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お父さん、ナイス!
俺が勤めをしていたころの話。
武蔵野線のとある駅から乗ってきた父子連れがいた。
お父さんは30歳前後、息子は小学生低学年ぐらい。
お父さんと息子の二人が、とりとめなく会話をしていた。
俺は、ドア付近に立って、何となくボーっとしていて、親子の会話がなんとなく耳に入っている。
息子が、父に聞いた。
「パパ、満員電車って、どういうの?」
俺は、何となく、父がどう応えるか、興味を持った。
父は、少しだけ考えて、そして応えた。
「もうこれ以上は乗れないだろ、っていう状態から10人くらい乗ってくる感じかな?」
俺は、この回答を、恐ろしく的確な表現だと感心した。
これ以来、もし、満員電車を説明してくれと言われたら、これを引用しようと固く心に思っている。