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ダンがく~dungeon high school~  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中


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 朝。スマホが鳴ると、ベッドからガバっと起き上がってアラームを止めた。

 私はさっさと体操服に着替えると、昨日の夜に近くのコンビニで買ってきたパンを持って寮から出た。

 朝の六時。

 生駒山の向こうから太陽が昇り始めている中、私はグラウンドを走る。

 早朝だけど、ダンジョンの周囲には警備のおじさんたちが立っていた。

 警備のおじさんたちと挨拶をする。

 ダンジョンの前で暫く待っていると、ゆかりんとスミレちゃんが制服でやって来た。


「桃華ちゃん! おはよう!」

「あ、ゆかりん! スミレちゃん! おはよう!」

「山本さん、おはようございます。着替えてきますので、少し待っていてください」


 二人が更衣室に向かって三分程で体操服のジャージに着替えて戻ってきた。

 さっそくダンジョンに入る。


「しかし、驚いたわ。桃華ちゃんが朝練しようってメッセージくれて」

「今日は新聞配達のアルバイトも休みだから。朝のうちにレベル5になったら、今日の放課後直ぐに二階層リベンジできるでしょ?」

「学校側も朝ダンは認めていますし、問題ないですね」

「うん。これで鏡さんに少しでも追いつければ――」


 一緒にダンジョンに潜れるのに。

 そう思ったら――


「あら、朝練をしたくらいで追いつかれるほど私はゆるい戦い方をしないわよ」


 後ろから鏡さんが


「鏡さんっ!? え? なんで?」

「なんでって、私は昨日も一昨日もこの時間にダンジョンに来てたわよ?」


 鏡さんがしれっと言う。

 あ、だから鏡さん、私が新聞配達をしていることを知ってたんだ。

 学校の周りを自転車で走っていたところを見られたんだ。

 これだと鏡さんに追いつけない。

 そう思ったら、鏡さんは足下にいたスライムを投げた。

 私は思わずそのスライムを槍で突く。


「レベルを上げるんでしょ? 一緒に二階層に行きましょ」

「「「え?」」」

「スライムなんて戦ってもほとんど経験値にならないし、実戦経験にもならないわ」


 そう言って鏡さんは私たちに向かって背を向けて歩く。


「神楽坂さん、私たちはレベル4です。まだ危険なのでは?」

「私が見てあげるから心配ないわ」

「手伝ってくれるの?」

「ええ、そうよ」


 鏡さんは頷く。


「ダンジョンはソロで潜るにはいつか限界が来る。あなたたちが強くなってくれないと、私も困るのよ」


 そう言って――


「鏡さんが笑った!?」

「こりゃ珍しいもんを見たな」

「あなたも笑えたのですね」

「……あなたたち……私を何だと思ってたの? あと、東さん、あなたも大概笑わないでしょ?」


 鏡さんがやれやれと頭を抱える。


「それで、一緒にレベル上げをするの? しないの?」

「「「するっ!」」」


 私たちは四人で二階層に向かった。


「ねぇ、鏡さん。放課後も四人で――」

「放課後は私一人で三階層に行く予定だから無理よ」


 ダンジョン学園一年一組の絆が強くなったと思った。

 そして――




「それで、全員揃って遅刻した理由はわかりました」


 四人で揃って遅刻して、紅先生に怒られた。


「学校に来て生徒が一人も来ていない教室に入った先生の気持ちを少しは考えたことありますか? ボイコットかと思いましたよ。ダンジョンの中に時計がないことはわかっていましたよね? 明日以降失敗しないために、今日はその原因を考えましょう。皆さん、何だと思いますか?」


 紅先生は怒りながらもなんとか笑顔を浮かべて私たちに尋ねた。


「山本さんが、まだお腹があんまり空いていないから時間があると――」

「鏡さんだって、ゴブリンが湧くルーチンタイムは把握しているからあと一周できるって!」

「スミレがキノコが九個しかドロップしていないのはキリが悪いって言うたから」

「帰り道に由香里がスライムを撫でるのに時間を使ったことも原因ですよ」


 それぞれ原因を言った結果――


「あなたたち、いい加減にしなさい!」


 先生が大声で怒鳴った。

 私たちの絆は一瞬で綻ぶことになってしまった。


 山本桃華、15歳、レベル5。

 まだまだピカピカのダンジョン学園一年生です。

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