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頼りになる彼女にメロメロなお話

作者: 下菊みこと
掲載日:2023/08/14

「ねえ、せっかくの休みなんだし一緒にどこか行こうよ」


彼女からのせっかくの誘いだが、今はそれどころじゃない。


「ごめん、今会社の後輩の相談受けてて。メールしてるから後にして」


俺のそんな言葉にも、彼女は優しいから嫌な顔一つしない。


「そっか。じゃあ仕方ないね。終わるの待ってるね」


「ありがとう」


優しくて、包容力もあって、俺の仕事にも理解ある彼女。最愛の人だ。


「でも、休みの日まで仕事の相談なんて真面目な後輩くんだね」


「いや、恋愛相談」


「え、やだ甘酸っぱい!彼女さん?それともまだ片思い?」


「いや、彼氏のこと」


「…え?後輩って女?」


彼女の声が一瞬、低くなった気がした。それでも、顔を見れば微笑んでくれる。


「そっかそっか。まあ色々あるよね。どんな相談?」


「彼氏が暴力野郎らしくてさ、助けて欲しいって」


「ふうん?助けて欲しいかぁ…」


彼女は首を傾げて言う。


「普通に警察案件じゃない?貴方に相談すること?」


「誰にも相談出来ないって、俺だけしか頼れないって言われてさ」


「あー…なるほどぉ…」


彼女は思案顔。


「まあ、それで乗せられて入れ上げるならそれまでかぁ…」


「…?どうした?」


「ねえ、私から少しお願いしてもいい?」


「なに?」


「どうせしばらくその子のことで忙しくなるだろうし、今から少し…私も自由にしていいかな」


彼女のお願いに驚いた。


「え?自由にって?」


「いや、今まで毎週末必ずこうして二人で過ごしてたのを、ちょっと友達と出かけてみたりとか」


「え、な、なんで?ヤキモチ妬いちゃった?」


「んー…ちょっと違うけど…まあそう思ってもいいよ」


「ご、ごめん!でも可愛い後輩に良いところ見せたくてさ!悪気はないんだ!」


別に二股をかけようとかそんなんじゃない。彼女を愛してるし大切に思ってる。


けど、だからって困ってる後輩を蔑ろには出来ないって、ただそれだけなんだけど。


「うん、でもさ。冷静になって考えてって言っても…多分通じないだろうし」


「え?」


「大丈夫。その子の相談が終わるまで、ちょっとの間だよ」


「いや、俺、君がいないとダメなんだ!本当に愛してる!だから側にいてよ…」


「貴方が正気に戻ったらすぐ戻るから。じゃあね」


彼女は荷物を持って出て行った。


正気に戻ったらってなんだ?


本当だったら今日も、二人でラブラブな休日を過ごしていたのに。


なんでこうなった?


後輩の女の子から、彼氏の相談のメールがまた届いた。


「…この子に、先輩はかっこいい、頼りになるって言われて、もっと良いところ見せたいって思っただけで、別に下心とかじゃないのに」


そう呟いて、ふと思う。


「でも…彼女とのせっかくの休日までメールに費やす必要、無かったよな?俺が、悪い…よな」


嫉妬させた俺が悪い。うん。


「…少し、後輩に良いところ見せようとし過ぎたかも」


そうだよな。彼女に正気に戻ったらなんて言われても仕方ないかも。ちょっと、冷静じゃなかった。


「彼女が戻ってきてくれるよう、後輩とは少し距離を保っておこう。もちろん相談には乗るけど、線引きは間違わないようにしよう」


そう決めて、後輩の相談に再び戻った。























彼女と喧嘩(?)して一ヶ月。彼女は友達と楽しんでるらしい。もちろん女性の。メールで出先での写真も送ってくれて、マメな彼女が可愛くて早く会いたくなる。


離れてみると、改めて彼女の大切さに気付いた。やっぱり俺には彼女だけだ。可愛い最愛の人。早くプロポーズしたい!そのためにももっと貯金貯めないと。


でも、そのためにもまずは仲直りしないとな。彼女の言っていた意味がようやくわかったし。


「メール、送らないと」


会いたいとメールをする。彼女は、次の休みに来てくれるらしい。























「ごめん、俺が間違ってた!」


開口一番、彼女に謝る。


「いや、後輩に良いところ見せたい気持ちはわかるよ」


「でも俺、少し後輩の相談にハマり過ぎてた。俺には君と言う彼女がいるから大丈夫だったはずだけど…」


「やっぱり、問題のある子だった?」


ご明察、さすが彼女だ。


「うん…お金のありそうな奴をターゲットに相談を男に持ちかけては、それを逆手にとってすり寄って行って、金になる男を取っ替え引っ替え二股も三股もしてる子だった」


「それで?」


「俺は冷静になってから距離を保ってたら自然と連絡されなくなった。そうこうしてたらあの後輩、やらかし過ぎていつのまにか自主退職してた」


「だと思った」


でも、その場で教えてくれても良かったのに…と思ったら顔に出ていたらしい。


彼女が言った。


「だって、貴方完全に彼女を被害者扱いしてたじゃない。そんな子の問題点を指摘したって嫉妬だと思われて終わりだもの。それに、そういう子って猫被り異常に上手いもの。一度貴方に冷静になってもらう必要があったでしょう?」


「うっ…ごめんなさい」


「謝ることじゃないよ。そんな優しい貴方が好きだもの。ちょっと、騙されやすいところが心配だけど」


「おっしゃる通りです…」


「ふふ。もう。大丈夫、そんな時はフォローするなりしてあげるから」


そう言って優しく微笑んだ彼女に、俺は愛おしい気持ちがこみ上げる。


「…愛してる!」


「私もだよ」


頼りになる彼女に、今日も俺はメロメロです。

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― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず、彼女に愛想が尽かれなくてよかったね。 彼女は広い心で彼氏に経験をさせたのかな? 僕の従兄も嫁さんの友人の相談(嫁さんが話を聞いてやって欲しいと頼んだみたいだが)になっているうち…
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