魔王と勇者の黒幕退治
俺は魔王を倒すために魔王城にやってきた。だが、そこに魔王はおらず代わりに魔王の娘がいた。
「おい! 魔王はどこだ! どこにいる!!」
「父上は先ほど私に魔王の力を全て授けた。故に亡くなられた」
「なんだと? じゃあ、俺はお前みたいなガキを倒さないといけないのか?」
「違う。倒すのは私ではない。お前が倒さなければならないのは魔王システムと勇者システムを作った神だ」
「神? 神だと? それって俺に勇者の力を与えたあのいつもニコニコしてる神か?」
「ああ、そいつだ」
「嘘だ! そんなの嘘に決まってる!!」
「では、お前に一つ質問しよう。魔族と人類の争いはいつ終わるのだ?」
「え? それは魔王を倒せば」
「魔王は何度も倒されている。しかし、なぜか次の魔王が誕生する。勇者もそうだ。勇者が何度倒されようと必ず後継者が現れる」
「お、お前は何を言っているんだ? そんなこと歴史の授業で習った覚え」
「お前は歴代の勇者の中で一番強いようだが、頭はそこまで良くないようだな」
「な、なんだと!」
「落ち着け。私はこの戦いを終わらせたいのだ」
「それは俺だってそうだ! だけど、神が黒幕だなんて信じたくないんだよ」
「そうか。だが、今は時間がない。お前の聖剣の力でこの扉を開けてくれ」
でかい扉だな。あれ? なんか聖剣刺す穴があるな。
「えっと、聖剣をその穴に刺せばいいのか?」
「ああ、そうだ。さぁ、早くやれ」
「わ、分かった」
こいつからは敵意も殺意も感じない。それにいきなり何かされても俺には神の加護があるから即死は避けられる。
「よっと。これでいいのか?」
「ああ、それでいい。ありがとう」
「魔族って感謝するんだな」
「お前は魔族をなんだと思っているんだ?」
「残酷で冷酷で悪意の塊みたいなやつって神が言ってたな」
「私たちはそんな種族ではない。まあ、人類にはそこそこいるだろうが。よし、では、行くぞ」
「行く? 行くってどこへ?」
彼女は扉を開けると俺に手を差し伸べた。
「魔王システムと勇者システムを作った神がいる神界にだ」
「そこにいる神を倒せば俺たちはもう争わなくてよくなるんだな」
「ああ、そうだ。さぁ、一緒に神を倒そう」
「出会ったばかりだからお前のことそんなに知らないけど、お前いいやつだな!!」
「む、無駄口を叩くな。さぁ、行くぞ」
「おう!!」
それから俺たちは協力して神を倒した。神が俺から勇者の力を没収した時は少し驚いたけど、魔王と同化したら神のやつ相当ビビってたなー。
「おい! 魔王! これからどうする?」
「魔王システムと勇者システムがなくなってしまったからな、私とお前が最後の魔王と勇者になるだろうな」
「俺はもう勇者の力ないからただの人間だよ」
「そうか。では、私と共に来い。元の世界は神がもう不用だと言って壊してしまったからしばらくいろんな世界を旅することになるだろうがそれでもいいか?」
「お前と一緒にいられるのなら俺はどこにだってついていくよ」
「ほう、そうか。では、お前は一生私のものだ」
「ん? そうなのか? まあ、俺は別にいいけど」
「いいのか。では、結婚しよう」
「早くないか? お前まだ子どもだろ」
「そんなのどうでもいい。早く返事を聞かせろ」
「お、俺まだそういうの分からないから保留にしといてくれー!」
「あっ! こら! 待て! 元勇者!! 逃げるなー!!」