表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病み憑き  作者: 雪鳴月彦
第二部:秋本夢美 ②
33/91

第二部:秋本夢美 19

「はい。あたしの言うことを一つ聞いてくれたら、今回の件、誰にも言わずにおいてあげますよ。もちろん、あたし自身今後一切先輩たちには関わりません。……まぁ、そっちがあたしに構ってこなければの話ですけど」


「何もしねぇよ。何だ、その取引ってのは?」


 追い詰められ、すがるようにあたしを見つめてくる角田の態度におかしくなるのを堪えつつ、ポケットから一枚のメモ用紙を取り出す。


「今からじゃ不自然でしょうから、今日の放課後、ここに書いてある場所まで一人で来てもらえますか? 誰にも言わず秘密にして」


 あたしが差し出したその紙を、恐る恐る手を伸ばして受け取る角田。


 そこに書かれているのは、先日あたしが向かったバス停の住所。


「……何だこれ? おれに何をさせるつもりなんだよ?」


 角田だってこの地域で育ってきた人間だ。記されている場所がどのような所なのかくらいは大体の見当がついているだろう。


「細かい説明はそのときになったらします。余計なことは詮索しようとしないで、とにかくあたしの指示に従って下さい。先輩に主導権なんてないんですから」


「…………」


 きっぱりと告げられ返す言葉もない角田へ


「それじゃあ、よろしくお願いしますね」


 とだけ最後に告げて、あたしは一人階段を下りていく。


(これで良い)


 最初の布石は無事に打つことができた。


 あの様子なら逃げる心配もないだろうし、計画の初動はうまくいくはず。


 早退するため職員室へと歩きながら霧雨で湿る窓を一瞥し、あたしはずらしたままでいたマスクを元に戻した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ