女体化なんて、そんな…
好評だったら連載を視野に入れます。
よろしくお願いいたします。
俺の名は斎藤文仁。
ちっと身長が190位ある普通の、
「こりゃあ!」
「グハッ!」
このでかいガタイからよく喧嘩に巻き込まれやすい17歳。
「チッ覚えていやがれ!」
さっきのはどこのチンピラだか、全く分からない。
なんか中学入って突然身長が伸びたかと思ったら、急に不良達の目の敵にされるし。
そしたら身長=リーチが長い、力が強いから喧嘩して勝ってしまった。
それを沢山積み重ねたら、はあ、町一番の不良扱いをされている。
いや、喧嘩はしないに越したことはない。
しかし、向こうからやってくるのだ。
全くいい迷惑だ。
町一番の不良と言われる俺には、誰にも言えない趣味があった。
それが百合の本を漁ることだ。
同人誌にはあまり興味が無い。
俺は百合の掛け合いが好きなだけで、百合の体の探り合いなどは好きではない。
百合の本が置いてあるのはこの町ではただ1店なのだ。
この町は人口が1万ギリギリしか居なく、町内で高校が2つしかない。
人口がいないって事はお店は少ない。
そういう事で、俺は路地の裏にある書店、「うるま書店」に向かった。
「うるま書店」は、俺以外のお客さんを見た事はない。
多分路地の裏にあるため存在を知らないのだろう。
俺がここに書店があるってことを知ったのは、5年前の夏休み。
今でもよく覚えてる、あの暑い日。
俺は当時から百合の本が好きだった。
しかし12歳である俺には、親に百合本が欲しいなんては言えなかった。
よく河川敷で見つけてコレクションするのが日課だった。
何故その日は路地で探したかは覚えてない。
多分気分転換がてらだったのだろう。
路地で探していると、見たことも無い路地に差し掛かった。
俺はその路地に入って行った。
今なら導かれて行ったのが正しいだろう。
そして導かれて行ったのがここ、「うるま書店」だった。
そして俺は扉を開け入っていった。
店内には誰も居なく、レジにも人がいなかった。
最初は不気味って思えたさ。
だけど中を見ているうちに、百合の本が沢山置いてあった。
初めて見るほどに。
俺は夢中で読み漁った。
まるでここは天国みたいだった。
俺は時間を忘れて読み漁った。
そして沢山読んでいると、
「ねぇ、君。」
肩をポンって叩かれた。
「なんですか?」
後ろを振り向くと綺麗なお姉さんがいた。
「もう、帰らなくていいの?」
「え?」
「だって、もう6時だよ?」
「え!?」
俺は多分朝の10時位からいたから…あれこれ6時間ずっと立ち読みしてたのか!?
「あ、ありがとうございます教えてくださって!」
「いやいや、夢中で読んでたから教えてあげたんだよ。」
「?」
「夢中じゃ無きゃ、時間を見ていたはずだからね。」
「は、はあ。」
「さあ、早くおかえり。親御さんが心配するよ。」
「は、はい!」
俺は足早に帰ろうとした。
扉を開ける前で、
「また明日も来ますお姉さん!」
「また来てね。」
俺はそして「うるま書店」との出会いが始まったのだ。
そしてから俺はお金を貯め百合本を買うようになった。
「うるま書店」には毎日通ってる。
今日も俺は「うるま書店」で百合本を漁る予定だ。
俺は路地の裏を少し歩き、「うるま書店」にたどり着いた。
「らっしゃいませ〜」
「今日も来たぜえっと…」
「千影お姉さんでいいよ。」
漆間千影。この店を営んでる美人なお姉さんだ。
髪はサラサラ、胸も大きい。
はあ、俺にもお姉さんがいたらなぁ…
千影お姉さんに性的な気持ちはないけどね。
そりゃあ俺、アブノーマルですからね。
名前は通ってる内に教えてもらった。
今じゃすごくお世話になってる、師匠的存在だ。
「千影お姉さん、本日の出荷分は?」
千影お姉さんは奥の方を指さし、
「あっちにあるよ。」
「ありがとうございます。」
俺は百合本があるところに向かって行った。
俺は通ってる内に沢山百合本を仕入れてくれる様になった。
素直にめっちゃ嬉しい。
そして俺は沢山読み漁り、その中で1点購入した。
「毎度ありー。」
俺は無事に百合本が買えたことで、店から出た。
店を出ると辺りは少し暗い。
早く帰らないとな、と思っていると、
「ねぇねぇそこの君。」
そう言われたので辺りを見ると、誰もいない。
「何処にいやがる…!」
強気の言葉は不良に襲われてる内に防衛本能として染み付いた。
「あの…」
「てめぇ何処にいやがるんだって言ってるだろ!」
やはり誰もいない。
チッ!今は喧嘩に巻き込まれたくないってのに!
「下!下見て!」
「あん?」
俺は下を見た。
すると150無い少女が立っていた。
「はぁ、ようやく見てくれた…」
「す、すまん。」
俺は謝った。
「別に大丈夫ですよ。」
ニコニコとその少女は笑った。
「えっと、その。」
「なんでしょうか?」
「家には帰らないのか?親御さんが心配するぞ。」
「こう見えても成人済みです〜!」
まさかの少女じゃなくて女性だった。
その女性は無い胸ら辺に両手を組んでプンプンしていた。
いや今の怒ってるところ、まじで少女にしか見えるのだが…
「おっと、ごめんな。」
「分かってくれればいいのです。」
女性は腕を組むのをやめた。
「それで、なんか俺に様か?」
俺は本題を聞いた。
「はい。あなたって…」
女性は少し間を貯めて、
「女性に、なりたくないですか?」
こう尋ねてきた。
▲△▲△▲
「は?」
俺は思わず変な声を出してしまった。
いや、フィクションとかなら分かるぜ?
女体化シチュ。
だけどな、ここは現実世界ですぜ?
そんな夢物語みたいなことが出来るはずがない。
いや出来ないから良いであって。
「あ、嘘だって思ってるでしょ!」
「嘘としか思えねぇ。」
「ふっふっふっ…」
女性は笑った。
「なんで笑ってるんだ?」
俺は尋ねた。
「この天才科学者金川美子に不可能は、無い!」
女性は無い胸を張っていた。
いや美子さんって言うらしい、で、美子さんはどうやら天才科学者の様だった。
「は、はぁ…」
俺は信用してないが。
「あ、まだ信じていないのね!」
「当たり前だろ。まず金川美子って人聞いた事ないんだけど。」
俺は金川美子という科学者を聞いたことは無い。
テレビでも本でもどの情報にも、金川美子という名前を見た事は無い。
「そりゃそうでしょ。こんな可愛い科学者がいればきっと世界から狙われちゃうでしょ?」
ススッ。
「ちょっと、1歩下がらないでもらえる?」
サササッ。
「ねえ!下がらないで!」
後ろに向いて、ダッシュ。
「ねぇ待ってよぉー!」
振り向かない。
この人は不審人物だ。
ああ、やばい人って思うとやばい人としか思えない。
「話、だけでも、聞いてよー!」
美子さんは何故か俺の前にいた。
「おっとっとー!」
俺は急停止した。
「危ねーよ!」
「ふぅ、1発セーフだったのです。」
美子さんは汗を拭ってた。
いや汗を拭いたいのは俺なんだけど。
「それで、話って?」
「話っていうのは、女性になってみないかって事です。」
「女性になれるなんてフィクションの話じゃないか。」
「ふふふ、この天才科学者は、それすらを超越して見せたのよ!」
無い胸を張るな。
「それで、どういう事なんだ?」
「まあ、詳しく説明したところで君に理解は出来るって思ってないから、簡単に説明するね。
まあ、まず遺伝子の性別の部分を変えられる薬を私は開発したの。
最初は飲んでも聞かなくて。
それでどんどん私は厄介者扱いされて。
最後に薬を1つ作って研究所追い出されちゃった。」
「おいお前の話になってるぞ。」
「あ、ごめんなさい(ToT)」
「顔文字を使うな顔文字を。どうやって再現するって思ってるんだ?」
「どうにかやってくれるでしょ?」
「そのどうにかをやるのは誰なんだろうな?」
「はて?」
「んじゃ話は戻すが、この薬は確実にないにしろ、女体化出来るってことなのか?」
「ええ。ちゃんと子も成せる、立派な女性になれるのよ!」
「そりゃあ凄いな。」
「うんうんだからさ、えっとその…」
「どうした?」
美子さんはモジモジしていた。
「あなたの家を、貸して…くれないかしら?」
「はぁ…」
研究所を追い出されたってことは、お金も無くて、遂に家まで追い出された女ってことかコイツは。
可哀想だし、貸してあげられるように親に上手く言うか。
「分かりましたよ。親の説得は任しといて下さい。」
「ええ、いいの!」
「そりゃあフィクションみたいな薬をくれる訳じゃないですか。この薬の価値はすごく高いですから、むしろ安上がりですね。」
「う、うぅ、あ、ありがとう…」
美子は泣いていた。
「え、えちょ!」
「だれもかもがわたひのことをがきとかっていって、ひとにやさしくなんてされたことないから…つい…」
俺はハンカチを黙って渡した。
「ハンカチまで…ありがとう…チィー!」
うわコノヤロウ、ハンカチで鼻かみやがったぞ。
「はいっ…」
うわぁこれを渡してくるんですか。
俺は黙って取った。
俺は高速でたまたま入ってたビニール袋を取り出し、そこにハンカチを入れた。
「ほら行きますよ。」
俺は美子さんをおんぶして俺ん家まで連れ帰った。
▲△▲△▲
「あら、それで追い出されちゃったのね?」
「はい…ズズズ」
俺が美子さんを連れて帰ってから、俺を通報されそうになったり色々したが、どうにか説得出来た。
大変だった。
今はお茶を飲みながら美子さんとお母さんが話してる。
俺はというと、自室で百合本を読み漁っている。
百合本最高。
百合本を読んで最高って思っていると、
「お兄ちゃん。」
と、俺の妹の斎藤一葉が俺の部屋に入ってきた。
「どうした一葉?」
「いや、よく知らない女の人を連れて来たね…」
少し苦い顔をされていた。
「別に悪い人じゃ無いし、大丈夫でしょ。あと、もしかしたら俺明日女になるかもしれない。」
「は、そんなわけ無いでしょ。」
「いやいや、そういう薬を俺にくれる代わりに止めてやってるんだよ。」
「はあ!?」
一葉は驚いていた。
「嘘、だよね?」
「いいや、嘘じゃない。ほんとだ。」
「ええ…」
少し軽蔑をされたようだ。
「まあ、お兄ちゃんのお人好しって事でしょ様に。」
「まあ、な。」
「じゃ私先に風呂に入ってくるから。」
「分かったよ。」
そう言い一葉は俺の部屋から出た。
そう思うと嘘みたいな話なのに、なんで俺は信じているんだろう。
いや、信じる信じないじゃなくて。
美子さんを助ける口実が欲しかったのだろう。
無性で助けるって言うのは偽善者のやる事なんだが、無性じゃないって事は、お互いにメリットがあるって事だからな。
そう思うと嘘でも信じたかったんだな俺。
まあ、あんな涙を見たら誰だって助けたくなるもんな。
一応薬は手元にある。
飲み物も手元にある。
後は俺の覚悟だな。
俺はお風呂から上がったら飲む気だ。
そうして一葉がお風呂から上がり、俺がお風呂に入った。
「ふぅ…」
今日も疲れた。
もう自室のバスタブじゃ足すら伸ばせない。
これは悲しい。
女体化すれば、バスタブに足が伸ばせる様になる。
女体化したら、女子と話しやすくなる。
女体化すれば…
俺なら、俺だからこそ出来ること。
俺は女体化したら、百合ハーレムを築くことにしよう。
そうか、百合ハーレム最高だな。
そうと決まったら。
俺はさっさと風呂から出た。
急いで体などを拭いて、自室に戻った。
そして薬を飲んだ。
薬を飲むと、
「ウグッ!?」
体の奥が熱くなった。
表現ではなく、本当に体が熱い。
やばい、焼け死ぬ。
「ウグワッ…」
俺はベットに倒れ込み、気絶した。
そして朝。
「う、うぅ…」
くそ、昨日は胸が熱かったな…
俺は胸を触った。
ムニッ。
うん?ムニッ?
両手で胸を触る。
胸が膨らんでいる感触がある。
「え。」
心做しか声が高い。
いや、女の子の声…
そうだ鏡鏡。
鏡を見ると、小さくて可愛い、
俺が映っていたのだった。