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目を覚ませば異世界へ…  作者: 今野常春
いざ冒険者へ…
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第二十話 道中は危険でした…

 今回から二章です。

 急いで書いたから少し間違えが在るかも知れません…

 孝雄実たちはオリマッテが領主となるロットロン村を出て一路ドランデストハイムを目指す。エルサンド族という元異民族が住む都市である。領主は代々エルサンド族の族長から選出される。ドランデストハイムを中心とした領地は広大であり、侯爵位の領土に匹敵する場所を自治領として王家から認められている。その事から族長は王国貴族からはエルサンド侯爵と言う名で呼ばれる。とは言え自治領であることから基本的には自主自立が前提である。王国に弓引く事が無ければ問題は無かった。

 冒険者となるには、一度王都『グローリンバリー』で冒険者ギルド本部へと赴いて登録をしなければならない。領民には移動制限が設けられている。理由は、領民は領主の財産であると言う考えから来ている。対して冒険者は仕事柄移動制限が撤廃されている。其れだけにその職は自由が効く。故に不正に冒険者と名乗り移動を行う者が一時期横行していた。それを取り締まる為に義務化されたという歴史が在る。加えて冒険者ギルド側が冒険者の実力を確りと測るという側面もある。義務化以降、不正規冒険者は減少したが、それでも年に数人捕まる事が在る。

 嘗てエレオノーラが冒険者に為る為に王都へと向かったが、ドランデストハイムは休憩を挟んだだけで通過していた街である。ドランデストハイムへは奴隷契約の為に訪れる理由は、マリアンを今のままグローリンバリーへと入れる訳にはいかないからである。






「ギャオ!」「ガオ!」

 元気よく馬と平行移動しながら吠える二頭の虎は急成長を遂げていた。その声に馬は驚く。そのたびに孝雄実たちは大人しくさせるのであった。

「なあご主人様、ブラックとホワイト…成長しすぎじゃないか?」

 少し前までは子虎と言って問題の無い大きさであったが、今では大人のそれである。馬での移動も誰かに乗ってと言うのは出来ない。馬の速度に合わせ、バテることなく確りと付いて来られる。

「そうなんだよな。気が付いたらこんなに大きくなっていたんだよ」

「それでも怪しいわよ…」

「そんな事言ったら俺の存在が怪しいだろ?まあ、そんなもんなんだ、でいいじゃないか」

 孝雄実は未だに二頭の事を話せずにいる。目で見える証拠が無いと言うのが理由だが、精神世界などと言い出せば正気を疑われるかもしれないと恐れたからである。だからこそもっと自身で理解し、目で見え説明出来る物が現れるまで話す事は止めようと考えている。


 馬は長距離を走るのが得意とは言え、限界が在る。加えて言えば限界まで走ればその馬は死に体である。適度な速度と距離を考えて移動するのだ。オリマッテの村から目的地までは一週間の距離である。道中幾つか村は存在するが、休める場所が提供されている村は二か所しかない。それ以外は野宿を余儀なくされる。初日は野宿であった。順調にいけば二日目と五日目に村で寝泊まりできる。

「今日の移動はこのくらいにしましょう」

 そうエレオノーラが言うと他の皆も賛成意見が出る。周囲は開けて入るが人工物が見当たらない場所である。四人は分散して持っている部品を合わせてテントを組み立てる。最早何も言わずとも二頭の虎は薪となる木を見繕って持ってくるのであった。

「おっ、ありがとな、ブラックとホワイト」

 孝雄実が言うとそれに答える様に鳴いた。


 道中の食事は保存食である。孝雄実以外はそれに慣れているが、どうにも彼はこの味が馴染まない。

「魔法で新鮮な食材を維持できないかな…」

「またそれかよ、ご主人様…流石に無理だよ」

「そうよね。仮に出来たとしても維持するために、魔力は常に消費しなければいけないのよ」

「二人の言う通りだと思うわ。特に維持が難しいわね」

 三人は一斉に反対意見を出す。幾ら万能とは言え出来ないものは存在すると言うものである。しかし、此の保存食はどうにも味気ないと孝雄実は思った。ぼそぼそのパンに、燻製にした肉。これではどうにも食道楽に一番近い日本で生まれ育った彼としては不満が残るのであった。以後、彼は彼女たちの言葉をバネに何とかその魔法を確立するのであるがそれは別の話しである。






 行程は順調に進み四日目を迎えていた。残り三日と言う距離である。此の一行のメリットは水を自由に扱えると言う点であろう。魔力さえあればどの様な形でも出現させる事が出来るのだ。

 孝雄実たちは馬の移動速度を流しながら馬上で昼食を摂っている。馬には水を球体状にして馬の口に近くに浮かばせて置く事である。これで馬は自分が必要な量を飲む事が出来るのであった。虎たちへは投げれば空中で食べ物を咥えている。見る者が見れば芸道の者一向に見えなくもない行動であった。

「ご主人様がどんどんおかしくなっていく…」

「諦めなさいよ。単に発想が違うのよ」

 マリアンとエレオノーラはそう言って孝雄実に聞こえる様に話す。これでも褒めている。マリアンの言葉を意訳すれば素晴らしいものに成っていると言いたかった。エレオノーラも着眼点が私たちと違うと言いたかったのだ。口には出さないがサラも同様である。そんな風にいつもと変わらぬ旅をしていた。


 だがこの日は少し様子が違った。朝から馬に加えてブラックとホワイトの様子がおかしかったのだ。特に馬は敏感に怖がるような様子を見せていた。孝雄実は今一ピンとこないが、他は何やら警戒感を出しながらであった。

「なんか、嫌な雰囲気だな…どう思うサラ?」

 マリアンは何かを感じているのかそう尋ねる。

「そうね…何か纏わりつく様な嫌な空気よね…」

 前を行く二人はそう話す。そこ言葉に孝雄実は、隣に居るエレオノーラにその事を尋ねる。

「そうね、二人ほどではないけれど確かに嫌な雰囲気は感じるわ…」

 つまりは孝雄実だけが判らない得体の知れない空気であった。


 だがそれも進んでいけば理由が分かると言うものだ。

「これって…」

「うーん、オークの様な気がするけど…」

 マリアンたちは地面にハッキリと見て取れる痕跡を見つける。その光景は後ろの二人も見ていた。大きな足跡、無闇に折られた木々、食い散らかされた動植物、それらが彼等の目の前に入ってくる。

「オークってどんなものなんだ?」

「ええっと…人のよりも大きくて、とにかく酷い臭いを発するのよ。特に群れで行動することが多いのだけれど、まあ見てみれば分かるわ」

 既に馬は怯えて腹を蹴ろうとも、手綱を曳こうともこれ以上進もうとしない。唯一はサラのカラドヌルクである。単に馬に変形しているだけである為、生物とカウントする事は出来ない


 四人はこうなった以上オークを討伐して先へと進まなければならない。道中回り道をする余裕が無い。向かう先は気が鬱蒼と生い茂る中である。そこで先頭を行くのは…

「私が行くよ。ここは深い森ほどではないから楽勝だぜ!」

 そう言って武器を構えて歩き出す。後にはサラが続き孝雄実とエレオノーラ、最後を二頭が固める。進めば進めだけどんどんと空気が悪くなる。そう思わせる周囲の状況である。

 オークの食べ散らかした残骸である。特に動物のそれが腐り、酷い悪臭を放っているのだ。これは四人にとって堪らなかった。サラと言えども鎧の中にまで臭いが充満し一番被害を被っていたのは言うまでもない…


「うっ、これはきついな…」

「でしょう。これがオークなのよ。第一、冒険者が倒すべき優先相手よ…」

 孝雄実とエレオノーラ口と鼻を押さえながら話す。前を行く二人も同様である。しかし、そろそろ目的の場所へと辿り着く。それを示す様にマリアンが止まって手を上げる。これは止まれと言う合図である。まさか孝雄実がブロックサインを面白がって、教えて役立つとは思いもしなかったであろう。三人はそれに合わせて立ち止まる。


「いたぜ、あれがオークだ」

 そう指し示す先には、肌はどす黒く筋骨隆々で、豚の様な顔をしている。身に着ける物は毛皮の様な物を纏っているだけである。それでも身に着けるだけましである。目の前には凡そ十五体が生活をしている様に見受けられる。彼等の生態は既に研究し尽くされている。群れとなり一団で行動している。基本一体が離なれる事は無い。

「恐らくあれが全てでしょうね…」

「そうね、あれ以上はいないと思うわよ」

「それで、どうするんだ?」

 マリアンが作戦を求める。当然近接戦闘はサラとマリアンが務める。此処は森の中である。ゴブリンの時の様に矢での支援をしている余裕は僅かである。相手はゴブリン以上に知性が在り、速さも力もある存在だ。良くて三射、それが限度である。


「当然、孝雄実には矢で攻撃をして貰うわ。ただし、今までの様には考えないでね。特に威力に注意して、オークは信じられないくらいに防御力が在るの。過信は絶対にしないで」

 サラが作戦を考える。今回はエレオノーラではなく、全てを彼女に任せている。と言うのも実際にオークとやり合ったのが彼女だからである。マリアンとエレオノーラもまた話しでは聞いた事が在ると言う程度であった。

「分かった、威力だな」

「そう、エレオノーラも弓で攻撃をお願い。私とマリアンはあいつ等の混乱を確認して飛び込むわよ」

「ああ、分かったぜ、サラ」

 四人は茂みを少し移動する。オークは鼻と耳が悪い。それ故に見つかりさえしなければ在る程度までは近付ける。






「準備は良い孝雄実?」

「ああ良いぜ。高威力をお見舞いしてやる」

 二人は魔法で作られた矢を構える。何を隠そうエレオノーラも詠唱破棄を知って以来陰ながら努力を重ねていたのだ。サラの空中に浮くという魔法さえなければ、驚かれたのは彼女である。今彼女は火で作られた矢を自身の持つ弓に宛がっている。魔法故に自分で扱う分には熱さは感じない。孝雄実は一射で二矢を、エレオノーラは一矢を放つ。

「ええ、やってやりましょう!」

「三、二、一、今!」

 孝雄実の掛け声で矢は放たれる。孝雄実の矢は水蒸気爆発を狙った水と火の混合である。これで首元を狙い、頭を吹き飛ばす算段である。対して彼女は水の矢である。ただし、この矢は高圧力で固められた物である。以前、孝雄実が高圧洗浄機の話しをした事が在った。

どこから導き出したかは謎であるが、そこからヒントを得て此の矢を生み出したのだ。


 爆音が周囲を襲う。慌てふためくのは森の住人たちである。鳥や小動物の鳴き声、また大型までもが逃げ惑う音があちらこちらで聞こえてくる。それらはオークと言う殺戮者を、息を殺して隠れていたのだ。だがその音は慌てふためくのに十分なものであった。爆発音の中心ではオークの悲鳴が木霊していた。孝雄実の矢は狙い通りに首元へと吸い込まれると激しい爆発を遂げる。その結果、二体のオークが上半身を吹っ飛ばしていた。狙い以上に威力が高い証拠であった。これにオークは恐慌状態に陥る。さらにエレオノーラの放った矢も心臓を貫いている。オークにしても構造は人間とそれほど変わらない。それ故に彼女はピンポイントで狙ったのだ。それが功を奏した。単なる水の矢では防がれていたであろう物が、拳大の大きさの穴を体に拵えていた。一射で三体を倒したのは僥倖である。


 好機、近接の二人は此の時を逸する訳にはいかない。どちらともなく、茂みを抜けだすとオークへと向かって行った。二人の戦い方は剣と槍である。マリアンは首を狙い、サラは心臓を。武器の特性を活かして相手を倒していく。二人が混乱するオークを一体ずつ斬り、突き殺したと同時に孝雄実たちも一射目と同様の成果を得る。これで八体を倒した事に為る。しかし、まだ半分を倒しただけに過ぎない。数の上ではオークが有利である。


「次が最後かな」

「その様ね…」

 そう言いながらも三射目を狙い魔法で矢を作成する。二人の考えは期せずして一致する。一際大きなオークである。あれがリーダー格であり、指示を出し始めているのだ。立ち直りが早いとサラたちに危険が及ぶ。

「行けっ!」

 そう言って引き金を引く。彼の矢は狙い通りに首をエレオノーラは心臓を見事に命中させた。


「不味い!あれはハイオークよ!」

 サラは漸く気が付いた。まさかこんな場所には居ないという考えが在った。見極めが難しいのがオーク種である。体の大きさではままある大きさである。違うのは目の色である。オークは赤い目であるのに対し、ハイオークは金色の瞳なのである。目が細長い為に遠くからでは識別しにくいのだ。

 そう叫んだ矢先、二人の矢が当たる。一縷の望みは在るが、ハイオークの特徴を知れば諦めが付く。


「やったか!」

「倒したでしょうね…」

 二人がそう言うと次第に爆発の煙が薄れ始める。そこには信じられない光景が在った。

「倒れない!?」

 孝雄実が目にしたのはダメージゼロのハイオークであった。しかし、此処で知識だけは在るエレオノーラが思いだしたように言葉を発する。

「しまったわね。あれは魔法の効かないハイオークだわ…」

 そう言うと優位が無くなったとばかりに弓を置いて、剣に持ちかえる。孝雄実が理由を聞こうとしても、彼には話させずに矢継ぎ早に言葉を発する。

「もう優勢に戦う事は出来ないわ。私たちもマリアン達に加わるわよ。それとあのでかいのは魔法が効かない。だから他のオークと一緒とは考えないでね!」

 そう言うと、彼を置いて行くようにオークの群れに走り出す。二人の目の前にはハイオークの指示で立ち直ったオークが徐々にサラたちを囲んでいる様子であった。


「分かったよ…くそーまさかそんなのがいるなんてな!」

 彼はそう言うと弓から双剣へと形を変える。さらには左腕に盾を出現させる。魔法故に盾の重さは感じないのが長所である。彼女に遅れる事二歩、これだけでも大分距離が在ると感じる孝雄実であった。






「ちっ!おらっ!!」

 マリアンは両手持ちの大剣である。力一杯に剣を振り下ろす。首を刎ねるには横薙ぎなのだが、既に奇襲の芽は潰えている。今は数によって囲まれたオークの攻撃を防ぎつつ好機を待つ状況であった。

「はぁっ!やあっ!」

 サラも同様である。カラドヌルクは魔法である。彼女の魔力が尽きるまでは槍の耐久性を考える必要はない。確りと力強い攻撃を受け止めて腕や足を突き狙う。それで動きを止めたところを攻撃するのだ。だが、相手もさるもので、腕や足を攻撃しても回復してしまう。

 以降、倒せたのは二体だけ。ハイオークを含めて五体である。それが尚の事手強さを印象付ける。


「せいっ!」

「はっ!」

 遅れてきた二人が加勢に入る。死角から斬りこんだのである。孝雄実は首をエレオノーラは心臓を狙い一体を仕留める。

「ナイス!ご主人様」

「言い突きね、エレオノーラ!」

 しかし、彼女の場合、以前の様にオリマッテが補助魔法を掛けている訳ではない。マリアン同様に生身の人間が補助なしで戦うには相当な力が求められる。今オークを倒せたのはほぼ孝雄実の力である。それは彼女が良く分かっていた。

「そうでもないわ。今の攻撃で先端がこの有様よ」

 サラに見せるとレイピアの先端が鋭さを失い丸まっている。これはオークの体内にある酸の影響である。


「連携は今のままで行くわよ。先ずはオークから倒すわ。ハイオークは気を付けて!」

 サラが言うと声をあらせて動き出す。負担が減ってマリアンとサラの動きは良くなる。あれよと言う間に二体を倒す。孝雄実たちはまだ慣れていないのか一体が良い所である。

「凄いな、二人とも!」

「これが本業みたいなもんだからな!」

「そうね、幼いころから鍛えてきたもの」

 四人はハイオークを前に集まる。だが不気味な事にハイオークは動じない。彼等の攻撃によって脆くもオークは倒された。しかし、孝雄実たちは不気味に感じる。


「あいつはなんで仲間がやられても平気なんだ?」

「分からないわ。でも、やるしかないわ」

 サラはそう言うと槍を構える。それに合わせマリアンとエレオノーラも同様だ。

『全く…何故こうも邪魔な物が増える…せっかく増やした同胞を……これではまたやり直しではないか』

 ハイオークはそう言うと背に背負った斧を取り出して構える。

『来い、先程の魔法は中々気持ち良かった。体がほぐれたぞ。褒美だ。人間、相手してやる』

 言葉は穏やかな、しかしハイオークから発せられる魔力は尋常ではないものであった。


 その言葉でマリアンとサラが飛び掛かる。狙いは変わらない、オークの場合はランクが違えども首と心臓が弱点である。当然ハイオークはそこを護って戦うのだが…

「硬いっ!」

「これほどなの!」

 弱点を狙うべく違う場所を彼女等は攻撃する。マリアンは腕を、サラは足を牽制目的で狙った。だが相手は動じる事はない。それもそのはず、まるで金属にぶち当たる音がしたからである。ハイオークは不敵な笑みを浮かべる。

『弱いな…』

 そう言うと斧を振り回す。その風圧で二人は距離を開けられる。


『そんなもので俺を多襲うなどっ!?』

 そう言う所で突如ハイオークの周囲を炎の壁が包み込む。さらに、その周りを土の壁が囲う。次第に炎は天井を覆い、あとを追う様に土の壁も蓋をする。

 二人は孝雄実を見る。こんな芸当は彼しかできないからだ。


「豚の蒸し焼きならどうだ!!」

 孝雄実はそう言いながら、未だに魔力を垂れ流し続ける。二つの魔法を常に使い続けている。彼が考えたのはオーブンである。石窯と言い換えても言い。硬く倒しにくいのであれば空気を、呼吸を止めてしまえばいいと考えた。だったら囲って酸素を奪う火を投下すれば良い。その発想から目の前の構造を生み出した。


 ハイオークは苦しいのか壁を激しく叩き付けている。しかし、魔法の威力が壁に流れ込んでいる為に、それを越えなければ破壊する事は出来ない。

「どう言う事なんだ、エレオノーラ?」

 マリアンは彼が集中している為に彼女に尋ねる。しかし、肩を上げて分からないと言う仕草をする。

「恐らくランプのつもりでは無いかしら?」

 ランプとは言えどこか一ヶ所は空いている。完全密閉すれば火は消えてしまう。ビーカーに蝋燭を入れて火を着ける。その間は外部から酸素を取り入れて燃焼させられるが、それを遮断すれば消える。その様な実験を義務教育などでやってはいないだろうか。


 孝雄実はまたも嫌いな理系の分野から発想を取り出す。空気(酸素)をあっと言う間に奪い、且つ自分の魔力で燃え続ける炎でハイオークを燃やすと言う考えを行ったのだ。効率的ではあるがかなり残酷な方法である。自分に置き換えると絶対にやられたくはない。しかし、孝雄実は嘗てマリアンから懸念された人を殺すことへの抵抗感と言う物をこの時感じていなかった。

 

 魔法は継続するが、ハイオークの抵抗は凄まじいものである。壁を叩きつける威力がそれを物語る。壁が俄かに亀裂を生じさせ始めたのだ。一般に固めた土壁と魔法でのそれは何倍もの強度が在る。しかし、それを以ってしても完璧では無かった。

「マリアン、魔法で壁の亀裂を埋めてくれ!そろそろ魔力がやばい!」

「ああ、分かったぜ、ご主人様!」

 そう言うと直ぐに彼女は魔法を発動させる。すると亀裂を狙って見事に穴を塞いだ。

「上手くなったわね、貴方の魔法」

 サラはそう言って彼女を褒める。






 時間にすれば十分程、確りと念入りに魔法を掛け続けた結果、見事な蒸し焼きが出来上がった。孝雄実は魔力を止める。すると中の炎は止まるが、外の土壁はそのままの形で固まっている。

「エレオノーラ、水の魔法であの壁に水を掛けて。それが終わったらマリアン壁を壊してくれ」

 高温で熱している為に水を掛ければ物凄い水蒸気を出す。それでも続ければ温度が下がり、彼女が近づいても問題ない程に為る。

「それじゃあ行くぜ!」

 力一杯に大剣を叩き付ける。一撃、二撃と入れていく。すると五撃目、遂に亀裂が入り自然と割れ出した。そして全てが崩壊する。中にはハイオークが焦げ付いて倒れていた。


「そうだわ!オークとハイオークの印を取らないと!」

 これはサラが指示を出して何処を取れないいのかを説明する。印は耳である。

「だけど…大丈夫かな」

 特にハイオークの損壊がひどかった。また孝雄実が倒したオークは頭が無かった。その為に分かり易い部位を取って代用したのであった。






 これ以降問題なく旅は続けられた。残り三日の距離を移動して一行は最初の目的地ドランデストハイムへと入るのであった…


 最後までお読みいただき有難う御座いました。

 前書きでも書きましたが、第二章と考えて書いてまいります。

 

 ご感想等お待ちしております。

 誤字脱字が在りましたら御一報いただければ幸いです。

 それでは次話でお会いしましょう!

              今野常春


 追伸…作中において、ハイオークに孝雄実がしかけた描写が在ります。簡単に言えば酸素を奪い窒息させると言うものです。もし変だなと思う事が御座いましたらご連絡くださいませ…

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