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戦友

「今日からこちらに赴任してきました! ニキーナと言います! よろしくお願いします!」


シュビッと敬礼をしながら挨拶をしている。


「ニキーナ先生」

「なんでしょう!?」


なぜ敬礼をやめないままこちらを向く。


「なぜこちらに?」

「それはもちろん、人手が足りないと聞いてですよ。また一緒に仕事が出来て嬉しいです。ライヤ先生」

「しかし、学園の方は?」

「向こうにはいくらでも担任を持っていない方々がゴロゴロしているでしょう? 人数なんて有り余ってますよ」


実際、教師として籍はあるものの、授業はしていないという教師も一定数居る。

なぜかクラブ活動だけ顧問をしている例の先生そうだが、その多くは魔法の研究という名目で引きこもっている。

名目、という言葉を使ったのは彼らが実際にちゃんと研究を行っているかが定かではないからだ。

魔術クラブの顧問教師は自らの体質とも呼べる魔法を研究すればいいのに、まず魔法だという事を認めていないし、他の教師が研究成果を出しているという話を聞いたことがない。

もしかすると、極秘研究を行っているのかもしれないが。


「一応私は志願しましたが、まぁ左遷ですね。弟があんなことをしでかした後にあそこで教鞭を振るう気にはなれませんでした」

「それに、ヴィヨン先生?」

「ふん、私はそっちのとは違って栄転だ。誤解しないで頂きたい」

「そっちのとはなんですか! そっちのとは!」

「おや、左遷されたニキーナ先生。ごきげんよう」

「なんで今更挨拶なんでしょうかね!?」


ギャーギャーと言い争う様子からもわかるように、なぜかこの2人は仲が良い。


「「良くないです!!」」


ニキーナが1年生として入学したときの担任の教師がヴィヨンだったらしい。

関わっている時間が単純に長いのだとか。

奇しくも、昨年度の騒動の場にいた教師が諸国連合側に集まった。


「ヴィヨン先生はなぜこちらに?」

「こちらに来ればそれなりの役職を貰えると聞いたからですよ」

「こんなこと言ってますけど、ヴィヨン先生も裏では担任クラスから騒動主を出してしまったのを多少なりとも責任取らされてます」


後ろからにゅっと出てきて告げ口したニキーナはヴィヨンの手に制裁を受けている。

具体的には、両こぶしで頭をぐりぐりとされている。

某カラフルそうな国民的アニメのように体ごと浮いてはいないが、めちゃくちゃに痛そうだ。

あれ本当にやってる人初めて見た。


「ライヤ先生、助けてください!」


どうにか逃げ出し、ライヤの後ろに隠れるニキーナ。

実際は30だが、言われなければ10代とも間違えるかもしれない若々しい容姿をしているニキーナと、実際は42だが言われなければ50代で教頭くらいはしていそうな貫禄のあるヴィヨン。

元々の関係性もあってか先生と生徒にしか見えない。

それが同じ白ローブを着ているのだから違和感もある。


「まぁ、とにかく先生としてキャリアがあるお2人が来てくれたのはありがたいです。これからも一緒に頑張りましょう」


こうして分校の仲間が増えた。



「先生! 1人爆発で飛んで行っちゃいました!」

「なんでそんなことになるんですか!」

「先生! 火が消えません!」

「すぐに行くから騒がずに待っていなさい!」


そんな2人が現場に出てその忙しさにてんてこ舞いになるのは翌日のお話だ。


カラオケ行きたい。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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