ジャガイモとジョンの行動
「この毒の実は…どのように呼ばれるようになったのですか?」
「それは…知っているかと思うが…この毒の実をそのまま食べたものがいてな…毒に当たり死んでしまったという経緯がある。」
「……緑色になった毒の実を食べたのでは?」
「よ、よく分かったな。」
「発芽したものと緑色になった毒の実を食べてはいけません。食べてしまえば毒に…」
「なるほど…」
「それ以外の毒の実は安全です。」
「信じられんな…この毒の実が…」
「フライドポテトやポテトチップスにすれば美味しくなりますよ?」
「お、美味しそうな響きだ…作り方は?」
「お見せしましょう。」
キッチンを借りまな板に毒の実を乗せ芽を包丁で器用に取り綺麗に切っていく、クシ型やら細く切った物まで水分を拭き取った後油に火を通しある程度の温度になったことを菜箸で確認した後揚げていく。水分をふき取っているので油が跳ねる心配はない。綺麗に色がついたら皿に盛り付け完成したのがフライドポテトとポテトチップスである。
「では頂こうか。」
「旦那様先にわたくしめが。」
「爺や私なら大丈夫…」
「いいえ旦那様わたくしは先が長くない身…毒に侵されても大丈夫です。」
「爺や!」
なんだこれと思っているが実際命に関わるから仕方ないよな食べ方が分かれば皆真似をするだろう。
「では…」
爺やと呼ばれる執事が恐る恐る食べる。つぎの瞬間目を輝かせセブン伯爵の方を見る。
「だ、旦那様これは革命でございます!」
「なに?!」
「この食感は初めてでございます。」
「ど、どれ私も…これは!!爺やこれは確かに革命だ!!」
「旦那様!この調理法ならば特産品として出せます!」
「ああ!」
料理長やメイド長たちが泣いて食べていた。いやなんだこれとちょっと引いていた。
「ウルフ殿でしたなありがとうこれでこの町は救われる!」
「いいえ。私は提案しただけのみ。」
「ウルフ殿…なにか礼をさせて欲しいのだが。」
「……そうだ。セブン伯爵にはお子さんがいるとかなんとか。」
「娘のメアリーのことかな?」
「はい。メアリー様の笑顔で十分。」
「な、なんと!物欲のないお方か!」
「旦那様いざと言う時に…」
「なるほど彼ならば良いな!ウルフ殿!困ったことがあれば私に相談してくれ!その時は盾になろう!」
「それは助かります。」
後ろ盾を手に入れたので一安心するウルフ、ふと思う何故自分に頼ったのかとそれを指摘するが言葉を濁したのでなにも聞けないまま屋敷を出た。
「やはりウルフ殿は…異国の貴族…スパイではないと報告を受けた時は驚いたが…まさかあの毒の実が食べられるとは。」
「ジャガイモとして名を広める案も決定なされたのもウルフ殿の発言あってこそ。」
「毒の実のままにしておくには惜しい味だったな…」
「ええ。」
「メアリーにデザートを作ってくれて…感謝しかない。」
「お嬢様大喜びでしたな。」
娘メアリーの喜ぶ姿を思い出したからか笑みを浮かべるセブン伯爵と爺や。
「ウルフ殿に手を出すなと他の貴族たちに通達しておけ。」
「かしこまりました。」
一方その頃ジョンは冒険者ギルドでトランプのポーカーをしていた。
「ロイヤルストレートフラッシュ!」
「だァァァァ!!負けたァァァ!!」
「ジョンさん弱すぎ!」
「おーし酒1杯奢れよ~。」
「分かってるよォ…」
「だはは!!ジョンお前まだまだだな!!」
「うるせぇやい。」
「そうだジョン聞いたか魔人が消えたって話。」
「あーその話なら親父さんに聞いたぜ。」
「ならこれも知ってるか?ドワーフの一人がなにやら探してるって情報。」
「ありゃなんでまた。」
「なんでも一瞬で出来た豪邸を見てからというもの探し回ってるって話だぜ。」
「なるほどね~。おじさんサンキュー。」
「おーよ!にしてもこのポーカーってぇのは面白いな!」
「ジョンさんのおかげで大盛り上がりよ。」
「ジョンさん!後で一緒にお話しませんか?!」
「おっいいぜ~。」
ジョンは確かにダメ人間だが人付き合いがよく困ってる人には優しくしたり困ってる人の話を聞いたりする要するに自然と人が集まってくる人柄の持ち主だ。自然と情報が入ってくるのも理解出来るのだ。
「なぁ聞いたか今度姫様が来るらしいぜ。」
「人気のない町に何の用だ?」
「なんでも強くなりたいんだと。」
「怪我しなきゃいいんだがなぁ。」
「だよなぁ…まだ幼いし…」
「第一王子がなぁ…あれだからなぁ…」
「婚約者いるのに女遊びしているんだろ?ありゃあだめだ。」
「おいこら第一王子派の人間が聞いたら…」
「人望ないのにいるわけないだろ。」
「それもそうだな。」
ジョンが聞いているとも知らずに話し込んでいた冒険者たち。その前でジョンは器用にも読み書きを教えていた。
「勉強になりました!」
「いやいや君たちは飲み込みが早いんだよォ。」
「ジョンさん!」
「ジョンさん優しい!」
「Sランクの人たちも優しければいいのに…」
「いやあの人たち癖が強いから。」
「そんなに癖が強いのか…」
「ドワーフのリンドウさんSランクだけど…カタナっていう武器を作るのに夢中だから。」
「ほぉ…」
そりゃあいいこと聞いたと心の中で舌なめずりするジョンであった。
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