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追想の後悔

作者: 黒宮杳騏

生まれてきた意味を聞いた

君の真意を知りもしないで

それはカミサマが決める事だと答えた

僕はあの日を後悔してる



あれからどれだけ時間が経とうと

苦笑する君の断片(きおく)

僕の中で過去形になれないまま

ゆっくりと形を変えていく川岸で

濁る事なく水底に沈んでる


久し振りに見た君の字は

いつもより少しだけ乱雑で

余計に過去の僕を責め立てた


あの日僕は逃げ出すように家を飛び出したけど

もう二度と君に謝れない事には

ちゃんと気付いていたんだ


生まれてきた意味を聞いた

君の真意を知りもしないで

それはカミサマが決める事だと答えた

僕はあの日を後悔してる



真っ白な便箋(かみ)に綴られた日常と

隅に滲んだ赤い染み

歪に混ざって空を染めた思い出

いつまでも夕焼けが噛み合わないまま

僕には明けない夜さえ来ないんだ


いつも通りに春が来れば

巡る季節の速さを嘆いて

僕は君にあげる花を選ぶ


今の僕は相変わらず愚かなまま

やり直しのきかない失敗ばかりで

誰の役にも立てない


生まれてきた意味を聞いた

君の真意を知りもしないで

それはカミサマが決める事だと笑った

僕はあの時どう答えれば



僕はあの日にどう答えれば

また君と笑えただろう

手の中で褪せていく君の面影(えがお)

僕を責めてはくれないから

こんなにも息苦しい

ああ だから生き苦しい



君は思考の限界を知って

あの川へ辿り着いたから

浅瀬で石を積むだけの僕の首を

そっと真綿で絞めるように

君という傷跡で

優しく絶望させて



あの日最後の煙草を揉み消して

君は僕と別れた


僕はあの日を後悔してる

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