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リスクとリターン

「さて、まず決めておかなくちゃいけないことがある」


部屋にいるのはキリシュライト、アン、ライヤに加えてイプシロン。

いつの間にやらアンの指示で介入していたらしい。

既に情報は暗記済みという入念さである。


「本当にマリオットに協力するのか、だ」

「やめるんですか?」

「そうは言ってない。覚悟の違いだ。このまま放っておいても帝国は勝手に瓦解しそうな危うさがあるからな」


王国の王様、つまりアンの父はその武勇で有名である。

幾度となく帝国との戦争を経験し、生き残っていることがその証である。

では、帝国の皇帝はどうか。

答えから言えば、恐らく強くない。

恐らく、というのは実際に戦場に出てきていないので誰にもわからないのである。

ただ、第二皇子であるマリオットが戦闘に限って言えば最低限の能力しか持っていなさそうだったので推測は当たっているだろう。

帝国の皇帝は戦争に踏み切る決断をする存在であり、戦う存在ではないのだ。

つまり、皇帝自体は弱い。


そしてマリオット。

この話をここまで具体的に王国に持ち込んだ時点で、帝国を揺るがそうとしているのは確定事項だ。

内部犯なら皇帝を暗殺するのも可能なのではないか?

しかし、それでは帝国のシステム自体は変えられないし、マリオットも無事で済まないだろう。

だから協力を求めてきたのだろうが、王国の損得だけなら、何もしなくても帝国が弱体化するのも魅力的である。


「情報だけ貰って知らんぷりというのも可能だなと思っただけだ」

「流石ライヤ……。陰湿ね」

「誉め言葉をどうも。というか、向こうもそれは承知済みだと思う」

「私たちが帝国にマリオットの事を伝えるとは思ってないのかしら」

「それはまずない。俺たちに利点がない。仮にそれをしてマリオットを排除させたとして、帝国が『教えてくれてありがとう! これからは仲よくしよう!』ってなると思うか」

「思わないわ」


即答。


「そういうことだ。この情報を渡したところでマリオットたちが実行するという将来がどこかにある以上、最悪でも俺たちは静観するだけ」

「なるほど……」


腕を組むアン。


「決めるのは結局、キリシュだと俺は勝手に思ってるが、どうする?」

「えぇ!?」

「そんな驚くことじゃないだろ。この中でリーダーはアンかキリシュだ。マリオットのこともよく知ってるキリシュの方がいいと考えるのは当然だろ?」


介入して失敗すれば、間違いなくまた帝国と戦争になるだろう。

成功すれば大陸の全ての国が王国に友好的になる。

戦争で領土を広げようという考えのない王国にとってこれ以上の好条件はない。

しかし、介入さえしなければ最低でも帝国内は混乱する。

簡単に他国と事を構えようとはならないだろう。

数年の安寧は保証されると思っていい。

リスクを取ってマイナス百とプラス百で勝負するか、リスクととらずプラス十くらいで妥協するか。


「少し、時間をください」


決断は、キリシュライトに委ねられた。

しゃぶしゃぶ食べた。


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