?私はね・・・・・・」


そういうと、黒い鳥を従えた人はフードを脱いだ。


「私はね、数千年も前から生きている者―フェヴェオリス。人々から忌み嫌われる、魔女さ」














申し訳ありませんが、今回のローン・ウルフ講座はお休みさせていただきます。次回は必ず載せますので、次回もぜひ見てください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ