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忍者に憧れて

「よ」

「わざわざすみません……」

「いやいや、こっちもついでだから」


週末、結局グラムに合う槍を武器屋に買いに行くのを手伝うことになった。


「お邪魔じゃないでしょうか……」

「そりゃね」

「おい! アン!」

「この状況で邪魔じゃないなんて気休めすぎるわよ」


同行しているメンバーはライヤ、アン、フィオナ、ヨル、ウィル、そしてグラムである。

つまり、デートのついでだ。


「すみません……!」

「ほら、涙目になってるじゃん! アン!?」


気弱な方なグラムはすでに涙目で帰ろうかと後ずさりしている。

アンはといえば、ぷーいとそっぽを向いている。

子供か。


「悪い奴じゃないんだ。ちゃっちゃと選んで終わらせようか。お互いのためにも」

「はい……」


ほんまにすまん。





「アン、さすがに大人げなかったぞ」

「だってぇー……」


無事にグラムの槍を選ぶことはできた。

いつも抱えていたものより幾分持ちやすそうなその槍を大事そうに抱えて帰っていく様子はすごく微笑ましいものであった。


アンはといえば、ぐりぐりとそのきれいな白髪をライヤの胸に押し付けて不満を表している。

この頃、よほどストレスが溜まってるんだろうな……。


「うちの店であんまりイチャコラやらんでもらえるか。店の売り上げに響くだろうが」

「アンが利用しているというだけでここにとってはプラスだろ? それに、そこらの客を合わせても俺たちの利用金額に見合うはずがない」

「それはそうだが……」


ここは、『リーネットの武器屋』。

何を隠そう、ライヤたちの目の前で話しているひげもじゃのおっさんがリーネットである。

ひげもじゃの癖にリーネットなんて可愛い名前なのはこれ如何に、と思うところではあるが、仕方ない。

親もこの姿を想像して名前を付けるわけがないからな。

性別はさすがに間違ってないか? とは思うが。


「何か失礼なこと考えてるだろ?」

「いやいや。そんなことより、頼んでたもの、できたんだろ?」

「あぁ、これな」


リーネットはライヤがズンバに来るときに王都から引っ張ってきた職人だ。

学生時代からお世話になっているし、オーダーメイドのものも多く作ってもらっている。

そんなリーネットにライヤが今回頼んだものは投げナイフである。


「こんなに小さくて、なおかつ重く、丈夫にとかいう無茶な注文のせいで苦労したんだからな。こいつの試作のせいでどれだけの鉄が無駄になったか……」

「ちゃんとその分の金も払うって……。うん、いいね」


ナイフを手に取り、くるくると手で回すライヤ。

ライヤがイメージしたのはクナイ。

遠距離の攻撃手段として魔法が存在するこの世界だが、遠くになればなるほど難しいのは周知の事実。

そして、例えば剣の形に魔法を構築するのと、剣の周りに魔法をまとわせるの、どっちが難しいかと言われれば前者である。

となれば、遠くに魔法を作用させるときにも魔法を纏わせる対象があった方がいいのでは? と考えたのが始まりである。


「あ」


しかしライヤ。

別にクナイを扱ったことがあるわけでもないのですっぽ抜ける。

遠心力を味方に飛んで行ったクナイは笑顔のまま当然のようによけたフィオナの向こう側nい飾られている盾に吸い込まれる。


キン!


軽い音が響いたそこを見てみると、同じく金属でできているはずの盾にかなり深くまで刺さっていた。


「これは?」

「いや、これだけ手間かかったんだから、せっかくなら限界までやってみるかとやってみたらこんなことにだな……。あ、安心しろ! 性能に個体差はないからな!」


こんなのがあと十本……?

年末の大掃除、皆さんはしましたか?

筆者はやってないです(普段もしない)。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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