第三部:風岡夏純 5
猫目がちというのも納得だ。性格がキツそうに見えるわけではなく、人懐こそうで可愛らしいイメージの目。
それ故に、貴秀も狙ってたんだろうと思うけど。
「……そっか。ありがとう」
間違いはなさそうだ。特徴からして、貴秀を呼び出したのは秋本 夢美。
僅かに首を巡らし、愛、茜、竜次の三人と目を合わせる。
全員、何かを言いたそうにわたしを見つめ返してきた。
「風岡、 話は休み時間にしてさっさと席につけ。皆迷惑してるぞ」
痺れを切らしたような保田の声。
「……」
わたしは無言のまま席へと戻り、着席する。
(絶対、貴秀の身に何か起きてる。きっと真美のいじめがばれたんだ)
カフェに忘れてきた貴秀のスマホと、わたしたちが大声で話していた会話の内容。
これらの情報があの少女へ伝わってしまっているとすれば、平穏に済まされる事態でなくなることはほぼ必然。
(場合によっては、わたしらにもとばっちりが来るってことじゃん……)
真美にしていたことが公にされたら、六人全員がただでは済まなくなる。
どうにかして、この問題を解決しなくては。
耳に届く保田の声を雑音のように聞き流しながら、わたしは誰にも聞こえないような小さな舌打ちを鳴らした。




