仁義なき戦い
「先生方2人と私たち8人では結果が見えてないですか? 勝てる気がしませんが」
「あくまでテストは勝ちを狙うものでなく、評価を行う場ですから。それに、強者同士の連携をお見せできる機会かと思いますよ」
ライバル心を前面に出しているアンネ先生と、アンネ先生の正体に心当たりがありそうなウィルの口論が続く。
「ヨルはどうよ」
「……皆さんが私のことを考えてくれたのは嬉しいんですけど。やはり、皆さんの負担が大きすぎてしまうので……」
アンネ先生の正体を知っているヨルは消極的だ。
「気にするなよ、ヨル! 俺だって先生にリベンジしたいしな! アンネ先生の実力もちゃんと見たことないし、チャンスだろ!」
乗り気なのはゲイル。
恐らく発案はウィルだ。
ヨルの正体を知っているが、戦争が近づいている今、思い出を作ろうとしているのだろう。
それはそれとして利害が一致したのがゲイルでこの2人が肯定したことによってクラス全体が動いた形か。
「シャロンさんのテストも場合によっては行えるのでは?」
「……まぁ、確かに。みんながいた方がやりやすいか」
また1対1だと気絶してしまうかもだが、大観衆の中でクラスの皆と体育祭をやり切った経歴がある。
期待値はこちらの方が高いか。
「よし、やるか! 2対8でいいな?」
まだ互いに牽制し合っている2人をどうにか引き剥がす。
「これ、テストだからな? 先生と生徒だ、な?」
「……いいでしょう、ほえ面をかかないことですね」
「少しでも勝てると思ってるならその鼻っ柱を叩き折ってあげましょう」
生徒と教師の会話ではない。
「じゃあ、どうぞ」
「「お願いします!!」」
個人の時よりも気合入っているのではなかろうか。
「ライヤ先生」
「……はい」
「手加減なんてしませんよね?」
「いや、怪我だけは気を付けてもらわないと……」
「それを治すためにヨルさんがいるんですよね」
「いや、けが人が出ないに越したことないから、ね?」
「ちょっと立場をわからせてあげないとなので」
「まるっきり私情入ってんじゃん」
アンネ先生は全く聞く耳を持たない。
だが、生徒たちも思惑はどうあれヨルのために頑張ろうと奮起している様子。
今更やめようとは言いにくい。
ライヤはいざとなったら自分が止めるしかないと覚悟を決めるのだった。
短いですけど、一応今日中なんで!
許してください!
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