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第七の被害者

「そんなことはいいんだよ。今は面接を終わらせないと」

「じゃあ、また今度聞けば話してくれるんですね?」

「そうとも限らん」


ライヤにとっては黒歴史だ。

そう話したいものでもない。


「次の方どうぞー」


ひとまず、面接を進めて誤魔化すのであった。





「では、皆さんには今日から集団下校の副リーダーになってもらいます。リーダーは言うまでもありませんが軍の方です。彼らの言う事を基本的にはちゃんと聞くようにしてください」

「あのー……」

「何か質問が?」


面接を終え、通過者に説明をしていた時、手が上がった。


「基本的にはいう事を聞くってどういうことでしょう?」

「そのままの意味です。いくら上役がいるからと言って、その人の言う事が絶対ではない。だからこそ、自分で考えて欲しいんです。もし、軍の方でも絶対に敵わない輩が襲ってきたときにその軍の方があなたたちを命を賭して守ってくれると思いますか? 場合にもよるでしょうが、皆が皆それほどまでに職務に忠実なことは無いと思います」


軍に所属しているとはいえ、人間だ。

怖いものは怖い。

それに、この事件も戦闘能力的な意味合いで言えば最低のカテゴリに入るものだろう。

戦って負けたという事例は未だないのだから。

よって、リーダーとして派遣されてくる軍の人間も経験が浅かったりする、所謂新兵が多いと考えられる。

いざ敵を前にして適切な判断が行えるとは思えない。


「リーダーが軍の方というのは変わりませんが、ちゃんと自分たちでも考えましょうと、ただそういう意味です。自分たちの命も懸かってるんですからね」

「「はい!」」


目をキラキラとさせて話を聞いてくれる生徒たち。

それもそのはず、彼らはライヤよりも年下であるし、平民なのでB(クラス)以下である。

B(クラス)で教師にまでなったライヤのことを尊敬はすれども蔑ろにすることなどない。

ライヤとしては非常に居心地の悪い思いだった。


「では、それぞれの帰る方向へ移動してください」


三々五々に散っていく生徒たち。


「あまりにも少なくないかしら?」

「これは、学園長」


仕事終わりだー、と眺めていると学園長に捕まってしまった。


「これでは軍の人間の負担が大きすぎるわ」

「なら軍がもっと人員を割くべきです。折角戦争が終わったのですから」

「軍に頭を下げる私の身にもなって頂戴」

「それは頭を下げなければ動かない軍の体制が悪いのであって、俺が学園長に負担をかけているわけではないです」


はぁ、とため息をつく学園長。

姿こそ実年齢がわからないほどに美しいが、学園長としての苦労が見え隠れしている。

ちなみに学園内には「学園長ファンクラブ」なるものが存在し、毎年一定のクラブ員を集めているとかいないとか。


「まぁ、私が頭を下げて解決するなら安いものかしらね」

「学園長には申し訳ないですが、そう思います。既に後手に回ってますから。6人も失踪者が出ておいて、何も手を打てないのはヤバいです」


愚痴を言うだけ言って満足したのか、学園長はひらひらと手を振って去っていった。


「……俺も帰るか」





その晩。


「先輩、ヨルを見てませんか?」

「んー、そういえば見てないねぇー。何かあったのかなー?」


そこまで言って、フィオナも少し固まる。

何かあった、と言えば現在起こっている事件のことを連想せずにはいられない。

そして、ヨルの背格好。

見るからに生徒なのである。

年上だが。


「そういえば、見回りをしてくるって言ってたような……」


着々と想像が進む。

教師という職を得たことでライヤも忘れていた。

行動からして本人すら忘れていた可能性があるが、ヨルにそもそも戦闘能力はほとんどない。

近接戦闘、ヨルで言う短剣を使った戦闘はできるものの、魔法での戦闘力は皆無と言っていい。

手練れに襲われればひとたまりもないだろう。


「これってまずいですよね?」

「……確認は取れてないですが、まずい気はします。少し外しますね」


いつの間にか仕事モードになっていたフィオナが姿を消す。

暗部の方で情報を集めに行ったのだろう。


「俺も行くか」


ライヤも部屋着からいつもの白ローブへと着替え、夜の街へ飛び出した。


するめ美味しい。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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