入学準備
入学に向けて、魔法の確認と時の練習を始める。
006
いよいよ、入学まであと3ヶ月に迫った。とは言え、なんも準備などしていない。うーん、そろそろ入学に向けて、自主練でもするか。もちろん魔法の。
…夕方…
「カァーカァーッ」
風魔法、浮遊!!
「おぉ!成功だぁ!これで本格的に、入学に向けても準備を始められる。」
あ、でも魔法が使えるからって浮かれてちゃいけないよな。文字だって書かないといけないんだし。
言葉でしゃべったりするのは簡単にできる。けど、現実世界の日本語とはちょっと違うので、文字を書くのはちょっと、ややこしい。下手をすると、つい日本語を書いてしまう。
『ライル?なにこれ。ライル語かしら?子供ってそういう年頃あるわよね~!』
って、この前言われたばっかりだった。
この3ヶ月で文字をマスターしなきゃな。現実世界でのやる気にみなぎった、俺を引き出してやる!(そんなときあったかな…)
ライルのやる気とは裏腹に、太陽は暮れつつあった。
「あと、もうちょっとやってから帰ろうかなぁ、、う~ん。ん?クンクン。こ、これは母さんのご飯の香りだ!今日は、シチューだな!」
「ただいま~!」
「お帰りライル。ご飯の準備できてるけど食べる?」
「うん!父さんは?」
「今日は、遅いね。仕事が長引いてるんじゃないかな。」
そうかぁ。こっちに来てから初めて父さんなしのご飯だ。どこの世界でも、居ないときはあるんだな。
「いっただっきまーす!」
「手は洗った?」
「あ、洗ってない。」
「もう!学生になるんだから、そのくらいできないと!」
「はーい。」
確かに、手洗いは大事だ。けど、学生になるからって関係なくないか?学生じゃなかったら、洗わなくて良いのかよ。あっ!母さんに向かってこんなこと思ったの初めてだ。もしかして、反抗期か?現実世界にいたときはほとんど親と一緒にいなかったから、反抗することなんてなかったんだよな。深鈴は良い妹だったから、仲良く過ごすことができてたし。
この感覚は面白い。せっかくの反抗期だ。どうにかしてやり過ごさなきゃ。
「もう一回、いただきまーす!」
「どうぞ。」
「やっぱり、美味しいや。温かい、心のこもった味がする。」
「難しいこと言うのね。でもうれしいわ」
「うん!」
なんか、この異世界に来てから性格が変わっちまったみたいだ。知識はあるけど、本物の小学1年生の気分だ。
今日の夜から、文字練習1時間な!三日坊主のだけはなるんじゃないぞ?
「おぉーし!やってやらぁー!!」
次回、007 入学式でヤバイ才能発揮しちゃった