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第6話 殺気



濃密な殺気を出しながら俺の元へ歩く死霊騎士。

その姿は、先程より一回り大きく見える。

高められた闘気に殺気。それらが死霊騎士の体を大きく見せているのだろうか。急過ぎて思考が追い付かない。


(な、なんだ!?)


今のままでは不味い…


戦闘に支障が出てしまう。



そう思い、突きを出す体勢に入り、自分を振るい立たせようとする。しかし、槍を握る手に力が入らない。まるで、相手が大きくなったのではなく、自分が()()()なったと言わんばかりに。



でも、原因が思い当たらない。


何故、この状態になったのかと…


それこそあるとしたら――――




――――殺気



本当にそれくらいしか…


それについ数秒前までは、自分が優位に立ち回っていた。いくら格上とはいえ、ただの殺気だけで変わるものではない。もし変わるのなら、最初から今の状態になっていたはず。それどころか【恐怖耐性】を取得する前であれば、もっと効果があったはずだ。では、この殺気には何か特殊な効果があるのか?


(一体どんな効果が…)



《【殺気】一定時間自分と同等、もしくは自分より格下の相手の能力値を減少させます。減少させる割合は、相手との力量差が大きい程増加していきます。》



この状況でスキル説明はありがたい。お陰で、殺気の効果がどのようなものなのか判ることが出来た。恐らく、出会ったとき放っていた殺気はスキルを使用しないもので、今出している殺気はスキルを使ったやつだろう。



聞かなくても判る…段違いな殺気だ!



悪寒が走り、身震いがする。肌はヒリヒリし、刺してくるような強烈なもの。感覚は狂い、集中を阻害する。


それが今の殺気。



それにしても厄介な効果だな。

一定時間能力値を減少させる……現在の状態で攻撃を仕掛けてもダメージを与えるどころかまともに当てられる気がしない。

唯一勝っていた敏捷も下回っている。

勿論の如く他の能力値は敏捷以上に劣ってる。

()()()()では勝てる可能性は皆無。



【殺気】の効果は一定時間…つまりその間耐えきれれば元の状態に治るはず。元に戻れば、また敏捷は上回り、死霊騎士の動きに対応していける。対応され出来ていれば攻撃する機会は必ずやってくる。それまでの辛抱だ。



(この時間何が何でも耐えきってやる!)






距離を縮めてくる死霊騎士から距離を取るべく後退る。


(一定時間がどのくらいの時間なのか詳しく知らない以上、体力消費は極力押さえたい。)


距離を取ることで、少しでも時間を稼ごうとする。そうでもしないと攻撃をすべて避けきることは不可能に近い。近距離で攻撃を避け続けるのはそれだけ体力や精神力を削る。だから少しでも疲労を残さない為に後ろへ下がる。でも…



(簡単に逃げ切れるとは思えないが…)



そして、その考えは正しかった。

突如、死角からくる死霊騎士の斬撃。

【危険感知】で気づけたものの、もし気を抜いていたらここで死んでいた。休む暇なく次は心臓を貫かんと突きを繰り出してくる。

突きに込められる力は骨すらも軽々貫通するパワー。

体を僅かにずらし紙一重でかわす。

怒濤の攻め。



しかし、俺はただ必死に避けているだけではない。

【危険感知】でいち早く察知し、【思考加速】で動きを視て分析する。呼吸の間もない刹那の時間にこれを繰り返す。

それでやっと攻撃をギリギリ避けていける。


それほどまでに能力値の差は大きい。

【殺気】を使用される前から比べものにならなかった。だから…



(【殺気】の能力低下をカバーしきるにはもっと集中力が必要だ。)



骨格の動き、足運び、太刀筋…些細なことでも情報を集め次の行動を予測。それを可能にするまで今の集中力は高められている。




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