幸せだった日々?
とりあえず、アパートの住民に育てられる事になった俺は昼間は段ボールの中にタオルと共に入れられた。
住民は両親と娘が一人で平日昼間は仕事と学校で家にはいなかった。
夜は遊ばれてから住民の手の上で寝かせられた。
牛乳はお腹を壊す可能性があるからと猫用のミルクと哺乳瓶を買ってきて与えてくれた。
段々と周りも見えるようになって、動けるようになり段ボールから出られるようになったらゲージに閉じ込められた。
排泄がトイレでちゃんと出来ないかららしい、俺が悪いのか?
まだ刺激して貰わないと上手く出来ない時もあったけどな。
アパートの住民と俺の悪戦苦闘の日々だったが、それなりに過ごしていた。
ある程度やりたい事がやれるようになった頃、新たな試練が追加された。
それは体を洗われる事だ。
猫の匂いが部屋につかないようにと風呂が好きになるようにって2週間に一回の頻度でやられた。
好きになんぞなるかってんだ、普段あんまり思ってもないけど俺は猫だぞ、基本的に濡れるのは嫌いだ。
まあ、そんなこんなゲージも狭くなった頃には閉じ込められなくもなり、平日昼間は一人でのんびりと夜と休日はもてあそばれてたけれどもゆったりした日々を過ごしていた。
食事も歯が生えてきたらミルクから離乳食、離乳食の缶が無くなる頃には普通のキャットフードと成長していった。
夜の寝る時はミルクが無くなってからはおっぱいが恋しくてかーちゃんの指を吸ったりしてた。
トイレは時々怒られながら徐々に一定の場所でするようになった。
段ボールの中の方が落ち着いて出来るんだけどな。
ちなみにアパートはペット不可だったらしく、住民は俺の飼い主になってくれる人を探してたから暫く名前もつけずに俺の鳴き声を真似してミーとよく言っていた。
そのうちに飼い主になってくれる人も現れなくて名前が無いと不便になったみたいだが、ミーと言われるので俺が反応してたからそのままミー。
しかし、ミーでは名前じゃないとその地方の特産品のみかんを名前にしてしまおうと何とも適当な理由でみかんと名付けられた。
毛色は全くみかんの欠片も入ってない、白地に黒シマの斑模様なのにな。
ちなみにこの頃にはまだ男か女か分かって貰えなくて女だと思われていたのだった。
そういや、オスだったらアジとかサバって名前にしようとかほざいてたな、いい加減な奴だぜ。
そんな感じのまあまあ幸せだった日々は約半年続くのであった。