兄妹じゃなくて姉妹です
久しぶりで申し訳ない。
少しだけやる気出たので。
瞬と玄関に向かっている途中、
「あ、おに……じゃなかった、佳奈!」
玄関前に一葉が待っていた。
「あ、一葉じゃん。どしたの?」
俺は一葉の前に駆け寄っていった。
「どうしたも何も、一緒に帰ろうとしただけだけど……その子は?」
「あ、あいつ……じゃなかった。あの子は瞬。可愛いおとこの娘だよ。」
「おとこの娘……ふぅん、そういう子もいるのね……まあ、いいわ。
それで瞬……ちゃんはどうする一緒に帰る?」
一葉は瞬に問いかけた。
「あ、え、っとその……帰ります!」
そう言って瞬は急いで玄関に向かって駆け出していった。
「……え、私なんかした?」
「瞬は人見知りっぽいから仕方ないと思う……よ?」
俺は一葉の頭をヨシヨシした。
「ほーれ一葉は悪くなーい悪くなーい。」
「うへぇへぇ〜♡♡」
気持ち悪い笑みを浮かべながら嬉しがっていた。
我が妹ながら凄く可愛くない。
俺は一葉の頭から手を離し、
「よし、帰るか。」
「えー!もうヨシヨシ終わりなのー!」
ブーブーと言ってくる我が妹。
「早く帰るぞ。」
ブーブー言ってきてもよしよしはたまにしかやらないのが良いのだ。
いつもやっていたらよしよしに慣れてヨシヨシの効力が無くなってしまうからな。
ちなみに男の時はそもそも近づきもされなかった為、スキンシップすら出来なかった。
俺の顔怖かったからなぁ……と自分でも思う。
今はこう話せて嬉しいと思っている。
一葉もそう思ってくれると嬉しい。
そして俺は一葉の手を取って、
「家に帰ったらよしよししてやるよ、一葉。」
俺は満面の笑みで言った。
「うん!」
一葉も満面の笑みで返した。
そのまま俺は玄関まで行こうとした、が。
「一葉、俺の靴って何処にあるの?」
「え、お兄ちゃんしか知らなくない?」
「俺、何処にしまったか覚えてないんだけど。」
「え、嘘……本当に?」
「うん、本当に。」
そっから俺の靴を探すのに20分もかかったことはここだけの秘密だ。
▲▽▲▽▲
靴を探し終え、ようやく下校できるようになった。
「明日はちゃんと靴の位置覚えといてねお兄ちゃん♡」
「我が妹よ、♡マークが今は恐ろしく怖いんだが……。」
「え、何か言った?♡」
「イエナンデモナイデス」
まさか20分掛かると思わなかったからマジ感謝しかねぇ。
まさか俺のカバンの中にあるなんて予想つかなかったよな。
まあ、一葉は、
「お兄ちゃんカバンの中にない?」
「ある訳ないだろ。ガキじゃあるまいし。」
と返してしまったことですごく恥ずかしい。
「ま、まあ見つかって一件落着だよな!な!……な?」
「うん、そうだね。」
そう言って一葉は俺の腕に腕を絡ませた。
「ん、どした。」
「別に、こういう気分だっただけ〜♪」
ふふふ〜んっと上機嫌な様子だ。
まあ、初めて一緒に帰るしな。
俺もウキウキしていた。
そうして歩いていると車が道路の端に止まった。
「おーい、2人ともー!」
車の中から美子さんが出てきた。
「あ、美子さん!」
俺は一葉と絡ませてる腕を離し、美子さんのところに向かった。
「……。」
直ぐに一葉に腕を絡まされた。
「あの……まいしすたー?」
「……ジィー。」
無言の圧力で見てきたので腕を絡ませながら言った。
「あら、もう仲良くなっているのね。」
「それは」
「はいすっごい仲良し姉妹です!」
と言いきった。
「俺らは兄妹じゃないか。」
「姉妹でしょ?」
「兄妹……」
「姉妹でしょ?」
「きょ……」
「姉妹でしょ?」
「はい……」
俺はもはや言葉すら言えなかった。
「ま、まあ本当に姉妹みたいに見えるわよ。うん。」
美子さんは俺を庇うように一葉の言葉を遮ってくれた。
ありがたい。
「まじ合法ロリ天使最高。」
「え?」
あ、やべ。
「つい心の中の声が出ちまったぜ。」
「佳奈ちゃんそんなこと思ってたの!!!!」
「えへっ♡」
「可愛い顔しても許しませーん!」
美子さんは顔を真っ赤にして俺に怒った。
「ねぇ、早く帰ろ。」
一葉が不貞腐れた顔で言った。
「あ、うん。そうね。早く帰りましょっか。」
美子さんは直ぐに態度を一変させて、車の中に乗り込んだ。
俺は助手席に乗ろうとしたが、
「妹はこっち〜♪」
そう言われ後ろの席に乗った。
「えぇ!?」
「妹はお姉ちゃんの意見を聞くんだよ?」
「俺は兄なのだが……」
「もうお兄ちゃんじゃなくて妹なの?わかった?」
全てを滅ぼしそうな顔で見てきたので、
「はい……」
としか返事できなかった。
そして俺は車の中で美子さんに今日の出来事を話し、帰路に着いた。
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最近Twitterを作ろうか悩んでる今この頃。