表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目を覚ませば異世界へ…  作者: 今野常春
異世界でするべき事、その立場って…
21/107

第十五話 変身!スーパー○○!!

 タイトルと内様が合致していない……

 孝雄実の目には二頭のトラが自分に駆け寄る姿が目に映る。ブラックとホワイトが大きくなれば、そんな感じかなと考えてしまう。

『孝雄実!』

『私たちを使いなさい!』

 頷くことなく彼は受け入れた。目の前のゴブリンクイーンを無視するように……


 ゴブリンクイーンは余りの眩しさに目を抑える。その刹那激しい光が彼女の目の中を襲う。頭の中が白一色に支配されんばかりであった。それ故に絶叫に近い声を張り上げた。このような展開彼女には『見えて』いなかった。軽く遊んで、殺して、食らい尽くすことしか見えていなかったのだ。だが、それがどうであろう、思いもかけない光景であった。


『ぐ、ぐぐう、一体なにが…何が起こったのじゃ!』

 漸く目を開けられるまでに光が落ち着き始めた。しかし、と彼女は考える。魔力が、今戦っている者の魔力が変なのだ。どう考えても人のそれでは無い。さらに暫くすると見たことも無い輝きに覆われた孝雄実が目の前に居るではないか。

『だれじゃ貴様は!』

 初めて彼女は臨戦態勢を取る。

『近藤孝雄実だ』

 声は彼の声と白と黒の声が入り混じる。


『なんじゃと、それは先程戦っておった男の名では無いのか?』

『そうだ、だが差に在らず。俺はレーヴィック』

『レ、レレ、レーヴィックじゃと!?』

 その名を聞いてゴブリンクイーンは震えだす。嘗て聞いた名であり、決して手を出してはならぬ、と言われた名であるからだ。

『そうだ、知っているのだな…』

『と、当然じゃ!お主の名は主様から嫌と聞かされておるわ!』

『そうか…だが、今はいい、お前は今この瞬間に消し飛ぶのであるからな!』

 孝雄実はそう言うとクイーンへと斬りかかった。信じられない早さである。しかし、その速さでもクイーンには防がれる。


『なんじゃ、なんじゃなんじゃ!大したこと無いではないか!』

 双剣は一本の光輝く剣へと変化し、腕には盾を着けている孝雄実。その剣がクイーンに難なく防がれたのだ。その強さは隔絶していると伝え聞いていた。その話を信じているクイーンは思わず全力で防いだのだ。

『くっ、やっぱり火力不足か…』

『なんじゃ、拍子抜けもいいところじゃな!』

 恐れていた分その反動は大きな物であった。ゴブリンクイーンは一気に片を付けようと攻勢に転じる。窮鼠猫を噛むと言う言葉があるかは知らないが、最早手を抜く訳にはいかない。あくまでも今は弱くても力を付ければどうなるかは未知数である。


『ええい!さっさとくたばれ!』

 ゴブリンクイーンは両手に持つ鉄の棒を交互に繰り出す。孝雄実はと言えば左では盾で防ぎ、右では剣で逸らす。時には体術も加えながら彼は対峙する。時が立つごとに両者の優位性が変わり始める。

『な何故じゃ…何故倒れぬ……』

 ゴブリンクイーンは次第に大きく息を吸い始めるようになった。まだ余力が在るとは言え、孝雄実の速さに付いて行こうとすれば自ずと力を使わなければならない。

『簡単な話しだ。漸く体が慣れてきたからだ』

『なんじゃと!?』

 孝雄実はいきなり、白と黒を取り込んでしまった。故に三者三様に意思の乱れが生じ、思うように体が動かせなくなっていたのだ。それが多少の疲労によって、思考力が落ちた。これが功を奏したのである。長距離を走っていて苦しい、止まりたい。そんな思いをしながらも走り続けると、突然楽な気持で走っていると言う事はないだろうか。今まさに孝雄実が経験している事である。


 それを示す様に動きが変わり出す。何といっても速さと力に変化が生じた。

『くっ、何の!』

 さりとてゴブリンクイーンも負けはしない。此処で負ける訳にはいかないのだ。有らん限りの力で応戦する。しかし、孝雄実はレーヴィックの片鱗を見せただけである。今は全力を出せないでいる。それでも次第にゴブリンクイーンの動きが緩慢になり簡単に目で追えるようになる。

『なぜじゃ!!』

『もう止めよう…』

 孝雄実はそう言うと距離を取る。ゴブリンクイーンは魔力の流れが見える。孝雄実の中では溢れ出さん限りの魔力が生み出されている。体内を巡る様に、満遍なく満たされていく。それが剣にまで溢れ伝わる。間違いなく次の攻撃で終わらせる腹積もりである。そう感じたのだ。


『私とて、私とて負けられぬわ!!』

 ゴブリンクイーンは生命維持に必要な最低限の魔力以外を放出して孝雄実に襲いかかる。これこそがクイーンにとっての全力攻撃である。鉄の棒も一本へと、両手で構えると彼が動き出す前に動き出す。準備不足であれば勝機は在ると踏んでの攻撃だ。


『行くぞっ!』

 右足を牽いて、力強く蹴る様に孝雄実は跳び出す。剣は右手を下に左手を上に持ち、振り上げる。動き出しは明らかにゴブリンクイーンが速かった。だが、それを上回る速さで孝雄実は差を詰め、剣を振り下ろす。堪らずクイーンは鉄の棒の端々を両手で持って防ごうとする。動けなくなっても良い、生命維持さえ出来れば、数年我慢すればと搾りかすの魔力さえも動員しての防御である。


 切れ味鋭い剣と言うのは痛みを感じないと言う。映画などでよくありがちな、斬られているとは知らずに、振り向こうとした瞬間に胴体がズレると言うやつだ。

『グッ…何っ、を……』

 縦一閃、振り上げた剣を有らん限りの速さで振り下ろした。彼は鉄の棒ごと綺麗にゴブリンクイーンを真っ二つに斬った。綺麗に左右に割れるとそのまま地面へと崩れ去った…


 すると何処かにゴブリンが居たのであろう。この部屋にも悲鳴が響き渡る。これにてゴブリン討伐は終了を迎えた。

『あっ…』

 孝雄実が声を出した瞬間、目の前が暗闇に包まれた。そしてそのまま地面に突っ伏したのである。





『ほら起きなさい』

『今回は強制じゃないんだ、直ぐに目を覚ますだろ』

『此の男が……』

 何やら声が三人に増えているそう感じて孝雄実は目を覚ます。

『おはよう、白と黒に…えーっと?』

『駄馬で十分よ』

『駄馬でいいぞ』

『おい、ちょっと待て、この駄目虎!駄馬で良いだとふざけるのも大概しろ!』

 そういう会話で孝雄実はピンとくる。

『ああ、サラの持っているカラドヌルクか!』

『よく気が付いたな。人間褒めてやる!!』

『構わないわ、孝雄実。駄馬って呼んでやりなさい!』

 カラドヌルクは白と黒同様に子供の姿で精神世界へと現れた。見た目は何故かプロ野球チーム、定期的に橙色のユニホームで戦うチームの格好の少年である。では白と黒は…イメージ通り虎さんのチームの格好である。セ界にフラッグを!これを言えばご想像できる方が大多数であろう…


『まあまあ、そう呼んでは可哀想だろ。適当に名前をだな…からド…カラ……は変だ。駿(しゅん)なんてどうだ?』

『どう言う意味が在る人間?』

『俺の世界には良い馬の事を駿馬(しゅんめ)と言うんだよ。だから駿ってどうだろうか?』

『ふむ、駿か…いいだろう特別に呼ぶ事を許そう人間』

『そうじゃないでしょ、この駄馬!だからあんたは駄馬なのよ!』

 後ろから思いっきりお尻を蹴り飛ばすのは白である。さらに追い打ちを黒が掛ける構図である。

『ちょ、止めて。本当に痛いって…』

『白、黒止めなって、時間無いんだろ?』


『あっそうだったわね。忘れていたわ』

『この駄馬のせいでな!』

『まあいいわ。それじゃあ、話しを始めるわ。最初に私たちの事ね。気が付いたでしょうけれど、私たちは二人で一つのレーヴィックと言う名前の宝剣よ』

『本来まだお前に見せる訳にはいかなかったんだが、相手が相手だったからな。この駄馬に協力して貰ったんだ』

『有り難く思えよ、人間。って痛いです!』

 今度は黒が蹴った。

『とにかく、この駄馬のお陰で私たちは孝雄実と融合を果たした訳。本当はね、魔力が足りなかったのだけれど、こいつがそれを補ったのよ』

『そうだ、俺がお前を救ってやったと考えれば自ずと態度で示せよ、人間!』

 何処までも態度がでかいが最早それに突っ込む事はしない。


『これからはサラも仲間に加わる。これは決定事項だな』

『どうして分かる、黒?』

『それは俺がお前の中に出現したからだ。とだけ言っておこう。目を覚ませば分かる話だ』

『それとあの合体は今回限りよ。まだまだ、魔力が不足しているわ』

『ああ、魔力が少ないんだな』

『そうだぜ、ちゃんと話は聞いているな。それじゃあまあ、これから宜しくってことで、お前にプレゼントが在ります』

『ジャンジャカジャーン!!レベルアップ…はしなかったけれど、今度から盾を装備出来るようになりました!!』

『それはある意味俺からのである。有り難く思えよ、人間!』

『使い方は双剣と同じ。だけどボウガンでも双剣でも出せるようになっているわ』

『魔法万歳だな、孝雄実!!』

 そう話しているとこの世界が白み始める。まるで初めて限界を示すようであった。

『あっ』

 三人の声は重なった。白と黒は子虎に駿は馬へと姿が戻っていた。


『それじゃあまたね孝雄実』

『確りと鍛えろよ!』

『俺と会話で来た事を誇りに思うが良い人間!』

 そう言うと世界が光に包まれ、意識が遠退いて行った。






「あっ目が覚めたのね」

 孝雄実が目を覚ますと直ぐにエレオノーラの声が聞こえる。タイミングが良すぎると思って彼は尋ねると彼女は笑って答える。

「どうしてかしら、孝雄実の目が覚めたって思っちゃったのよ。不思議よね、そう思ってここに来たら本当に目を覚ましているなんてね」

 そう言って彼女は声を出して笑う。その声でマリアンもやってくる。

「本当に目覚ましたんだ。すげーなエレオノーラ、まさか本当にご主人様が目を覚ますなんて思わなかったぜ!」

 彼女が来ると美味しそうな匂いを運んできた。それにつられて孝雄実のお腹が大きく自己主張を始めた。

「やっぱり腹減っているんだな。丁度飯も出来たし来なよ、ご主人様」

 移動する際、孝雄実はエレオノーラにブラックとホワイトの所在を尋ねた。

「ああ、あの二頭ならサラの所よ。いつもは孝雄実の所で目を覚ますけれど、先に起きてからは大人しくしているわ」

 少し寂しそうに彼女は話す。詠唱破棄を行ってからと言うもの件の二頭はエレオノーラにべったりであった。あの可愛らしさを独占とまでは言わないが興味が移った様な気分を味わっていた。






 三人がその場所に向かうと既に皆が揃っていた。中でも元気よく孝雄実を出迎えたのがその二頭であった。

「ギャウギャウ!」「ガウガウッ!」

 前足で彼の脚に触れようとしているその姿が妙に愛らしい。爪で引っ掻いていないのは単なる虎では無いからだと思っていただきたい…

「孝雄実、よくぞやってくれた。皆から話しは聞いた。本当に有難う!!」

 オリマッテは二頭をあやしている孝雄実に言葉を投げ掛ける。彼が気を失っている間、あのゴブリンクイーンを倒した直後の事は孝雄実は知らない。


 ロドム達は彼女の幻惑により、戦力から外されていた。さらには最初にダンが脱落したように殺気で気を失う。実は徐々に彼等は脱落していたのだ。孝雄実とサラはクイーンと先頭で対峙している為に気が付かないでいたが、ウォーレン、アラン、ロドムと倒れて行く。さらには此処までで体力を消耗していたマリアン、エレオノーラと気を失っていたのだ。

 しかし、強制されていればその強制した者が亡くなれば解放される。孝雄実が気を失って直ぐの事エレオノーラとマリアンが、次いでロドム達が目を覚まし、状況を確認した。しかし、戦闘で疲弊したと判断されるサラと孝雄実は倒れたままであったのだ。

 手分けして彼等を此処まで運んだのであった。


「随分と気を失っていたんですね…」

 オリマッテから聞かされる話しで孝雄実自身がどれほど寝ていたのかを実感した。ロドム達が孝雄実とサラを運び出した後、オリマッテは確認すべく再びロドム達を護衛として中に入った。エレオノーラとマリアンは外で孝雄実たちを見守らねばならないからだ。その間に、マリアンが調理を行う。最初に目が覚めたのがサラであり、次いで孝雄実であった。

「仕方ないだろう。君が最後までゴブリンクイーンと戦ったのだろう。むしろこんなに早く目が覚めるとは思わなかったよ」

 そうは言うが既に日は落ち始めている。ここで村へと帰るという選択肢はない。道中、数か所で危険な場所が在る為だ。日が落ちての行動は危険を伴う為に、明日の日の出を待って帰還することに決まっていたのだ。


「みんな、お待たせ!飯の用意出来たぜ!」

 マリアン特製の鍋料理である。彼等は何度か孝雄実の家で馳走に為っている。俄かに彼女の鍋料理の評価が広まっていた。とかくオリマッテは食べた瞬間から味の虜に為っている。領内の最高権力者を落とすあたりを狙ったのか、と疑われても仕方が無いのだろう…

「おお、待っていたぞ。話しは後にしよう。先ずは腹を満たそうではないか!」

 その言葉で皆は鍋を囲みながら料理を食べ始める。虎も別に取り分けて貰い美味しそうに彼女の鍋料理を堪能していた。


 皆で料理を囲むことで仲間意識を高める効果が在るらしい。此の場でもそれは起きている。特にサラとマリアンである。マリアンの場合契約こそしていないが孝雄実の奴隷である。

 サラは陪臣子爵家の娘とはいえ身分はこの中で、オリマッテの次に当たる。しかし、性格が合っている様である。

「ほらサラ食えよ。これ結構いけるんだぜ!」

「本当に美味しいですね。これは貴方が?」

「まあな、肉は塩振っただけだけどな…」

 今は鍋料理では無く、炙った肉を食べていた。クマに似たウォーリベアという動物の肉である。






「そろそろいいかね…?」

 オリマッテは周囲の料理状況を確認して言葉を発する。既に鍋は空となり、切り分けられた炙り肉を食べるだけであれば、問題はないと判断してのことだ。

「先ずはみんな本当にご苦労であった。ロドムの判断ではレベル四まで規模が拡大していたようだ。故にゴブリンクイーンも強さがとんでもないことだったのだろう…」

 クイーンは基本繁殖のみに力を費やす。多くを産めば産むほどその者の力が強くなるというものだ。故にクイーンの強さが尋常では無かったのだ。


「しかし、みんなの活躍で無事に最奥まで到達。さらには孝雄実とサラの活躍で何とかゴブリンクイーンを倒すに至った。確りとブラスト辺境伯に報告し、しかる後に報酬を支払うことに為る。今回は期待してくれよ」

 そう言うと皆が喜びに声を上げる。この国ではロドムの達の様な人間は金銭で報われる。基本となる基準が分かっている為に、今回の報酬額を思い出しているのだ。

「今日は確りと休んで日の出とともに村へと戻るとしよう」

 そう言ってから暫くして火を消して床に着くのであった……


 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 間に合わなかった!と反省する今野常春で御座います…

 中々書く時間が得られないと言い訳を述べます。しかし、それでも毎日投稿される方がおられので、頑張りたいと考えております。

 クオリティーは落とさぬようにを意識を、誤字脱字に気を付け書き続ける所存です。


 ご感想等お待ちしております。

 それでは次話で御会い致しましょう。

               今野常春


 評価を戴きまして、誠にありがとうございます。四人の方に評価を戴き、平均4ポイント以上を戴いております。向上を目指し、これ以上点数を落とさぬ様頑張ります。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ