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目を覚ませば異世界へ…  作者: 今野常春
気が付けば魔族が!編
95/107

第八十三話 救出と反撃を開始する!

 下手くそですが挿絵(地図)を入れてあります。

「先ずはあそこね」

 サラは指示された場所を指差し目標を示した。

「分かった」

 それに合わせて孝雄実が魔法を使用し、氷の槍を造り出し投擲した。距離にして八百メートルの距離を孝雄実は何てことなく軽く投げるがその槍は石を持っているかの如く目標に吸い込まれ速度が加わった破壊力は周辺も纏めて吹き飛ばした。

「お見事」

「流石ね。孝雄実」

 サラは小さな声で孝雄実に声を掛け、拳を突き合わせたのに対し、ツイーテアは彼の魔法威力と精度に感嘆の声を上げた。

 三人がこうしている事について話しは囚われた時にまで遡る。


「皆さんには此方にある場所の魔道具を破壊して頂きます」

 デムレストア帝国皇女ムーレリアの親衛隊女性剣士ツイーテアは王宮と王都の詳細が描かれた地図を示して話しを進める。孝雄実たちも真剣な面持ちで地図を眺め、彼女が指差す場所には丸く囲われた印が在り、どれも第五城壁の塔に存在すると指示された。

「数は十二個です。この全てを破壊しない限り姫を救出する事が出来ません」

 そう話す彼女の顔は危機迫るものであった。






 話しは再度遡る。事の起こりは孝雄実たちが許可を得て王都グローリンバリーの街中へと足を延ばしている間であった。皇女ムーレリアを始め魔族側外交使節団の面々は国交樹立を現実化出来る事に納得し、且つ国内問題の僅かではあるが解決の糸口を見出したことで胸を撫で下ろしていた。

「何とか締結まで辿り着けましたな」

 ムーレリアの執事ホレムが彼女にそう言葉を掛けると彼女も満足そうに彼の言葉に頷く。翌日の事を思い彼はそう彼女に述べたのだ。

「うむ。初めての交渉にしては中々の物ではなかったかと私は考えている」

 彼女の言葉にホレムはその先を見通して話していると考える。デムレストア帝国とはゴッゼント大陸における唯一の国家である。その為国家との交渉は皆無であり、彼女を中心として種族間で行っている交渉事を元にドットゥーセ王国と交渉していたのだ。その事が彼女の中で満足のいく結果となれば次ぎを考えるのは当然であった。

「そうですな。今回の交渉内容と経過を本国へと持ち帰り研究しより有利に事が運べるように準備いたしましょう」

 ホレムの言葉に彼女は満足そうに頷いた。次回が在ればその時はムーレリアでは無く他の実力者を充てる方針も彼女の中で考えているのであった。

「うむ。なるべく臣民を悲しい結果に追い込みたくはないからなっ!!」

 そう言ってホレムが入れたお茶を飲もうとした時である。突如魔力の吸収が遮断された感覚が彼女のみならず王宮に居る魔族が感じていた。

「ひ、姫…」

 ホレムはそう声を絞り出すとそのまま地面に伏せるのであった。


「くっ、ホ…ホレム」

 魔族とは常に魔力を吸収してこそ行動出来るのだ。しかし、一度(ひとたび)遮断され体内に残る魔力が枯渇すると仮死状態に追い込まれてしまう。特徴として魔力を強大な力に変える半面体内に蓄えられる魔力が僅かしかないのだ。この事が常に魔力を吸収し続けなければならない魔族の欠点でもある。

『拘束せよ!決して殺す出無いぞ!!』

 廊下ではこの声が叫ばれる中、地面に這い蹲り意識を保つのが精々であったムーレリアはまだ仮死状態に移行することなく聞いていた。乱暴に扉を開ける音が響き渡り、次第にその音が大きく着実にムーレリアが居る部屋に近づいているのが判った。

「居たぞ!」

 ドアをけ破る様に入って来たのは王国側と思われる兵士であった。何とか目だけは動かす事が出来たムーレリアはそれを確認するべくドアの方を見やった。

「驚いたな、まだ意識が在る様だぞ」

「そうだな、流石一国の姫様ってところだな。おい丁重にお連れしろ!」

 室内に入ってきた兵士は全部で六名。その誰もがきびきびとまるで計画通りに動いているかの様であった。そしてムーレリアの意識もそこで途絶えるのであった。






 王宮においてその様な事態になっている事を知らない孝雄実たちであった。だが、王都内に数多くの魔法観連の店舗が存在する。その中で孝雄実たちに縁のある魔導書店の異変によって彼等の中でも異変に気が付いていた。そんな中王宮に戻る手前で彼等は門番兵によって進入を止められ、そこをサラの嘗ての知り合いに助けられるも騙される様にして地下と思われる牢屋へと放り込まれたのである。

 そこでサラとマリアンは同じく囚われていた者の名を聞いて愕然とした。

『コレイト・ムサソーダ』

 自らをそう名乗った彼は絶命したのである。

 それからほどなくして部屋を出され、手枷を嵌められたまま孝雄実たちとも合流しとある部屋へと押し込まれたのである。

 そこで目にしたのは嘗て冒険者ギルドで試験の時に対戦した先輩冒険者の三名が彼等を待っていたのだ。ゲリット、ジャール、最後にリィーナである。

 そして孝雄実たちをこの部屋に連れて来た人物がツイーテアであった。


 驚く彼等をしり目に時間の無いツイーテアは状況説明を簡単にして彼らに協力して貰う話しを始めたのだ。

 それが十二個の魔道具の破壊である。

「驚くのも無理は無いが話しを聞いて貰いたい。今王宮は結界によって魔力吸収が出来ない状況にある。恐らく姫を始め仮死状態に為っていると推測する。これを脱する為には丸で囲んである場所すべてを破壊して貰う必要がある」

 彼女はそう言って広げた地図を指差しながら話しを進める。そこには


「ツイーテアさん、ムーレリアは無事なんですね?」

 孝雄実は仮死状態がどの様なものか漠然とした事でしか知らない為に彼女に尋ねた。

「ああ、私はどんなに距離がっても姫の魔力を感じる事が出来きるからな。今は仮死状態で王宮内に居る事が判っている。これを解放するには先程も話したがこれらを破壊して貰わねばならない」

「ツイーテアさんは平気なのですか?」

 エレオノーラは彼女の話しで彼女がどうして平然としていられるのか不思議であった。するとそれを可能とする物を胸から取り出して皆に見せる。

「これは魔鉱石の結晶をさらに凝縮して造らせたペンダントです。これを肌に密着させていれば歩く、話しをすることぐらいは可能です。但し、戦闘などは出来ませんが…」

 彼女の見せるペンダントは深紅の光沢が神々しさを放っている。彼女は自身の魔力が作用しこの色へと変化したとも話した。

「成程。これらすべてを破壊することでムーレリア達を助ける事は分かりました」

 孝雄実は納得するように彼女に念を押す様に尋ねた。

「済まない。私が動ければそちらの三名を撒きこむ事もなかったのだが…」

 自信に満ちたツイーテアそれが魅力であった。しかし、今の彼女はその姿が見る影もなかった。

「あーまあ気にしなさんな。なんにせよ俺たちも参加してこれらの目標を破壊するってことで良いんだな。俺はゲリットそちらの貴族のお嬢様に試験で負けた者だ。よろしくな」

 ゲリットはタイミングを見計らいそう話しの流れに乗っかって来た。それに続けと残り二人も其々自己紹介がてら一言話し始める。

「私はリィーナ、そこの孝雄実と対戦した者よ。よろしくね」

 エレオノーラを始め彼女が孝雄実と呼び捨てにした事で、一瞬目を細めた事を孝雄実本人は知らない話だ。しかし、確実にその仕草によって喧嘩を売られたと彼女たちは感じたのであった。

「最後は俺だね。俺はジャール、此処には居ないけれどハンマーを振り回していた男の子は君たちの仲間だろ?よろしくな」

 ジャールがそう話すと誰の事を話しているか直ぐに思い出せた。その表情を感じ取ったからこそ仲間だと彼は確信して話したのである。


「此方見て貰いたい。目標の箇所が等間隔に放射状に広がっている一ヶ所ずつ破壊しては時間を多く消費してしまう。そこで孝雄実とサラ、そして私で一組を編成する。そして三名ずつに分かれて目標を破壊して貰いたい」

 ツイーテアはそう言うと必然の冒険者組(ゲリット、リィーナ、ジャール)と孝雄実組(エレオノーラ、マリアン、キャメル)に別れることになった。

「これでいいな。それでは割り振りだ。いま私たちが居る場所はここだ」

 そう言うツイーテアの指先は王宮を取り囲む堀を指していた。

「堀の…つまり水の下ってことか」

 ゲリットを始め、皆食い入る様に地図を見ている。

「そうだ。南側に抜けるルートと北側に抜けるルートの二つによって地上に出る事が出来る。孝雄実には西側にある六か所すべてを破壊して貰う。ゲリットには北側に抜けて三か所を、エレオノーラには残りの三か所を頼みたい」

 指でルートを示し、分担箇所を順次指を指してツイーテアは話しを続け、テーブルにとある物を置いた。

「孝雄実には魔法で破壊して貰うが二組みにはこれで目標を破壊してもらう」

 そう言う通りテーブルには六個の大きさ十センチの立方体が置かれた。それを見た孝雄実たちは不思議そうにツイーテアを見る。

「これは『クラッシュ』という魔道具だそうだ。目標の結界は物理攻撃が効かない代物で、且つ魔法も強力な魔力を持たねば破壊出来ないのだそうだ。つまりこの中で唯一これを使用しないでも破壊可能なのが孝雄実なのだ」

 そう言って彼女は孝雄実を見た。それにつられる様にゲリット等冒険者三人は興味深そうに見つめるのである。


 だが此処で黙って話しを聞いていたキャメルがツイーテアの話しを遮る。

「ツイーテアさんよろしいかしら?」

 その言葉に彼女は頷く事で先を促す。

「何故簡単に地図を入手し、破壊目標を指示出来るだけの詳細な情報を手に入れられたのでしょうか?」

 そう言うキャメルの声色は冷たさが込められていた。細部まで言わなかったが彼女の言う中にはツイーテア単独では決して為せるものでは無かったからで協力者が居ると言う事が判っているのだ。それをこの場に居合わせないと言う事でキャメルは訝しんでいる。

「確かに怪しいわね。此処まで詳細な地図は貴族でもそうお目に掛かれるものではないわ。むしろ王宮に密接に詰める者でなければ手に出来ない筈…」

 サラもそれに便乗する形で疑問を持ち始めると場の空気が少し変化し始めた。


「疑問に思われるかもしれませんがその事については間もなく…」

 そう話しをしているとこの部屋の扉が開けられた。

「済まない。遅れてしまった」

 一瞬ツイーテアを除く全員が体を硬直させるほど驚いたがその人物がだれか分かると大きく息を吐きだした。

「ゼッセンさん」

 アレンゼントル・デロット・ストランデス・フロランス侯爵の実子ゼッセン・ホーツン・フロランス子爵が室内に入って来た。

「無事に合流できたようだね」

 そう言って彼は孝雄実たちに近づいた。

「ツイーテアさん、ゼッセンさんが理由なのですか?」

 孝雄実がこう尋ねた事と場の空気からツイーテアが疑われている様な展開を瞬時に理解した。

「少し説明が必要だな。ツイーテア殿は真っ先に私の下へとやって来たのだ。そちらの三名と共にね……」

 そうしてゼッセンが主体となってその当時の事を話し始め、ツイーテアが補足を入れる。

 ツイーテアにはムーレリアなど特定人物の魔力を距離に関係なく感じ取ることが出来る。王都で結界が発動した時彼女は帝国で調べ物をムーレリアに命じられている最中であった。ほぼ全ての魔力が消え、孝雄実たちも感じ取ることが出来なくなっていた。

 彼女は一大事と直ちに関係各所に報告を上げて彼女は単身王国へと戻ることにした。そこからゲリット等を捕まえ、ゼッセンの下へと移動したのである。この時ゲリット等を捕まえた理由は孝雄実と戦ったリィーナであった。

 そしてゼッセンはマウスゥート村で知り合っており、且つ王都を出ていた事で辿り着く事が可能と為っていたのだ。 

「そう言う事でしたか。疑う事を行ってしまい申し訳ありませんでした」

「構わない。私も急ぎ過ぎ皆に疑惑を植え込んでいる事を失念していた」

「とまぁ、こういった理由でこの地図を始め、この道具も俺が用意したものだ。そしてこの部屋もな…」

ゼッセンがそう話すと思い出したようにサラが押し込められた部屋の事を話しだした。

「何と…ムサソーダ卿がその部屋に?」

「はい。最近と言った感じではありませんでした」

「分かった。だが、先ずはツイーテア殿に協力して魔族の方々に力を取り戻して頂こう。無念ではあるがムサソーダ卿はその後だ」

 ゼッセンの言葉に全員が覚悟を決め頷いた。

挿絵(By みてみん)

 その後、ゼッセンは地下道の地図を皆に配布した。これを取りにいった為に遅れてやって来たのである。

 そして話しは冒頭に戻る…






「これで三つ目か、流石は姫が認められた者か…」

 ツイーテアはその様に孝雄実を褒める。彼女自身煽てて話している訳ではない。それほど彼の魔法が巧みにコントロールされ、魔族でも驚くほど高性能な威力を誇っていたのだ。

 その証拠にかなり距離のある一から投擲した魔法の槍は塔を完璧なまでに粉砕したのである。普通破片が周囲に飛び散るものだが何の因果か砂粒にまで細かく為り被害が出無かったのだ。

「残り三つ、大丈夫孝雄実?」

「ああ、余裕だぜ。さあ次へ急ごう」

 孝雄実は南側から時計回りに塔の破壊を開始していた。此処までばれずにいた事が不思議でしょうがないほどだが実際には王都内で被害が出始めている。サラがこの様に心配する理由は今彼が使用している魔法である。

 時間が惜しいと彼等は手薄になっている城壁の上を移動している。遠距離からの攻撃が可能だからこそ塔に登る手間が必要ないと言う事でこれが可能と為り、そして数が多くなっているのだ。

「不味いわね。警備兵が押されているわ」

 走って移動する中サラが街中で暴れる冒険者の一団と王都の警備兵が戦っている光景が目に入っている。

「冒険者の人間達は操られているな」

「操られている?」

「ああ、人間は本来そう簡単に感知できる魔力を体外に出せる筈が無いのだ。孝雄実やサラの様に特別な者でなければ私でも見る事が出来ない。それがあの場にいる者全員の魔力が判るとなれば操られていると断言するしかない」

 ツイーテアが話す理由はピュータ村において近衛騎士団を止めて冒険者となった連中が弾かれたのと同じ認識である。微量な魔力が出ているにも拘らず魔族の認識ではほぼ零に近いと言う事なのだ。

 その光景を見るに魔導書店の店主ヒュールさんは大丈夫かと孝雄実は思うのであった。

「あの者等の被害を少なくする為にも急ごう」

 ツイーテアの言葉で孝雄実も頷いて移動を開始するのであった。


 一方エレオノーラ達はクラッシュを取り付ける為塔に登らなければならないと言う苦労を重ねていた。

 さらにそこは警備兵とは思えない集団が護っていたのである。

「なあ、あれって…」

「冒険者よね?」

「あの身なりで警備兵と言ったら笑うわね」

 マリアンの言葉にエレオノーラとキャメルがそう答える。

「でもあれを突破しないとこれを取り付けられないわ」

 エレオノーラがクラッシュを持つ責任を担っている。これはツイーテアが指名した為である。もう一組はリィーナがその役割を担っている。

「と言う事は強行突破しかないか…」

「全部で十人ですか。倒せない数ではありませんね」

 彼女等は身を隠しながら目標と為る塔の下へと移動しそこから登らなければならない。入り口は一ヶ所と限られそこを冒険者が固めている。

「先ずは私が魔法で射掛けるわ」

 エレオノーラが背負っていた弓を手に持ち構える。

「分かった。それと共に私たちが奇襲を掛ける」

「ではあそこへと移動しましょう。あそこならエレオノーラもこの一から私たちを見える筈です。開始は任せます」

 キャメルの提案の下マリアンと共に塔に近付いてエレオノーラの攻撃を待つことになった。





 最後までお読みいただき有難う御座いました。


 ご感想等お待ちしております。

 それでは次話で御会い致しましょう!

              今野常春

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