第二十五話 罠を作製したいのだが…
何とか今日中に投稿できました…
時間が無かった為にサブタイは後ほど…
10月31日変更済み
「おい起きろ!」
「起きなさいよ!」
「蹴り飛ばせばいいだろ!!」
三人の騒がしい声で孝雄実は目を覚ます。
「あれ、何か久しぶりな感じだ…」
実に三週間以上は彼等に会っていない。
「そうね、確かに久しぶりね」
「会う必要が無かったってことだな」
黒と白は幾分こうやって会うのが嬉しそうであった。
「おい、早く済ませろよ。サラも寝ているうちじゃねーと此処に居られないのだからな!」
駿はそう言って俺は関係が無いと言う様な態度をとる。
「そうね、駄馬にしては良い事言うわ。とっとと用件を済ませましょう」
「孝雄実今回相手にするフェリシャスは危険な魔物だ」
「サラは俺が護るがお前らはそれが出来ないからな」
駿の言葉に白が強烈なパンチをお見舞いして黙らせる。その光景には孝雄実もドン引きである。
「黒の言う通り。相手は魔法も物理攻撃も殆んど効かない相手よ」
白そう言って両肩を上に上げて困ったと言う様な仕草を見せる。
「効かないって…それじゃあ無理じゃないかよ」
孝雄実は詰んだと考える。むしろそう考えない方が道理に合わない。
「まあ普通ならそうでしょうね。でも孝雄実貴方は既に倒す方法を手に入れているのよ」
白は楽しそうに答える。それには黒と駿も頷く。
「手に入れている?」
「そうだぜ、俺たちも一緒に見ていたんだ。お前の頑張り次第で、フェリシャスはあっと言う間に倒せる相手に為る」
二人はあくまでも切っ掛けしか与えない。答えを与えては成長が得られない、と言う子供な見た目に反した考え方である。
「出来ればフェリシャスを従属させて欲しいわね」
「移動も楽になるだろうからな」
「おい駄目虎。俺の尊厳を奪うつもりか!!」
白は再度蹴りを食らわせる。
「なあ、白。大丈夫なのかあそこまで強くやって?」
「平気よ、此処は精神世界。それに元は実態が無いに等しい存在だからね」
そう言うと白はホワイトに戻る。
「あー時間か…孝雄実もう一度行っておくぜ。お前は答えを手に入れている。それが分かればフェリシャスは楽勝だ!」
黒もブラックに戻る。
「まあ死ぬなよ…」
駿はその場から消えるだけであった…
辺りが光に包まれ、意識が遠退いて行った……
「んー良く寝たな…」
そう言って目を覚ませばまだ夜であった。外を見れば月明かりが明々と街中を照らしている。隣では何故かまたエレオノーラが寝ている。再び強制的に連れて行かれた精神世界の出来事を思い出す。白と黒の話しはどうにも分かりづらい者であった。
「危険な相手だと言う認識は持てたが…」
孝雄実は、寝ている彼女を起こさぬように、聞き取れない様な声で漏らす様に呟いた。それでも倒す方法は手に入れている、その言葉に彼は頭を悩ませる。
そもそもどうやって倒したのか、孝雄実は過去のフェリシャス討伐の話しを参考にしたかった。そうでなければ何も頭に浮かばないのである。考えるにしても実物を見ていないと言う理由でダチョウしか頭に浮かばないのである。
「飛べない鳥か…」
昼間であった冒険者デンの話しを思い出す。そう頭の中で考えてもテレビで見た光景しか浮かばない。とにかく早い、その言葉を浮かべる。仮の物に置き換える。早いのならば、と車をイメージしてみる。特にモータースポーツで使われる車である。大体二百五十キロの速度を思い描く。
その後も大きさ等を想像する。最大二十メートル、以前大阪道頓堀にある○リコの看板を見た事を思い出す。あの時、大きさを聞いてフーンと思うだけであったが今その話が役に立つ。だが看板にあの速度をプラスさせるととんでもない事実に気が付く。
あの絵の中の人が走ってくる様に思ってしまったからだ…
「洒落に為らないよな…」
何を馬鹿な、と孝雄実は考えを切り替える。それでも速度をイメージすると一つの事に気が付く。
「曲がれるのか?」
車もそうだが速くなればなるほど曲がりにくくなる。外へと向かうエネルギーが強く働くからだ。仮に直線を進むだけとしても脅威ではある。
「あっ…」
ここで彼は気が付く。某ドッキリ番組の一コマである。一直線に走ってくる人物を落とし穴に落とす光景である。さらには深くて自力では上がれないと言うものだ。
考えは直ぐに繋がる。黒たちが言っていた言葉も氷解する。方法は手に入れていたのだ。
「そうか、あの時の穴をサラに広げて…」
あの時とはオークの証拠の品を凍らせて地中深くに埋めた事である。フェリシャスを餌で穴へとおびき寄せる。これが彼の頭で導き出した答えだ。
「問題は…」
孝雄実の懸念は穴から登れるかである。ダチョウは大きな鉤爪を持っている。速く走る為に強靭な足を持つダチョウは攻撃の際足で行う。その威力は凄まじいものだが、それ以上に爪が危ないのである。つまりフェリシャスをダチョウの亜種と見立てるとその足で登る可能性がどうしても捨てきれないのであった。
「それは明日聞いてみないと分からないか…」
そう言って口を閉ざし、思考を止めると隣で眠る彼女の音良いがリズムよく聞こえる。流石に隣の部屋で減る二人にばれる訳にはいかないと冷や汗を書いた気に為って再び眠りに付くのであった。
翌朝、朝食を摂り昨日決めた通りに冒険者ギルドへと向かった。秘書のキャメルの言葉を信じるならば午後辺りから受け付けると想定し、念のために早くいこうと宿を後にしたのだ。時間にすれば十時頃であるしいかし、そこには…
そこは多くの人間で溢れかえっていた。
「うわーすっげえなご主人様…」
「そうだなマリアン、これ全てが冒険者なのか…」
二人が目にしているのは開店しているギルドへ入るべく並ぶ人の列である。職員は声をからして整列するよう掛けている有様である。
「そうよ、ほらあそこに並ぶわよ」
エレオノーラが指差す所は列の最後尾である。行列で良くある『最後尾は此処です』という看板を持った職員が、看板と同じフレーズを声に出している。
「どれくらい待つんだろうな」
「どうかしらね…こんな列初めて並ぶから分からないわ」
サラがそう答えると他の二人も彼女と同様の答えを返す。孝雄実とて並んだ事のある行列は、幼い頃に千葉県にあるテーマパークで二時間待ちをした程度である。それ以上は経験が無い。そう話す間も彼等の後ろに列が出来ている。
しかし、思ったよりも行列の進みは早い。あれよと言う間にギルドの建物に入る事が出来た。その間三十分ほどである。列は蛇行させずに受付一直線である。普段使わない受付も開けてのフル対応である。並んでいる冒険者を職員が何番の受付の列へ、と指示を出している。
「早く来て正解の様ね」
「その様ね。さしあたり昨日の間に出ていたのかもしれないわね」
エレオノーラとサラはその様に予想している。事実、族長ロームルンの動きは早かった。昨日ブンドからの連絡を受けて直ちに人を集める。彼もだが、大車輪の活躍をしたのはルチア・エルサンドという家令である。ロームルンの言葉を受けて彼の思い描くに相応しい準備を施したのだ。そしてその一つがこれである。
編成は早ければ早いほど良い、それだけ余裕が生まれるのだから…
「次の方どうぞー」
職員も普段の丁寧な言葉使いではなく、業務を素早くする為かフランクなものであった。
「こんにちは、皆さんもフェリシャス討伐にご参加で宜しいですね?」
「はい、それで昨日まで臨時の冒険者をしていまして、それでも参加出来ますか?」
キャメルがどう話しているかは分からないが、エレオノーラは念のために尋ねた。と、同時にギルドカードを提出する。
「エレオノーラさんですね…えっーと……ああ連絡は受けております。ワレンスナとキャメルから、エレオノーラ一行は特別に参加を認めると聞き及んでおります」
職員は何かを見ながら話す。恐らく事前に話しがあったのだろう。職員はそう言うと一枚の紙を彼女に渡す。
「これを持って、二階へとお進みください。支部長のワレンスナが、貴方たちが来たら通す様にと言われておりますので」
職員の言葉通りに二階へと進み、以前通された部屋へと向かう。一度ノックをすると中にはデンたち五人のチームとワレンスナとキャメルの二人が待っていた。
「失礼します」
エレオノーラを先頭に部屋の中へと入る。
「お前たちも呼ばれたのか」
デンは孝雄実へと声を掛ける。男同士の方が話し易いとデンは考えて彼を選んだ。
「はい、デンさんたちもなんですね」
孝雄実が残り四人を見ると手を上げるなどの挨拶をした為に会釈で返す。
「みんなには別編成で行動してもらう」
ギルド支部長ワレンスナはみんなを前にそう話しを切り出す。
「どう言うことだ?」
デンは代表して彼女と話しをする。
「まあ話しを聞いてくれ。デン達はフェリシャス討伐に参加した経験があるから分かるだろうが、彼等は知らない。最初にフェリシャスがどう言ったものかを知って貰いたい。デン達は我慢してくれ」
そう言うとキャメルが資料を配る。孝雄実たちへは一人一部、デンたちは五人で一部である。
「先ずは大きさだな、最大二十メートルこれが高さだ、横幅は六メートルこれが過去最大のフェリシャスだ」
ワレンスナが説明する中で挿絵がある。孝雄実はまんまダチョウだと思った。
「特徴はこの脚だ。飛べない代わりに強靭なこの脚を生かしている。それと鉤爪だな、これはどんな装備も紙の様に切り裂くぞ、注意が必要だ。あとは…嘴は危険だとは分かるよな、雑食だから人も食べる」
流石に絵を見てエレオノーラ達もそうとうな相手だと考える様になった。
「さて基礎知識はこんなものでいいだろ。必要な情報はこれに書いてあるから後でじっくりと読み込んでくれ。次だ、コンドウ、君に尋ねる」
そう言って孝雄実を見る。彼はいきなり名を呼ばれて驚いている。
「はい、何でしょうか?」
「君の魔法はどれほど深く穴を掘れる?それと時間はどれほど要するのかな?」
その言葉に孝雄実たちは衝撃を受ける。彼が穴を掘ったのは一度きり、オークを倒した後証拠の部位を凍らせて地中に埋めた時だけである。つまりそれを彼女が知る何某かがあったのだ。
「君たちには済まないとは思ったが、キャメルに後を追わせたのだ。君たちがどの様な行動を取るかとね。そうしたら私の予想の範疇を超えて行動するとは思わなかったよ」
ワレンスナはそう言って笑いだす。それには孝雄実たちもデンたちも驚いた。
「なあワレンスナ。一体コンドウに何をやらせようとしているんだ?」
デンは一番重要な部分を尋ねる。
「ん、だから尋ねたじゃないか。殿くらいの深さを掘れるのかって」
「まさかあの深さを魔法で掘らせようって言うのか!」
デンのみならず、他の四人も同様に彼と同じような表情に為る。
「勿論だ。使えるならば使わないと勿体無いだろ?」
孝雄実にたちは、いや孝雄実以外の三人は未だに理解できていない。唯一、孝雄実は昨夜考えた通りの展開が進行していた為に彼女の意図を理解している。
「時間が許せば幾らでも、それに対して時間は掛からないと思います」
彼はワレンスナにそう答える。それにデンたちは驚きワレンスナはニヤリと笑った。
「そうか、必要な深さは最低三十メートル、直径十メートルの円柱だ。但し、フェリシャスは側面を登る可能性があるからな、地表に近付くにつれて狭まる様な形にしてもらいたい」
とは言え彼女が描く円柱は孝雄実には三角フラスコの様であった。つまり直径徒は下に掘るにつれてサラに大きくなる。そこの部分では二十メートル程に為るだろうと予想した。
「おいおい、ちょっと待てよ、ワレンスナ勝手に話しを進めるな。いいか、コンドウに魔法を使えるかを尋ねるのはいい。だけどな、お前の言う穴はそう簡単には無理だぞ…」
最後は半ばあきれてデンは話す。彼等の共通認識である、魔法は詠唱で、が固定観念として在るからだ。勿論ワレンスナもキャメルから話しを聞いた時は驚き二度、三度と問い直す事があった。だが、キャメルと言う人物を良く知る彼女は決して嘘は言わないと信じている。だからこその作戦であるのだ。だが、彼等はその事を未だに話していない為に、この有様である。
「そうだな。正直私もこの話しを聞いた時お前と同じ気持だったよ…」
そう言って軽く息を吐く。気持ちを入れ替える為だ。
「デン、他の者も今から話す事決して此の場以外で口外しないと誓えるか?」
ワレンスナの目が真剣なものに為る。彼女も嘗ては冒険者である。現役を退いて何年も経つがその殺気は一級品である。
「なっ、何だってんだよ、ワレンスナ!いきなり殺気を飛ばすな、反応しそうになっただろうが!!」
五人とも武器を手に身構えようとしていた。だが考えてみればそれだけの話しを彼女はしようとしているのだ。その様に考えると五人は見合わせて一瞬で答えを出す。
「ああ、分かったぜ。デン・エルサンドをリーダーとする緑の翼は決して此の場以外で口外する事はしないとここに誓うものとする」
こうして彼等はこの世界の常識であった物が、一気に崩壊していく事に為るのであった……
最後までお読みいただき有難う御座いました。
何とか書き上げられました…
単純に帰宅時間が遅くなったと言うだけの事ですが…
ご感想お待ちしております。
誤字脱字ありましたら御一報いただけると幸いです。
それでは次話で御会い致しましょう!
今野常春




