逆向きももちろんある
「さて、今後の分校の動きはどうなるんだ?」
「とりあえず、来年の新入生は募集するらしいわ。ただ、年齢は規定にある1年生用のものよ。ズンバにいる上級生のことについては未定よ」
「そんなもんか。一応、校舎はいっぱい建ててるけど……」
「教員が間に合わないもの。王国ほどとまではいわないけど、それなりのレベルの人に教わらないと可哀そうだわ」
王国の教員のレベルは言うまでもない。
団結して戦場に赴くことなどあれば破壊の権化と化すことのできるような火力はあるだろう。
団結することがあるかどうかはともかく。
そこまでではなくとも、在学中に簡単に超えられるような存在がいては生徒のためにもならない。
今年も半分を切り、来年のことも視野に入ってくる。
ライヤの仕事の範疇は軽く超えてるということはともかく、気にならないといえばうそになる。
「 そんなことより、あれについてこれてる人間はいるの?」
「いない」
「即答なのはどうなのよ……」
あれとはつまり、魔力切れを引き起こすほどの乱用による魔力制御、属性魔法の能力向上である。
「仕方がない。我ながら常軌を逸しているとは思っている。だけど、ほぼ確実に結果が出る方法でもある。道筋を示せただけ、良かったというべきかな」
「あれだけやれば上達しない方がおかしいものね」
「よし、旅行計画を立てよう」
「「はい?」」
生徒たちの大合唱。
S級でもあるまいし、30人近い人数でほとんどがはもるのは珍しい。
「今度、王国への研修旅行を計画している。この前王国から俺の教え子たちが来たやつの逆バージョンだな。外国に行く機会なんてそうそうないし、見聞を広めておくのはいいことだ。あいつらは俺に会いに来るのが目的だったみたいだけど、俺たちは王国のいい部分を吸収しに行くぞ。これから王国よりの発展をするであろうから、先に知っているだけでアドバンテージになるぞ」
「「はい!?」」
そんな目線で見る生徒なんていない。
それこそ若き日のライヤくらいだ。
諸国に留学まがいのことをするたびにその国特有の発展した技術に目を輝かせ、王国に帰ってから再現しようとしたことなど数えきれない。
大抵が失敗に終わっているわけだが。
「そんなわけで、折角なら興味があるところを見て回ってみよう」
分校初の修学旅行の開催である。
もう一度行きたい修学旅行。
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