【第3話】あの世とこの世の狭間にて③
「そうじゃの。勇者召喚の理由はな。魔王を倒してもらいたいのじゃ。」
最高神にそう言われた感想としてはそれはそうだろうなだった。
勇者がいるということは魔王も存在する。
それはファンタジーの世界では鉄則と言っても過言ではない。
ただ、改めてそう言われると少し興奮を覚える。
子供の時に何週もやったゲームだったり、何回も見たアニメだったり、そういう世界に僕自身が行くんだ。
「ただのう。魔王と言っても沢山おるのじゃよセフィーリアには。」
「そうなのですか。」
「そうなのじゃ。ただ、そ奴らは人類からすると本物の魔王ではあるのじゃが、儂ら神の基準でいうなら魔王ではないのじゃよ。
つまりお主に討伐を依頼するのは『真なる魔王』と呼ばれる存在なのじゃ。
その存在は人類の悪の感情が溜り、世界が許容範囲を超えたときに生じる一つの現象なのじゃよ。
セフィーリアの存在ではその現象に影響を受けすぎて倒すことが不可能なのじゃ。
その為、真なる魔王が発生するときには勇者を召喚し、討伐してもらうことになっておるのじゃ。
真なる魔王が発生するのは今から5年後と言ったところかのう。
それまでに力をつけておいてほしいのじゃ。」
「わかりました。その真なる魔王を討伐する依頼を引き受けます。」
「助かるのう。真なる魔王を討伐した後はこの世界で好きに生きてほしいのじゃ。
これで大体はわかったかのう。」
「はい、わかりました。」
つまり、僕は真なる魔王と呼ばれる現象を解決するために5年間修業をするということだ。
真なる魔王がどれほど強い存在なのかはわからないけれども、きっと5年間もあれば僕が強くなれると信じて頑張るしかない。
それに僕には頼もしい仲間もいるんだ。
「それじゃあ、覚悟は良いかの?
そろそろセフィーリアに送るぞ?」
「はい、大丈夫です。何から何まで有難うございました。」
「良いのじゃよ。」
そう言うと僕の足元に大きな魔方陣が出現した。
魔方陣は黄金色に輝いていて、幻想的だった。
この魔方陣で今から異世界に行く。
不安だった気持ちは消え去り、楽しみしか心には残っていなかった。
「そうじゃったそうじゃった。一つ儂から頼みがあるんじゃが…」
「なんですか?」
「多分セフィーリアのどこかに儂の息子がいると思うのじゃが…もし会えたらでいいんじゃが、儂も熱くなりすぎた、もう一回冷静に話し合おうと伝えてくれんかのう?」
「わかりました。会えたら伝えておきます。」
最高神の息子がいる?
そして、熱くなっってたからもう一度話し合おう?
何処か神なのに人間じみたところもあるんだなと微笑ましく思った。
「わかりました。会えたら必ず伝えます。」
「頼んだぞ。それじゃ、元気でな。」
「有難うございました。」
こうして僕はセフィーリアに召喚されたのだった。