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病み憑き  作者: 雪鳴月彦
第四部:風岡夏純 ②
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第四部:風岡夏純 28

         6


 生きた気配のない闇の中、七つの黒い影が儀式の穴へと歩いていく。


 遥か昔、山神の生贄とされた村人たちの無念が一つに集まり悪霊と化した存在へ導かれるように歩くその姿は、夢遊病者のようなイメージを彷彿させる。


「…………」


 言葉も生きた頃の記憶も全てが黒い闇に沈んだ元人間たち。


 復讐を願った少女と、その対象にされた六人の男女は開かれた風穴の中へと吸い込まれ、やがて暗い奈落の底へと消えていった。


 暗い天井に張りつきそれを見届けた悪霊は、新たな生贄たちに喜ぶようにグニャグニャと身をくねらせるとそのままボトリと穴の底へと落ちて沈んでいく。


 そうして、儀式によって願いの成就を求める者が新たな仲間を投げ入れる瞬間を、その深い地の底からジッと待ち続ける。


 蜘蛛が己の張った巣に餌がかかるときを待ちわびるように。


 風穴の中を生温い風が吹き、嗚咽のような不気味な音を奏でながら通り抜けていく。


 そうして、穴の中には静寂と光の差すことのない永遠の濃い闇だけが残された。

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