第八十七話 反乱のその後…
コレイト・ムサソーダが起こした反乱は、その首謀者が一刀の下に倒れ呆気ない幕切れとなった。また今回の反乱の場合王宮内で起こった事と王都で起こった事の捉え方が異なり、各々反乱の呼び名が異なる結果となった。王宮内ではムサソーダの反乱、即ち貴族によるものと認識される。しかし、王都内では冒険者の反乱と言う様に見られているのだ。
そして、王国は今回の反乱を敢えて一緒に見做すことなく分けて事に当たる事とした。
その訳は平民に多大な被害が出たばかりでなく、それ以上に貴族に多くの処罰者が現れるからである。
フロランス侯爵家の後継ぎであるゼッセンは、膨大な調査書と報告書を複数の部下と共に纏める作業に当たっていた。彼等は主に反乱の原因究明を行いつつ平民の被害調査と補償を査定する部署に宛がわれている。
しかし、事の真相を突き止めるまでの道程は険しいと言わざるを得ないのが現実であり、報告書の作成は未定となっている。
しかし一歩ずつ地道に調べる中、最初に調べたのが地下牢で発見されたムサソーダ侯爵と言われた遺体である。サラ・ロースロンド男爵とマリアンが閉じ込められた場所に何故か拘束されていたと言うから謎を呼んだ。しかし、調べてみると明らかに人とは思えぬ形状をしており、ゼッセンは早速魔族の者に願い出て確認をして貰う事となった。
この時既に両国間で友好条約を締結し友好国として機能し始めていた。その一環として今回の反乱についての調査に全面協力すると言う事がトップの話し合いで決まった。
「これは……人形ですね」
「人形?一体どういう意味です?」
魔族の男は遺体と思しき物に触れると何やら手に力を込める仕草をした。それから数秒後ゼッセンに向き直りその様に言った。
「これは死者を操る呪術が使用されています。僅かにですが魔力が残っているのです。そこで詳しく調べる為これを帝国へと搬送しても宜しいですか?」
ゼッセンにはここで否と言える筈もなく大きく頷きお願いする事となった。
ゼッセンは今回の調査に当たり部下百名と執務室を与えられていた。とは言え此処では最大五名が作業に当たれるだけの広さしかない。残りの者は主に聞き込み調査や査定、検証等により外で働くことになっているからだ。
「ふー」
彼は大きく息を吐き出すと自身の椅子に深く腰掛けた。
反乱終結から早くも二週間が経過していた。王宮内に居ても王都で行われている工事の音が耳に入り、至る場所で再建が始まっているのが分かる。これらの手配も何故かゼッセンに与えられ、それに合わせて強権と思えるほどの権限を与えられた。これは王に対しても命令できるほどに強いとされ重臣は当初猛烈に反対したのだ。しかし、その重臣らは反乱中何をしていたのかとフェーバル王に尋ねられると沈黙しこれ以上何も言えなくなってしまった。
誰一人として欠けることなく反乱後も貴族で居られるのは単にゼッセンと孝雄実たち、そして魔族の者たちの御蔭である事は誰もが知る事である。だからこそフェーバル王はその感謝と共に次期フロランス侯爵家当主の実力を測る絶好の機会と定めたのだ。
「ゼッセン様、お疲れ様です」
「あーお疲れ様、フェータ。レイスレット様は、っと違った。チャレン殿下は如何しました?」
体を椅子に預けているとフェータがお茶を持って入室してきた。
この時王国内では変化が生じていた。反乱終結五日目、フェーバル王は王家さえも束縛する詠唱破棄を認めると言う命令を発した。学術省を頂点とし、ムサソーダ侯爵家を媒体に王国内に広まり、蔓延していた詠唱と言う呪縛を解き放ったのだ。但し、詠唱を禁止するとは言っていなかった。それをすれば貴族の多くが敵に回る可能性が在るからだ。それでは王家も立ち行かなくなる。
それに伴い、禁忌とされていた詠唱破棄を幼少の頃に行ったフェーバル王の息子チャレンを王族へと復帰させることに決まった。追放となった経緯から今迄どうしていたかまでの概略を伴い国中に情報をばら撒いたことで、認知と詠唱破棄を禁忌とした国策により不幸の王子チャレンの名は一気に広まる。そして彼は悲劇の王子として今回傷ついた平民の慰撫へと連日遅くまで行う事となった。
「本日もアレイセン王太子殿下と共に王都内の慰撫へと出向いております」
この事に一番喜んだのは言うまでもない次期国王のアレイセンである。彼は間接的ではあるがチャレンをレイスレットへと変える切っ掛けを与えてしまった事を悔やんでいた。
末子故にとても可愛がられたチャレンは中でも彼が一番可愛がり、それによって彼も懐いていたのである。まるでその穴を埋めるが如く仲の良い兄弟を見せつけていたのである。
「そういじけるな、フェータよ。一カ月の辛抱だ。それが終われば殿下は君の下に戻って来る」
そしてもう一つ国王は国民に大々的に発表した事が在る。それがチャレンの婚約者としてフェータの名を上げたのだ。此方もまた悲劇のヒロインの如くチャレンと共に苦労した事を物語として語られるまでになった。特に貴族の淑女には大人気となるほどの物語であった。
不幸にも禁忌に触れた王子、それを護る女性が常に付き従い長い年月幽閉地で時を過ごす。幼いながらも互いを助け合う様に生きてきた二人。そして何時しか信頼し合う男女の関係となる。時が立ち、禁を解かれた二人は晴れた表舞台へと返り咲く。娯楽に乏しい中、物語でしか語られない様な現実が目の前に存在する。それに飛び付かない女性はいなかった。涙無しには語れないという謳い文句すら付けられるほどの人気となってしまった。
「またそうやってからかわないで下さい」
「からかっていないさ。実際に君たちの思いは本物だろう。ならば惚気の一つでも見せて貰いたいね」
こうやって軽口が聞けるのも王家とフロランス家の関わりが密接である事の証左である。但し周囲に人が居ない時限定ではあるが…
「そうですか…ではそういうお話しが出来るよう早くお返しください」
少し棘のある様なもの言いとなったフェータを見てゼッセンはしまったと言う思いになった。
「悪いな。ところでフェータは今の状況はどう思う?」
「状況ですか?」
「ああ、チャレン殿下へと復帰され、フェータはそのお妃様となる。この様な事が起こらなければ決して成る事の無い環境だ。奇跡とも言える状況にどうかな、と思ってね」
そう言われた彼女はふと考えてこう言った。そもそもフェータも一男爵家の娘である。
但し貴族社会においては下に位置し、王族との婚姻は言えばまずあり得ないと言うのが共通認識であった。
「私はチャレン殿下でもレイスレット様でも変わりは有りません。私の全ては彼のお方に奉げております」
そう言い放った彼女の笑みと纏った雰囲気はゼッセンを以ってして魅入られるほどの美しさであった。
「そうか。だが、環境が変わって日が浅い中休みを与えられなくて本当に済まないと思っている。一月、兎に角一月凌いでくれ…」
「殿下も私も重々承知致しております」
そう言って彼女はゼッセンに頭を下げるのであった。
フェーバル王たちは連日のように新体制を発足するべく精を出している。ムサソーダを始め学術省に関わっていた貴族の大半がお家取り潰しか領地召し上げ、降格と重い処分が課される事となる。その中で最優先に決定したのがムサソーダ侯爵家の取り潰しである。
それに連なる家も状況によって既に処分が言い渡されていた。それ以外は取り調べの後判断が為されることになる。そして、その穴埋めとなる人選を選定し各領地運営に支障が出無い様に苦心している。
しかし、この日は見方を変えて歴史について調査を任せていた部署より報告を受け、それについて検討している。
彼等は反乱終結時、数人を纏めて一部屋に押し込められていた。しかも全員が眠らされた状態であった。これはムーレリアが彼らに知らせた話しだがムサソーダがフェーバル王らを操るべく苗床にしようと画策していたのではないかという予想を立てていた。
反乱は何を以って成功とするかによって変化する。ムサソーダは恐らくムーレリア達を何らかの方法で処刑した後、王家を始め国家の中枢を意のままに操れるよう乗っ取る腹積もりであったろうとしたのだ。
とは言えこれはあくまで推測の域を出ていない。結果は帝国での取り調べによって判明する話しであり、王国は待つことしか出来ないのだ。
「うーむ、これは先代以前に何処から喰い込まれているのだ…」
フェーバル王を始め重臣一同に配布されている資料を見て誰しもが唸り声を上げるだけに終始している。
「陛下、これは相当の年月を掛けねば結果は出ませんぞ」
「分かっている。しかし、此方はそう言っていられんぞ」
フェーバル王は次に書かれている推測、憶測の域を出ないという前書きが書かれたページを示していた。
そこには今回の冒険者の反乱において全てが用意周到に行われたが、その手立てにおいて外部の手が入り込んでいる可能性が在り。という一文を指差した。その証拠として結界を発動させた魔道具がドットゥーセ王国、ホルト王国のどちらにも関係していないと分かったからだ。
「確かにこれは重大ですな。しかし、第五城壁とは…建てられてから七十年は経過しておりますな」
「うむ。この魔道具はは何時頃造られたのか、誰が陣頭指揮に当たっていたのか全てはこれからの調査次第か…」
フェーバル王は大きく息を吐き出し調査書をテーブルへと投げた。
「一体この国の為政者は誰であろうか…」
「陛下!滅多な事を仰りますな!誰もが陛下を仰いでおられます。国民とて今は懸命に王都の復興に従事しております。誰もが陛下を想い懸命に生きております!!」
口々にこの場に集う重臣はフェーバル王が、王家がどれほど慕われているか列挙する。
ドットゥーセ王国は王家の力が絶大である。そしてその威光は国土において揺ぎ無い存在である。しかし、彼がこう言った理由は別にある。
彼は王とは言え所詮人間であると言う思いであったのだ。どの様な権力を持とうとも人間の理を脱せば唯の人間でしかないと思わされたのだ。そして生きる時間が違うと言う事がどれほど恐ろしいかと言う事も彼に衝撃を与えていた。
「有難う。そなたらの言葉は余の胸に深くしみ渡った。さあ新体制に向け余に力を貸してくれ」
「承知仕りました」
再び国家体制を刷新する重要な会議が再開した瞬間であった。
反乱発生時、王国軍は三カ月前倒しで定例の演習を行うべく王都を空けていた。それが仇となり警備兵を中核とした二線級の人材が王都を護るだけであった。これすらもムサソーダの策略であったのだが、それを知るには遅きに失していた。とは言え反乱当時どうなっていたのか、王国軍五万と冒険者二万と言う集団が衝突寸前であった。
本来は演習に王族の観閲を受ける手筈であった。ところが先触れを知らせる近衛騎士団が一向に訪れず、そして消費物資を届ける役目を負った商人すらも来なくなった。そこで
王国軍を与るサレイネート公爵は独断で演習を打ち切り王都へと帰還する事を決断した。
これが出来たからこそ衝突する寸前まで行ったのだ。これは彼がフェーバル王の弟であるからこそ可能であったと言える。ドットゥーセ王国は王族の一人が王になった瞬間男は公爵位を与えられる事が決められている。僅かな領地と共に何某かの役目を帯びるのだ。
そしてサレイネート公爵は軍権を与えられた。軍務大臣の下に付くことになるが王家と言う威光は平民を中核とする王国軍では絶大である。また、フェーバル王との間に絶大な信頼関係が構築されているからこそ軍権を与えられている。
性格もこの関係を円滑なものとして、それが今まさに作用していたのだ。
「演習の中止と共に軍を可及的速やかに王都へと差し向ける」
サレイネートのこの宣言によりざわめきが起こりだした。本来大隊長までが参加出来る会議用の天幕を今回は中隊長にまで拡大している為空間が少なく、熱気に満ちている。そして彼の発言により余計に熱が上がってしまった。
軍の構成はサレイネートを頂点としたピラミッド型構造となる。四つの軍団を以って王国軍は為っている。一万二千名で軍団と呼び、三千名で師団と位置付ける。七百五十で連隊となり百八十名で大隊と呼ぶ。その下は中隊、小隊が最小単位となる。なお端数は連絡員と言う位置付けとなる。
「まあ落ちつけ。これより私がその考えに至った訳を話す。一つ目は王族の観閲される事となっておるが先触れがやってこない」
その事を知る者はサレイネートの側近と軍団長だけであった。それ未満の隊長は与り知らぬ話しである。その為にざわめきが起こった。
「静まれ!未だ閣下のお言葉は終わってはおらん!!」
彼の副官が一括すると水を打った静けさとなった。
「バレル済まない。二つ目、消耗品を補充しにやって来る筈の商隊も一週間ほど前から途絶えている。余裕を見て後一週間は軍を維持出来るが万が一を考えれば此処を限界と見るのが現実的だ」
此方の説明はざわめく事は無かった。商人がやってこない事は彼等も知る話しであった。
隊長格の人間は必ず特別講習を受けなければならない。その中で口酸っぱく言われるのが兵站の重要性だった。これを抜きにして軍を維持する事叶わず、戦いを勝利に導く事も戦線を維持する事も叶わないのだ。人は腹が減れば動く事が出来ない。精強な兵士も食料と水が無く、武器すらも無ければ戦えない。これを肝に銘じさせられる。故にサレイネートが話す言葉には緊張感すら漂わせる者が存在する。
「私はここと王都の間で何かがあったと睨んでいる。そして先程偵察からの報告があった」
彼が危惧した通り、通り道において大規模な集団が存在していたと言う報と共に煙が立ち上っていると言う話しを受けた。これは食事で出る煙ではないと言うのだ。
「以上を以って私は打ち切りを命ずる。そして皆は速やかに部隊を行動可能にして貰う。これは命令である!本日夕刻までに全部隊の移動を可能とせよ」
『はっ!!』
有無を言わせぬ風格を持つサレイネートの言葉で参集した隊長たちは行動を開始し始めた。その動きを見てサレイネートは満足そうに頷いた。
『聞けぇーい!諸君らの働き、アースル・サレイネート公爵が一番理解しておる!これより強行軍となるが今一度耐えて貰う。恩賞はその分弾むぞ!いいか、これよりは王国の為死力を尽くして貰う!!』
かくして王国軍はサレイネートの命令の通り夕刻には移動を開始した。偵察からの報告で早朝には目的地に到着する。入念な打ち合わせは既に終了し、後はどれだけ早く移動が可能となるかである。
そして、予定通り目的地へと辿り着いてみるとどの集団であるかが判別できた。
「冒険者だと!?して数は?」
サレイネートが何度も偵察へとやった効果がここで出てきた。少なくとも二万と言う大規模な数だと分かったのだ。
五万対二万と言う数の上では圧倒的有利。しかし、相手は冒険者の前に国民である。平民の他に貴族も居る事は容易に想像が付く。実力においては錬度と連携、そして装備の面においては圧倒的有利である。しかし、冒険者には連携はあくまでパーティーと言う極少数単、装備もバラバラなのだが個人的な能力は高い。それこそ兵士十人で掛かっても倒せない相手が相当数存在するのだ。
戦いは意図せず始まった。王国軍はなるべく相手を刺激しないよう、傷付けないよう慎重に事を運ぼうとした。しかし、目の前の冒険者の群衆は一斉に向かって駆け出した。
各中隊長は一斉に命令を発し、その内容は気絶で済ませよ。という難しい物であった。
前線で戦う兵士にとっては絶望に近い内容だった。集団戦を得意とする兵士等は命令されればその様に動く事を徹底的に仕込まれた為に自然と体が動いてしまう。
ところが暫くすると冒険者に異変が現れる。突如動きを止めたのだ。言葉にならぬ声を発し続けもした彼等はそれすらも無く、魂が抜けた様に静かになった。
状況を詳しく調べた後この場に居る冒険者全員を捕縛する命令が出された。それに対し彼等は素直に従った。と言うよりも何が何だか分かっていないと言うのが実情であった。
足止めとして使われた事は後に判明する事となるが、情勢不安となる王都へいち早く王国軍が帰還できたことは幸いであった。此処においてもムサソーダの目論みは失敗したことになる。
そして肝心の孝雄実たちと言えば…
「そっちに行ったわ!!」
「了解エレオノーラ!」
「これで依頼達成だな。ご主人様」
エレオノーラがブラックとホワイトを駆使して動物を追わせ、孝雄実が弓で射抜き漏れた物をマリアンが仕留めていった。
「漸く冒険者業に精を出せるってことかな」
孝雄実はすっかりこの世界に染まっていた。
「だな。しかし、キャメルは残念だな、ご主人様」
「まーね。でも暫くの間って話だろ?」
二人が話しているとエレオノーラ達が戻って来た。
「何の話し?」
「キャメルとサラの話しだよ」
孝雄実がエレオノーラに説明すると納得した顔になった。
「そうね。でもサラは穴埋めが終われば解放されるのでしょ。キャメルは…暫くは無理よね」
「それに関しては仕方が無いと言うか…」
「でもそう言ったら私たちも同じだろ。表彰されるまで王都を出る事を禁止されているんだから」
「そうだな。でもこれで冒険者ランクを上げられるってもんだろ?」
そう言って孝雄実はエレオノーラを見た。
「そうね。ランクは確りと上げるべきよ。これからの事を考えるとね」
孝雄実たちは反乱終結後王宮から王都の高級宿へと移ることになった。これは混乱する王宮内では安全を確保できないと言う理由からだ。しかしそれは表向きに過ぎず、英雄と言えど所詮平民という見方が抜けず反発する貴族が居た為であった。
サラの場合、元フロランス家のお嬢様で現ローステッド男爵家の当主であることからゼッセンの下に入り、日夜各貴族の下へと赴き交渉役として奔走している。
キャメルの場合はもっと悲惨である。反乱発生により冒険者ギルドは大混乱に陥り、本部長以下冒険者ギルド本部の幹部は全員クビとなってしまった。理由は冒険者の反乱である。これを止められなかった本部長、幹部は職を解かれ厳しい取り調べを受けている。しかし、ギルドを停止させる訳にはいかず、反乱を集結させた中にワレンスナが居たことから彼女を臨時の本部長とし、キャメルを秘書に就けてギルド本部の再出発を図っている。
二人は余りの忙しさに孝雄実たちと一緒の拠点に居る事も出来ずにいた。
「二人の分も一杯依頼を受けてランクを上げようぜ」
孝雄実の言葉に二人は笑顔で頷くのであった。
「暫くお別れだな…」
ムーレリアは短いが濃縮な時を過ごしたドットゥーセ王国、そして孝雄実たちをとの想い出を想い出し、そう言葉を漏らした。国交樹立の翌日、やらなければいけない事を携え早期帰国の途に付かなければならなかった。
「しかし姫、律儀に空間魔法禁止を守らなくともよかったのではないですか?」
「いや、それは駄目だ。幾ら特例として認められても初めから守れぬ様では信頼関係を構築できぬ。さて、皆気を引き締めよ。これより私が主導して事を運ぶことになる。先ずはあいつからどれほどの情報が絞り取れるかだな…」
ムーレリアは今回の事を踏まえ、魔族のこの国における原則空間魔法使用禁止を新たに設ける事を決定した。その際、デムレストア帝国とドットゥーセ王国を結ぶラインをピュータ村の鉱山奥深くとし、それ以外の場所に決して移動しない事を条文に盛り込んでいた。
彼女等は反乱終結後数名の部下を残し帝国へと戻るのであった。
「また会おう。近藤孝雄実…」
この言葉は親衛隊にも聞こえない、しかし確実に孝雄実に聞こえていた言葉であった……
最後までお読みいただき有難う御座いました。
この話しで取り敢えず魔族との絡みは終了となります。次話から冒険者として出発出来る様なお話しとなります。
※公爵位についての補足。ドットゥーセ王国では王族の兄弟が即位した瞬間公爵と成ります。本来は大公と呼ぶと思います。理由は王に近い存在として君臨させるよりも一貴族と言う認識で仕えると言う考えを植え付ける為と言う側面があります。
公爵は本の僅かに侯爵より上に位置しますが、これは表向きでしかありません。
あくまで本編においてはと言う事をご了承くださいませ。
ご感想等お待ちしております。
それでは次話出会い致しましょう!
今野常春




