第一話
異世界に来て早いもので、一ヶ月が経ってしまった。もとの世界に帰る方法も分からず、ふらふらと近くの街を彷徨っていた。 俺はギルドで魔物を狩り、細々とした生活をしていた。
この世界に来て分かったことは、魔法や魔物が存在するファンタジーの世界ということだ。
魔法は念じれば、発動できた。前の世界にいた時とは明らかに違う力の流れを感じたのだ。それを、イメージ通りの魔法に変化させ、手などから放出させる。
大抵の魔物は放った魔法で討伐することができた。討伐した魔物の毛皮などをギルドで売れば、食べ物に困ることはまずない。
「暇だなー」
俺はつぶやく。基本、前の世界にでも何にもせずにゴロゴロしていることが好きだったため、討伐が終わるとこうしている。ぶっちゃけやることがなくて暇なのだ。
外では脱走した勇者を探して国中が大騒ぎだった。その勇者というのが……俺なんだけどね。
魔王が復活したとかで、理不尽にこの世界に召喚させられた。で、召喚師の隙をついて逃げ出した。幸い、チートな俺の能力で何とか今まで見つからずに平和な日を過ごしている。
「ふぁあ」
俺はひとまず寝ることにした。