表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目を覚ませば異世界へ…  作者: 今野常春
いざ冒険者へ…
39/107

第三十三話 詠唱破棄から逸脱していないかな…

 昨日は投稿出来ず申し訳ありませんでした…

 エレオノーラとサラが教えるセイは見事に火の魔法を成功させた。マリアンもルイが成功を収めている。勿論孝雄実が教えているキャメルも同様である。しかし、さあこれから、と言うところで孝雄実たちにアクシデントが発生する。

 それは空中に浮かんだ時の話しである。時間的には三組とも同時進行であったが、それでも孝雄実たちの進行が最も遅かった。二組がちょっと、と間を置いたときにキャメルが魔法を成功させる。

 当然それは二組が見ることとなる光景であった。さらには凡そ五階分の高さに相当する位置に浮いていれば嫌でも目に留まる。


 しかし、そこには許し難い光景が起こりだしたのだ。孝雄実が何かを喋った所までは全員が目撃している。 次の瞬間キャメルが落下しそうになった。だが、そこを間一髪孝雄実が抱きしめるようにして彼女を救う。その瞬間にエレオノーラを始め、三人の女性が切れる。

 不可抗力であり、人を助ける行為である。そんなことは百も承知である。しかし、彼にそうやって抱きしめられているのを目撃するのがが、堪らなく腹が立ったのであった。




「さて、続きを始めましょうか…」

 エレオノーラは言うと先程の続きを始めようとする。

「そうね、孝雄実には負けられないものね。セイ頑張るわよ!」

「ええ、頑張るわよ。でも貴方たちは大丈夫よね?」

 セイはおもわずそう尋ねてしまう程に末恐ろしさを感じていた。

『やーね、大丈夫に決まっているじゃない!さあやるわよ!!』

 酔っ払いの大丈夫ほど当てに為らないというが、今の彼女等はまさしくそれであった。


 しかし、やる事はそれ、本当に先程言っていたエレオノーラが考えた魔法である。

「それじゃあやるわね…」

 そう言って見せたのは一本の矢である。

「これは火で作った矢よね?」

「そうね。それでも凄いとは思うけれど…」

 意外と二人には驚きを持って受け入れられなかった。なぜならば、火と言う元素は応用が利き易く、生活に戦いにとどんな場合でも活用できるのだ。であるから、魔法自体に火で作られる矢は存在する。

「ふふん。所がこれは弓に番える事はしないのよ。私もね、弓も使うのだけれど、一々弓を番えていると面倒じゃない。それが当たり前なのだけれど…それでも時間が掛かると思うのよ。そこでこれなのよ」

 そう言って彼女は手に持った矢を上空に放り投げた。


「えっ!飛んだ!?」

「曲がっているわよ!」

 二人の目には、矢に意思がある様に思えた。弓に番えた矢は、そのまま真っすぐにしか飛ばないのが当たり前である。しかし、彼女が放った矢は真っ直ぐ上に飛ぶと右回りに弧を描いて八の字を描いて行く。

「そうよ。魔法はイメージなのだからこんなことだって出来ると思ったのよ!」

 そう言って彼女は矢を霧散させる。

「こうやれば、いざ止めたいと思えば消せるわ」

「便利ね、その矢は…」

「そうね、でもどれほどの威力なのかしら?」

 当然戦いでは威力も伴わなければならない。セイは火で矢を作る事は前から出来ていた。これを詠唱して行わなければならない為に、奇襲でしか使えなかったのだ。だからこそその有効性は抜群である。問題はダメージをどれだけなのか、その一点である。


「そうよね…マリアン!!ちょっといいかしら?」

 サラはそう言うと少し離れたマリアン達を呼びだす。見れば少し暇そうにしていたのだ。

「どうしたんだ、サラ?」

 直ぐに二人はやってくる。その際ルイがぴったりと彼女にくっ付いているのは誰も指摘する事では無かった。

「悪いけど土で壁を作製してくれないかしら?なるべく厚く、硬めにお願い」

 サラは簡単に言うが詠唱破棄やイメージでどうのと知らなければ無謀な注文である。

「ああ、分かったぜ!」

 だがマリアンはお構いなしに彼女の注文に答える。人形を作って壁を盛り上げずに、土からそのまま壁を造り出した。


「厚みはこんなものでいいか?」

 サラはそう言われて真横から眺める。さらに手で触りかたさも確認する。

「そうね、厚みはこの程度で、後は硬くしてくれる?」

「ああ、分かった…」

 彼女はその様に答えると壁を押し固める様なイメージで作製していく。


「そうね、こんな物でいいわ。有難う、マリアン。それじゃあエレオノーラ放ってみて頂戴!」

「分かったわ、みんな少し離れていてね…」

 そう言ってからエレオノーラは右手に先程の矢を作り出す。マリアン達は初めて見るそれに驚かされるが、集中している彼女を見て何とか声を出さずにいた。

「それじゃあ行くわっ!」

 彼女は投擲の如く壁に向かって投げつける。その際孝雄実たちの光景を思い出し、八つ当たりするように行った。それが威力を高めたのか、は定かではない。しかし、激しい衝突音と土埃を巻き上げたそれは、確実に威力を証明するものであった。


「うわーすげぇ…」

 マリアン達の目には大きく抉り取られる様な元壁があった。幅二メートル、横三メートル高さ二メートルの壁は下二十センチを残して消し飛んでいた。

「これで威力も確認出来たわね!」

「そうね。セイもこれが出来れば問題ないわね。後は練習で幾らでも上達できるしね」

 そこからはもうノンストップであった。エレオノーラとセイは次々とマリアンに壁を作製させて火の矢を投擲していく。終いにはサラも参加する。


「えっ、サラも?」

 マリアンが驚く。彼女の魔法元素を知っているからである。

「ええ、彼女たちを見ていたらやってみたくなって…お願いできない?」

「まあ私とルイの練習に為るからいいけど、あんまり弾けすぎるなよ…」

 マリアンはその様に言うと難なく魔法で土壁を作り上げる。

「ありがとうマリアン。それじゃあっと」

 サラが行うのはエレオノーラ達と同様な矢を作製した。勿論水の元素で出来た矢であった。


「見た目はエレオノーラと同じ形だな」

 マリアンはサラの横に来てその見た目を評した。

「まあ見た目だけならね。でもこれが違うのよ。何分初めてだから離れていてね」

 そう言って近くに居たマリアン遠ざける。

「改めて、いけっ!」

 スタイルは投擲となんら変わらない。オーバースローの投げ方で、槍投げをイメージして頂ければいいだろうか、彼女はそうやって壁に向かって投げつけた。奇跡的にその瞬間孝雄実達の光景が脳裏に浮かんだのは偶然であろう。




 その矢はエレオノーラの矢とは全くと言っていいほど違っていた。似ていたのは形だけであった。

 サラの投げつけた矢は回転しながら進んでいた。加えて、マリアン達の目に終えたのは最初だけであった。手を離れ、少ししたならばあっと今に壁に衝突し、サッカーボールの大きさの穴を開けていた。

「成功ね。どうかしらこれが私の考えた矢よ!」

 ドヤ顔で言う彼女はやってやったという気分であった。


「凄いしか出てこないよ。マジで…」

 彼女は唖然としている。その横ではエレオノーラたちが練習しているのだがその手を止めて彼女を見ていたのであった。そしてここでどう言った内容で水の矢が構成されているのかをサラはみんなに話す。


「前に孝雄実から聞いたことがあるのよ。矢じゃないけれど、鉄砲とか言ったかしら打ちだすと、回転しながら弾が飛んで行くんですって。でね、どうして回転しながら飛ぶのかと聞いたら威力を極力落とさない為と、貫通力を高める為なんですって」

 孝雄実が話した鉄砲とは戦国時代に入ってきた様な物では無い。あくまで、現代の銃の話しである。バレル内の旋状でもって回転を着けて押し出す。彼はその話を以前彼女に話していた。これは風の元素について話しをしたときの事である。

「つまり、そうやって捻りを加えると威力が増すと考えていいのね?」

「多分ね。私もその時の話しをそう言う物があるの、程度にしか聞いていなかったのよ」

 サラは少し残念そうに話す。後で聞こうにも今知りたいのであった。

「サラさん、この魔法は水だけでも、出来ますか?」

 セイはその様に彼女に尋ねる。出来るだけ多く吸収したいと思ってのことだ。


「出来ると思うわよ。と、言ってもね。私がやったのは水と風の元素の合わせ技なのよ。水は圧縮するととても威力のある武器にもなるんですって。これも孝雄実の話しね。でも私にはその考えが分からなかったわ。ならばこの水の矢に風を送り込んでやればどうかなって。ほら追い風の時に走るあれよ。あの状態をさらに強くして見たの」

 サラは身ぶり手ぶりで説明する。孝雄実の話しはあくまでも切っ掛けだ。魔法はこのようにして日々研究されて改良されてよりよい物が出来なければならないのだ。

 こうして彼女たちの魔法談義は意外にも盛り上がるのであった。






「すげぇ…」

「そうですね…まさか魔法があれほど便利なものだとは思いませんでした」

 二人はそう言ってサラたちの魔法を空から眺めていた。最初は危なげなキャメルの魔法も既に会話が出来るほどに余裕のある状態にまでなっていた。

 この日は魔力が尽きるか、時間となるまでこの状態で居ることを決めていた。

「そう言えばキャメルさんはエルサンド族では無いのですよね?」

「ええ、そうですがどうしました?」

 思いがけない話しにキャメルは少し驚く。二人の会話の仕方はまるで教習所でのやり取りである。教官が孝雄実で教習生がキャメルと言った役割だ。自然になるべく緊張させない様に等を考慮して慣れてくると会話をして慣らしていくのだ。意図しないまでも気が付けばそんな雰囲気に為ってもいた。


「俺はこの世界の人間ではないと知りました。随分前に為りますけれどね、それでも知らない事がある。ならば色々と知識を、世界の事を知ろうかなって思いまして…」

 孝雄実は漸く自分のするべきことを頭に思い浮かべ始めた。しかし、と考えた時にこの世界の事を何にも知らない状態であることに気が付いたのだ。暮らしていく分には大分慣れを見せ始めているが、それ以外は絶対的に知識が足りていないのだ。周辺情報だけならばエレオノーラたちが何でも教えてくれるだろう。しかし、それ以外はどうしても後手に回る話である。であればこう言った機会を逃さないそう考えても不思議では無かった。


「そうですか、そうですね。私はこのドットゥーセ王国から遥か北東に位置する小さな国、ホルト王国から来ました。そこではこの国の様な魔法と言う物ではなく、魔道具という物を使っています。孝雄実さんも見ましたよね。私がワレンスナ様と連絡を取っていた道具。あれがホルト製の魔道具です。私が暮らしていた国では魔法を使うのは野蛮だ、みたいな風潮でした。なにしろ魔力を流して様々な魔道具をしようしていましたからね。火を使うにも、水を使うにも人形などもそうです。全て魔力を通していました」

 キャメルは少し懐かしそうに話す。

「全ての魔道具で魔力を必要とするですか…しかしえーっと元素です。キャメルさんは風と光の元素を持っているんですよね?」

「そうです。私の国にも当然元素と言う概念は存在します。そこで生まれたのが各元素の使用者が集まるギルドでした。魔道具もそれ専用に特化したものが次々と生産され、いつしかギルドに所属して居ないと魔道具を使用出来ない物まで誕生していましたね。火を起こす事はもちろんできます。しかし、それは面倒な作業に為ってしまいます。どうせならば楽な方が良いですからね。例えば火の元素ギルドでは火を起こす為の魔道具を各家庭に回って使用するという職がありました。一日一度ですがかなり重宝しましたよ」

 この世界では簡単に火を起こせる物は存在していない。現代の様にガスコンロ等と言う便利な物はないのが現状だ。しかし、ホルト王国はそれに近い事を行っていたのかと孝雄実は思った。また、孝雄実は是非とも彼女の国を訪れてみたいとも思うようになった。

 そして、この国の考えが少し彼には見えた瞬間であった…


 最後までお読みいただき有難う御座いました。

 

 ご感想等お待ちしております。

 誤字脱字ありましたらご報告いただけると幸いです。

 それでは次話で御会い致しましょう!

              今野常春。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ