第一部:秋本夢美 13
さっきまで彼らが話していた会話を思い返しながら、恐る恐る電源キーを押しフリックしながら操作する。
(写真がどうこう言ってたはずだけど……)
保存されている画像一覧を表示させ、上から順にスライドして眺めていくと――。
「――っ! 嘘……何よこれ……」
仲間同士が写るくだらない写真が暫くは続いた。
だけど、その途中から約二十枚近く保存されていたえげつないという言葉すらおこがましく思えるような写真を見つけ、あたしは咄嗟に口元を押さえてしまった。
そこに写っていたのは、間違いなくお姉ちゃんの姿。
どこの部屋かはわからない。アパートみたいな場所だろうか。
全裸にされ、角田と岩沼により乱暴を受けながら顔を歪めている実の姉。
そんな姉を、角田は悦に浸るようにゲスな笑みを浮かべて見下していた。
その周囲には、他の仲間たちであろう身体の一部が紛れ込むように写っているのも確認できる。
これが、あの六人が交わしていた会話の正体。
「…………」
あたしの知らないところで、お姉ちゃんはこんなことをさせられていたのか。
無理矢理されていたことは、考えるだけ無意味。
こんなの、お姉ちゃんが率先してやるなんてあり得ない。
身体を強要して写真に撮り、弱みを握り支配下へ置いた。
これからはバイトがどうのこうのとも言っていたから、たぶんこの写真をネタにして恐喝まがいのことにも利用していたはずだ。
考えてみれば、お姉ちゃんがここ最近お金を使っているのを全く見ていない。
本人は学校を卒業した後の資金に溜めてると笑って言ってたけど、とんでもなかった。
「……お姉ちゃ……どうして……こんな」
お姉ちゃんの手元にあったお金は、全てあいつらの遊ぶ金として消えていただけ。
強姦し、お金も奪い、挙句――妹のあたしのことも巻き込ませようとしていた。
(お姉ちゃんが死んだ理由って、あいつらからあたしを守るため? あたしが巻き込まれるのを避けるために……)
悔しさが込み上げ、目の奥から熱いものが溢れてくる。
お姉ちゃんがずっとこんな辱めに耐えていたことに気が付けなかった自分と、ここまでのことをしておきながら更に悪だくみを考えていたあいつら、そして何より、あたしの存在がとどめとなってお姉ちゃんが自殺したこの取り戻すことのできない現実。
その全てが、悔しかった。
「…………あいつら……許さない、絶対……このままじゃ……」
噛み締めた唇が切れ、血の味が滲む。
あたしは、急いで自分のスマホからSDカードを抜き取り角田のスマホへ挿入すると、問題の写真全てをコピーした。
(復讐してやる……あいつら全員、ただじゃ済まさない)
スマホを元の位置へ放り、あたしはふらつく足取りで店を出る。
自分が思っていた以上に、真実はおぞましいものだった。
あの六人に、お姉ちゃんは殺されたも同然。
このまま大人しく泣き寝入りなんてしたくはない。
零れ落ちそうになる涙のせいで、視界がぼやける。
その涙を拭うこともせず、あたしは自分の小さな拳を強く握り締めた。




