第二部:秋本夢美 8
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乳白色に染まる湯船をぼんやりと見つめながら、あたしは脱力したように足を伸ばしてこの先の予定を思い浮かべる。
例のサイトに書かれていた大まかな住所は、調べる必要もなくわかっている。
問題は、細かな地理の把握ができていないこと。
人柱を投げていた穴があったであろう場所、そしてその目印になるはずの山神を祀っていたらしき祠。
これらの正確な場所を特定するのはそう簡単なことではないはずだ。
大体にして、今でも存在しているのかすら怪しいわけだし、万が一跡形もなくなっているとしたなら探すも何もあったものじゃない。
(あの辺、農家ばっかりでほとんど人も住んでなかったはずだよね。紗由里の親戚がいるっては聞いたことあるけど、明日にでも話して少し確認してみようかな)
とは言え、いきなり奇病や儀式なんて言いだすのもおかしいし、少し考えて喋らなくてはいけない。
調べ終えるまでにはそれなりの時間がかかることを覚悟しておかなくては。一日程度でどうにかなるようなものではなさそうだし。
白い水面から、濃い霧のような水蒸気が立ちのぼる。
そんな湿りきった空気に自分の吐息を混ぜると、あたしは滲んだ汗を流すためにバシャリと音を立てて立ち上がった。




