甘えたいんだったら、素直になって
「うがー!」
ガシャーン!というけたたましい音が彼女の部屋からしたから、僕は急いで行ったんだけ、ど……
「……なにしてんの?」
そこにはどこぞのクラッシャーよろしくキーボードを叩きつけている彼女が居た。
「どうしたもこうしたもないわよ!?書けるわけ無いでしょこんなの!」
――なるほど彼女は『自分が面白いと思える小説(長さは問わず)を書いてくる』という罰ゲームに未だに悩まされているんだな。
「別にいいんじゃない?そんな罰ゲーム無視しても」
そう僕が言うと、彼女はキッと睨みつけ
「そんなんじゃ文系のくせして短編一本も書けない阿呆だと思われるじゃないの!」
……そんなこと気にしてたのか、以前サークルの誰かに言われてたことのは結構前なんだけどな
「別に気にしなくても……」
「私が気にするの!もーいや!どうせあんたも山無しオチ無し意味なしって言うんでしょ!?」
そんなにヒステリックにならなくても……
「別に僕はそんなこと言ってないし思ってもないよ。君の思うがままに書いたらいいよ。僕だけは否定しないから」
ぎゅ、とチェアに腰掛ける彼女を抱いてみる。
「そんな、そんなこと言っても……私、が私が否定するの……」
震える彼女、否応なく僕の身体も反応してしまうが……まぁ、それはそれ、だ。
「大丈夫、みんなが否定しても、君が否定しても、僕だけは認めるから……ね?そんなに悲しそうな顔をしないで?」
僕だけはずっと君を見て、愛し続けるよ……そんなことを耳元で囁くと――あら、突き飛ばされちゃった
「ば、ばかにしないでよ!あんたなんかに認められなくたって…絶対書き上げてやるんだから!」
ほら出て行け!……悲しいなぁ、慰めてあげたのに
――少なくとも顔の緩みは抑えておくべきだったね、僕のお嬢様