最初の苦難?!
ある初夏にとあるアパートの空室と思われた部屋の庭で俺は生まれた。
兄弟は他に4匹、母親も皆を産み終わって寛いでいた。
アパートの窓が開く、洗濯物を干しに出てくる人がいた!かーちゃんだ
焦る母親は俺達から離れて出てきたかーちゃんの注意をひいた。
しかしながら、そのまだ出産の痕が残る母親の行動はかーちゃんに興味を与える結果となった。
かーちゃんは音のした母親の方を見て、太腿の辺りがピンクになってる事に気付いて辺りを見回した。
そして俺達兄弟が塊になってモゾモゾしてるのを見つけた。
この事が俺にとって良かったのか悪かったのかは分からない。
「うわ!仔猫がいる~」
「へっ仔猫?いつの間に?」
「まだ母親に血がついてるからそんなに経ってないんじゃない?」
「どれどれ…ホントだ。ちっちゃ~」
「かわい~」
そんな事を部屋の中に居た他の人と言いながら暫くしたら居なくなった。
かなり経ってと言ってもその日の夕方だったらしいが、かーちゃんは母親にお魚の一部をあげていた。
母親はちょっと逃げてたけどね。
次の日は朝と夕方に母親にお魚を出していた。
母親の居ない時を見計らって俺達を観察したりしていた。
「ご飯のお礼に1匹か2匹置いてけ」
とか冗談を言ったりしていた。
その次の日も同じような感じだった。
しかし、母親はそれが嫌だったみたいで場所を変えるようだった。
1匹づつ何処かに連れていかれた。
その次の朝、俺だけ残っていた。
かーちゃんが見つけて
「1匹だけになってる!」
と少し焦ったように言った。
しかし、俺も元気にミーミー鳴いてたし、まだ移動の途中かもせれないと夕方まで様子をみる事にしたらしい。
夕方になってもまだ俺はそこに居た。
どうやら母親に置いていかれたらしい。
かーちゃんが来る音で起きて俺はモゾモゾ動きながら鳴いてた。
「まだ居る…マジで置いてくとは思わなかった」
とかーちゃんは手のひらサイズの俺を拾い上げて部屋の中に入れた。
とりあえず、俺は死なずに済んだらしい。
ちなみに母親は場所を変える毎に俺達兄弟を1匹づつ置いていったらしい。
他の兄弟のその後は知らん。