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第二話

起きた。宿から見える風景はいつもと変わらない。俺は、朝食を食べに宿屋の一階に降りた。宿屋は主にこの辺の冒険者達が利用している。


「おはよう、オヤジ」

「おう、スグル。お前、ギルドで有名なんだって?」

「は? なんで?」


通称オヤジ。このあたりで有名な宿屋のオヤジだ。金の無い物には、宿代は安くしてくれるし、亜人、人間、はたまた魔物まで、代金を払えば誰でも泊まれる壮大な心の持ち主なのだ。

俺が勇者だと気づいているっぽいが……今のところは、役所に申し出ないでいてくれている。一歩間違えれば、罪人である。


「さっき来た冒険者と話したんだがな、一気にDランクの冒険者からAランクに昇格したらしいじゃないか」

「あー……それはだな……」


俺は言葉につまる。


「まぁ、俺には関係ないことだがな。朝飯を食えよ」


オヤジはいつものことながら深くは追求してこない。ありがたいことだった。


「じゃあ、俺はギルドに行ってくるよ」

「おぅ! 気をつけるんだぞ。お前がいなくなったら、収入が減っちまうからな!」


豪快に笑うオヤジ。


「大物しとめて、このボロ宿屋に寄付してやるよ!」


俺は冗談交じりに言うと、町のほぼ中心にあるギルドに向かった。


ーーギルドにて。


「スグルさん! 話があるの」


ギルドについて早々、受付のアーニャにこんな事を言われた。アーニャはギルドの受付嬢をしている。エルフの血が混ざっているとかで、人間離れした美貌を持っているため、アーニャを目的にやってくる冒険者が後を立たない……という噂を聞いた。

俺も、前の世界では18才だった。正直、美人を前にしたらガチガチに緊張してしまう。だが、ギルドに通い詰めて一ヶ月だ。流石にアーニャと会話をするのも慣れてきた。


「え…… 。客?」

「私の知り合いなんだけど、腕の立つ冒険者がいるって話をしたら、是非用心棒に雇いたいって」

「用心棒? 誰ですか?」

「ブランシェ公爵」

「……誰ですか。それ」

「この辺じゃ有名な貴族よ」

「貴族か」


正直、ホッとした。騎士団が俺を追って来たのかと思った。

俺はアーニャの申し出を断り、ギルドでAランクの魔物の討伐へ向かうのだった。

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