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病み憑き  作者: 雪鳴月彦
第四部:風岡夏純 ②
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第四部:風岡夏純 20

(やっぱり、ここはあの二人が通った跡で間違いなかったんだ。来た目的は不明だけど、あの祠の所で何か予想外の出来事に巻き込まれて、それで二人とも……)


 下草が足にまとわりつき、思うようにスピードを出せないもどかしさを味わいながら、ここまでに得た情報を自分なりに整理する。


 だけど、自分たちを追い詰めようとしているあの二人の身に起きたことと、そもそもここまで来た理由を解き明かすための材料が足りない。


 いくら推測をしたところで、すぐに思考はどん詰まりに陥ってしまう。


(いや――違う。いくつかある。信じられない内容だけど、この事態に繋がりそうなことが――)


 茜が見せてきたスマホの画面。


 そこに映されていたこの地区に残る古い言い伝えのような話。


 黒い奇病、山神の祠、儀式、生贄。


 茜が危惧していたように、あの場所が本当に昔多くの命を生贄として捧げていた場所だったとしたら。


(貴秀はあの穴から這い登って出てきて、真美の妹はその穴の前で倒れてた。……まさか)


 自分の仮説に、背筋がゾクリとなる。


 そもそも秋本 夢美があの場所へ向かった目的は、貴秀を穴に突き落して殺すつもりだったのではないのか。


 何らかの方法で彼女は儀式の存在とあの場所を知り、貴秀殺害の舞台に選んだ。


(あり得ない話じゃないわ。人目につかないに等しいここなら、死体をうまく隠せるし。貴秀を脅すか騙すかして連れ出せば、ここまで来たことに意味が出てくる)


 奇病を鎮めるための生贄。それに見立てた、陰惨な殺人。


 姉の復讐。


(貴秀は生贄にされてた。となれば、あの妹は残りのメンバーであるわたしたち五人にも復讐を考えていたはず。だけど……)


 だけど、そうなると別の疑問が浮上してくる。


(真美の妹本人は、どうして死んでいたの?)


 彼女の死に様は、どう考えても自殺や他殺には見えなかった。


 あんな全身真っ黒になって死ぬなんて、焼死体でもない限り人間には不可能。


 あの場所には当時流行していた病原体が今でも生きていて、それに感染して死んだのだろうか。


(たぶん違う。それなら、わたしたちにも発症しないとおかしい)


 もう一つ、もっと気になる可能性がわたしの脳に浮かんでくる。


(あの二人の姿って、愛の死んでた状況にも酷似してるのよね。タイミング的に被ってるのも気になるし……)


 貴秀と真美の妹だけが黒化してるなら、まだ的を絞って強引な納得をすることも可能かもしれないけれど無関係な位置にいた愛までもが同じ死に方をしていたとなるとそうもいかなくなる。


 頭の中がグチャグチャしてくる。


 おかしなことはいくつもあるのに、あまりにも現実味がなくまとまりきらない。


(ひょっとしたら、茜や竜次が見たっていう黒い影も本当は何か関係があったのかもしれない)


 大昔の儀式と奇病。メンバーたちが目撃した黒い影。奇病そっくりに黒くなって死んだ愛や貴秀。そして、貴秀は秋本 夢美と共に謎の黒い粒に浸食され化物となり、今自分たちを追いかけてきている。


 秋本 夢美は儀式の真似をして貴秀を殺した。それによって、あの穴の底に眠っていた山神だか悪霊だかが目を覚まし、夢美本人もその呪いに殺され化物と化した。


 これなら、不本意だけども説明がつく。実際、化物となった二人が現実として追ってきている以上、そう考えても矛盾はないだろう。


(茜たちの元に現れた影と愛が死んだ理由は――?)


 追ってくる二人がここへ来たこととは無関係な位置にいたわたしたちに被害が及んでいた部分の説明は、どうすればできるのか。


 二人と関係性のあるメンバーだから、それを理由に呪いが伝播してきたとか、そういうことなのだろうか。

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