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ウィルの場合

「えっとー……。怒ってます?」

「(ぷんぷん)」


頬を膨らませて腕を組み、見るからに怒ってますよという態度のウィル。

それもそうだろう。

結果的に、彼女の目標とする姉に勝ち、ライヤを勝ち取ることは叶わなかったのだから。


「申し訳ないけど、アンが一番なのは変わらないよ。気持ちは本当に嬉しいんだけどね」

「……」

「だから、今からでも遅くはない、とだけ言わせてほしい。ウィルはまだ王位継承権も放棄していないし、成人して社交界にも出ていないだろ? 考える余地は十分にある……。いででっ!?」

「そういうところに怒ってるんです!」


少し目を離したすきに目の前まで来ていたウィルは座っているライヤの脳天にチョップを落とす。


「いいですか?」


ピッと顔の前に指を立て、ライヤを叱る。

普段はあまり似てると思わないけど、怒ってる顔はアンと似てるなぁ。


「ライヤ先生はもっと自分に自信持ちましょう。碌な人間じゃなかったらどんなまちがいが起こってもこんな人数に慕われることは無いでしょう?」

「かもな」

「それで私にだけ諦めろと?」

「いや、諦めろっていうか……」

「余計なお世話です! 私の好きは誰のものでもないです! 先生は私のことが嫌いですか?」

「嫌いじゃないよ」

「じゃあ、好きですか?」

「……うん、好き、かな」

「間があるのは気になりますが、まぁいいでしょう。なら、すべきことをすべきですね?」


遂に、犯罪に手を染める時が来たか……。


「……ウィルのことを大事に思っている。俺でよければ、守らせてほしい」

「いいでしょう! 守るのを許します!」

「だけど、暫定という形にさせてほしい。ウィルのためを思ってっていうきれいごとを置いといても、俺の中の倫理観の問題だ」

「じゃあ、何歳になれば手を出してもらえるんですか」

「手を出してもらえるって……」


もうそんなとこに思考飛んでんのか……。


「……15?」

「もう一声!」

「いや、無理だ。これでも限界だ」


日本で言えば中学校卒業。

王国でも成人の目安が15歳だから、ギリかな……?


「……しょうがないです。私も、死産をしたいわけではないですから」

「お、おう……」


一番将来について考えてるの、絶対にウィルだな……?


「その代わり! 他の人たちよりも優先すべき部分はあるはずです! 違いますか!?」

「そんなこと言われても……。学校では唯一じゃないか?」

「他の皆さんもいるでしょう! 私一人が優先されることがあるべきです!」

「うーん……」


理屈はわからないでもない。


「とは言っても、先生から提案というのも難しいでしょうから、私が提案してあげます。週に1回、先生の膝の上でご飯を食べます。もちろん、全て先生がお世話するのです!」

「えぇ……?」


微妙に想像がし辛い。


「私が大きくなったらまた考えますけど、現状はそれで満足してあげます。先生だって私の成長に合わせてあと5年は全員とお預けですなんていやでしょう?」


ウィルに言われるのは腑に落ちないが、ライヤも健全な18歳の男。

それなりに欲はあるし、5年となると流石に厳しい気もする。


「じゃあ、とりあえずそれでいいよ」

「よし、そうと決まれば行きましょうか!」

「どこに?」

「え? お父様とお母様に報告しに行くんですよ。当然でしょう?」


そのイベントがあったか……!!


気付いてないだけでけっこう誤字ありますねぇ……。

申し訳ない。


ここまで読んで頂きありがとうございます!

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