1-4.6月1日~6月30日
夢の中では、現実以上の身体能力を発揮できることがあります。現実でも発揮できたらいいのですが。
◇
6月1日
けっこうな距離を走っているけど、全然疲れないな。
高速道路のような場所を走っていた。
あそこのインターで降りるか。
左に分岐している道路へ進む。
また分岐か。とりあえず左に行ってみるか。
車が来ないか後方を確認すると2トントラックが近くまで来ていた。
このままではぶつかる。
真上に向かってジャンプする。
良かった。
下を見るとトラックが通過していった。
思ったよりも高く飛べたな。
道路に着地して、左の分岐に入るため走り始める。
あれは料金所だろうか?
コインパーキングにあるような支払機が見える。目の前まで来たが、最初に見えたとおり、コインパーキングにあるような支払機だ。
どうやって支払いすれば良いのだろうか? 通行券は持っていないし……、もしかしてこれで支払い出来るかも。
腕に着けていたスマホのような形をした機器を近づけてみる。
支払機の画面を見ると、読込済みと表示された。
読み込んだのはいいけど、支払いされていない気がする。もしかして、誰かが来ないと支払い済みにならないのかもしれないな。待つしかないか。
◇
夢の中だからでしょうか。積極的になれる自分がおります。
◇
6月2日
左右前後を確認すると見えるのは壁だけだった。
そういえば買い物に来たんだった。店というよりは家の中にいるみたいだな。
大人2人が並べるくらいの幅しかない廊下を進み角を曲がると階段があったため、そのまま上の階に上がる。上の階も廊下しかないため、そのまま進む。
あれはゲームセンターだろうか?
正面の壁に隙間があり、それらしいものが見えた。そのまま廊下に沿って右に曲がると、ようやく開けた場所に出た。
左側にはゲームセンターがあり小学生くらいの子供が5、6人遊んでいた。右側には襖が見えた。
あの和室っぽい部屋は何をするところだろうか?
「いらっしゃいませ」
30代くらいの少し太ったおじさんが近づいてきた。
「左側がゲームセンターで右側は麻雀をする部屋になっております。麻雀の部屋をご利用される場所は、お声がけください」
あの部屋の中では麻雀が出来るのか。かといって麻雀なんてやったことがない。ゲームセンターは、見た感じ面白そうなものがないな。
来た廊下を戻る。
そういえば階段を上がって反対側にも廊下があったな。そっちも行ってみるか。
また、襖の部屋か。
反対側にも来たが、先ほど見た麻雀をする部屋と同じような造りをした部屋があった。
少し隙間が空いているな。
隙間から中を見ると20代後半くらいの女性と、雰囲気からして、その女性の母親らしき人が何かをしていた。20代後半の女性は残念ながら外見がタイプではなかった。
もっと他に女性がいないだろうか。
廊下を進むと階段があったため降りる。
「あっ!」
折り返しの階段を降りようとした瞬間、先ほどいた階にショートヘアーのおとなしそうな雰囲気の女性がいた。
タイプの外見だ。
「あの一緒に遊びませんか?」
急いで階段を上がり声をかける。
「今は、ちょっと」
「そこをなんとか」
女性は何かを考えているように見えた。
「2時間後くらいなら」
「それでかまいません」
よし、約束が出来た。
◇
現実でも夢の中でも同じことをやっています。
◇
6月3日
よし、今日こそ好記録を出してやる。
ハマっているスマホの音ゲーアプリを起動させる。今はイベント中で、何コンボ出来るかがミッションだった。
序盤は集中出来るから問題ないけど、後半から集中が途切れる。
コンボが途切れた瞬間、終了だから先が見えない。
目が乾いてきた。瞬きもタイミングよっては命取りだ。
うーん、集中が……
「あっ!」
ミスってしまった。
でも自己新記録だ。
◇
現実で芸能人に会ったことなんて1度もありません。1度でも会ってみたいものです。
◇
6月4日①
「やばい!」
急いでスマホの画面を着けて時間を確認する。
9時15分……、寝過ごした。
どうしよう。会社の始業は8時40分だ。やばい、こんなこと初めてだからどうすればいいか頭の整理がつかない。
「あれ!?」
部屋の壁に掛けてあった時計は10時を指していた。
正しいのはどっちだ? こういう時って何を見れば正しい時刻が分かるんだ?
もう1度スマホの画面を見ると、故障中と思われるマークが表示されていた。
そうすると、10時が正しい時刻か。どっちにしろ遅刻確定だな。
◇
6月4日②
これは毎年テレビで放送されてるアスリートとスポーツ対決する番組だな。いつも対決している芸能人がいる。
素人のオレが参加しても良いのだろうか? まあ周りにいる番組スタッフらしき人達は気にしていない様子だな。
ルールはゴルフ場のロングホールで、野球ボールくらいの大きさの柔らかいボールを蹴り、カップインまでの蹴った回数が少ないほうが勝ちか。
最初は芸能人から蹴る。
ボールの蹴る位置が悪かったのか、あまり飛ばなかったな。
次はオレの番だな。
よし、結構良いところまで飛んだな。
次はカップまでの距離が遠い芸能人が蹴る番だ。
ちょっと弱い感じがするが良い位置で止まったな。
このホールの先を見ると左に直角に曲がっている。
あまり強く蹴りすぎても良くないな。次はオレの番か。
「やばい!」
強く蹴りすぎて、左に直角に曲がるコースを逸れて、先にあった手すりを越えて行った。
ボールの位置を確認しないと。
手すりの奥には木があり、ボールが挟まっていた。
あれでは蹴れないな。どうしよう。
「あっ!」
挟まっていたボールが落ちて10メートルくらい下にあった自然に出来たと思われる川みたいな場所に入り流された。
「諦めたほうが良いのでは?」
近くにいた番組スタッフに言われた。
諦めるか……、いや、川際にあった岩でボールが止まった。
「追いかけます」
下に降りられる階段から川際に向かう。
早くしないとまた流されるかもしれない。
よし、あれなら足が水に入るけど、なんとか蹴られそうだ。
「あっ!」
ボールが流されてしまった。
間に合わなかった。仕方ない、ペナルティを受けるか。
近くの屋根がある階段を上がる。
生い茂っているな。
屋根の柱に草が巻きついている。
なんだ、この青臭い匂いは!? ヤバい吐きそうだ。
◇
テレビで見た影響だからでしょうか? 普段からやりたいと思ったことはありません。
◇
6月5日
ここに植えるのか。
校舎脇にある数十メートルある何も植えていない花壇があった。
先生に頼まれて数人が手伝いとして、この花壇に花を植えることになった。
こういうの幼稚園だったか小学生の時に、やった気がするな。正直あまり記憶が残っていない。
どうせやらなければいけないから、早くやろう。
◇
今回は上手く走ることが出来ました。たまに上手く走れず、なかなか前に進めない時があります。そういう時は後ろ走りをしていますが、寝ている体勢の影響でしょうか?
◇
6月6日
家の中みたいだけど、誰かの家だろうか? オレの家とは造りが全然違う。
違う部屋を見てまわる。
あれ? 母だ。
布団で寝ていた。この家で生活しているみたいな雰囲気だな。
「なんだ?」
ピンポーンというチャイムの音が聞こえた。この部屋の窓から玄関が見えた。
あれは学校指定の体操着だな。あの4人の男達は、なぜ急いで玄関から出ていくんだ?
気になって玄関から外に出る。先ほどの4人が20メートルくらい先の歩道を走っていた。
なんだこれ?
急に脳裏にテレビ画面が浮かび、複数の男が家に忍び込み、暴行と金品窃盗したという字幕が映った。
絶対あいつらだ。許さない、捕まえてやる。
走って男達を追いかける。50メートルくらい先にいるが、疲れたのか走るペースが落ちている。
これなら追いつける。
もう数メートルだ。あれ? あいつオレの中学の時の同級生だ。なんであいつが? いや、そんなことはどうでもいい。
1番距離が近いやつの背中に向かって、飛び蹴りをする。
◇
夢の中で、記憶の無い場所や普段身近にいないような人達、全く知らない人から普通に声をかけられたりすると、今の自分は本当に自分なのかと思ってしまいます。魂だけ自分で身体は別の人のような感覚です。
◇
6月7日
飛行機の中か。
近くには母と妹と弟が座っている。
これからどこへ行こうとしてたんだ? たしか海外というのは覚えているけど目的地が思い出せない。
それにしても、こういう飛行機もあるのか。
普通は席があると思っていたが、カーペットが敷かれたスペースが数ヶ所ある。昔フェリーに乗った時に見た造りと一緒だ。
先ほどから機体の動きが大きいな。今は45度右側に傾いているのが分かる。今度は左側。高度も上げたり下げたりしている。
どんな場所を通っているんだ?
正直に言うと飛行機はあまり好きではない。何故かと聞かれると、明確な答えは出ないが旅行する時は新幹線を選んでしまう。
今度は高度を下げているみたいだな。
あれ? 先ほどみたいに高度を下げたら今度は上げると思ったが、なかなか上がる気配が無い。
おいおい、もしかしてトラブルで落ちているのか?
周りにも客がいるが、ざわざわしてきた。
機体が左側に傾く。
着水ポイントに向かっている気がするな。どこか安全な場所に移動しないと。
やばい、いつの間にか膝くらいまで浸水しているし。
水の上には、いろいろな物が散乱していた。
とりあえず水位が上がっても溺れないように、できるだけ高い場所に移動するか。
目の前にあった壁の上に物を置くようなスペースがあった。
少し高いが近くにソファがあるから、あれに上がれば届くはずだ。
ソファに上がる。
「ちょっと待ちな!」
右側にいた母に制止された。
「そこにはアンデッドがいる。呪われるよ」
スペースの中を確認すると骨みたいなものがあった。
呪われるかは分からないが雰囲気が悪いのは感じるな。ここに入るのは諦めよう。機体は左側に傾いているから母がいる右側にオレも移動しよう。
「こっちに来てはダメよ、水に毒物が入っているわ。あっちに行きなさい、あそこならアンデッドが来ても防げるし毒物も大丈夫よ」
母が指を指した方を見ると、10メートルくらい先のカーペットの場所に人が集まって座っていた。
言われたとおり行ってみよう。
すごいな。
人が集まっている場所まで来たが、ここだけ浸水していない。
人が集まっている中に入り空いているスペースに座る。横を見ると、教会のシスターが着るような服を纏った若い女の人がいた。
聖女様だ。
なんとなく、そんな言葉が頭に浮かんだ。
きっと、この人がアンデッドを追い払ったり、ここだけ浸水しないようにしているんだ。
◇
ゲームの中では弱い部類に入るモンスターでも、こうして夢の中で会ってみると身の危険を感じます。
◇
6月8日
家を出て街の中を歩く。
途中、地下道があったので入り階段を降りる。
誰かに尾行されている? 後ろに気配を感じるな。
振り向くと2人の女性がいた。
「ついてきちゃった」
はぁ、気にしないで先を進もう。
いつの間にか周囲が岩でできており、洞窟の中にいるみたいだった。
中は明るいから問題なく進めるな。
こっちの道はなんだろうか?
右側にある脇道に入り中を確認すると、広い空間となっており、たくさんの道があった。
この道を進むか、でも迷う可能性もあるな。
下の方を見ると、30センチくらいの丸い電気を帯びたスライムが上がってきていた。
見た目は可愛らしいけど、あのスライム、オレのことを捕まえようとしている気がする。ここは逃げよう。
脇道を出て、元の道の先に向かって走る。
また脇道だ。今度は左側か。
脇道から先を見ると、緩い下り坂になっていた。50メートルくらい先に、また30センチくらいのスライムがいた。先ほどのスライムと違い少し異形で水色だった。電気は帯びていない。
早く進む道を決めないと後ろから電気を帯びたスライムが近づいてくるな。あの水色のスライムからは、危険な感じがしない。この脇道に入って電気を帯びたスライムをやり過ごそう。
脇道を進むに連れ水色のスライムと距離が縮まる。
ここは俺が食い止めるから行け!
スライムからそんな事を言われている気がした。
スライムの横を通り、先を進むと左に道が曲がっていた。
道なりに曲がると、今の道を横切る道があった。一応、誰が通っても見つからないように、道の脇にある岩を利用して隠れつつ前に進む。
あれは、何の集団だ?
スライムが数十体、通り過ぎて行くのが見えた。途中、ドレスを着た人間のお姫様がおり、縄を巻かれていた。
捕まっているお姫様を助けるんだ。
オレの脳裏に誰かからの声が浮かんだ。
◇
学生時代、こういうこともやった記憶があります。最初はなかなか上手く出来ないのですが、練習して本番では成功しました。
◇
6月9日
「体育祭に向けて、集団行動やるよ」
先生の声が体育館に響いた。
今は全校生徒が集められていた。
「じゃあ最初は、代表の人、前に来て」
各学年から代表に選ばれたと思われる20人くらいが前に行き、きれいに並んで行進を始める。
代表で選ばれることはあるな。全然乱れていない。
「じゃあ次は各クラスでやってもらうから並んで」
全校生徒が一斉にクラス毎に集まり並び始める。
並び終わっても雑談が広がっていた。
こんなに人数がいるから広がるのは仕方ないだろう。
少しして雑談が収まった。
「見てたけど、遅いよ」
1人の女子が真面目な声で言った。
きっとあの人が、今回の体育祭の代表なのだろう。
◇
現実では、そんな勇気が無いので夢の中で経験してみます。その経験のおかげなのか絶対に止めようと思えます。
◇
6月10日
目の前に勾配のある片側2車線の道路があり、歩道から周囲を見る。
地元の近くにも、こういった場所があったな。これは夢の中だな。チャンスだ。
右側から坂道を下ってくるバスが来た。
数メートルくらい近づいてきたところで、道路に出て自分の身体をぶつけるようにジャンプする。
「あれ?」
直前でバスが急に遅くなった。時間がゆっくり流れている感覚だ。
これって、バスに飛びつこうとしているみたいじゃないか。しかも丁度いい場所に取っ手が着いているし。そういえば、このバスこっちに向かっていたよな。普通フロントガラスがあって運転手が見えるはずだけど、今見える面はバスの後側だな。そんなことより、失敗した。
バスが止まると時間がゆっくり流れる感覚が無くなった。
バスの扉が開いたので乗り込む。
席に座るとバスが走り始める。窓から外を見ると、オレが今住んでいる街と似ている場所だった。遠くには大型ショッピングモールやビルが立ち並んでいるのが見える。
知っている場所が近くにあったら降りるか。
3つくらいバス停に止まったが、なかなか知っている場所が近くにない。
あれ? だんだん遠くにある建物も見たことの無い場所になってきたな。
ちょうどバス停に止まったので降りる。
◇
実際にこのような国もあるのでしょうか? 少し気になります。
◇
6月11日
いつもやっているスマホアプリの音ゲー画面が開かれていた。
ゲームが始まりそうじゃないか。
画面の上からアイコンが落ちてきたのでタイミングを合わせてタップする。
次は長押しのアイコンが左右の端に2つ並んで落ちてきたので、タイミングを合わせて長押しする。途中長押しのラインがずれるパターンになったため、ラインに合わせてずらす。
あれ?
長押しはしていたのに途切れてしまった。
こういうことあるんだよな。
次はアイコンが5つ並んで落ちてきた。
このパターンは初めて見た。やばい。
どの指で押すか迷ってしまい、押すタイミングを逃してしまった。
やってしまった。あれ? 音ゲーをやっていたのに、今度はパズルゲームになっているじゃないか。
スマホを縦に持ちかえる。
6掛ける6マスに4種類のアイコンが散らばっていた。
これは、オレが知っているゲームと同じように同種のアイコンを3つ縦か横で揃えれば良いんだよな?
とりあえず下1段目のアイコンを1つ押しつつスライドさせ、同種のアイコンを横3つ揃える。
揃ったアイコンは消え新たなアイコンが上から落ちてきた。
よし、オレの知っているゲームと同じみたいだな。次はこのアイコンを動かすか。
また下1段目にあった1つのアイコンを動かす。
あれ? 動かない? 何か条件でもあるのだろうか。
他のアイコンを適当に触っていくと1つだけ反応した。
このまま離さないように揃えないと。
なるべく他のアイコンも3つ揃えながら動かす。
よし上手くいったな。
コンボとなりアイコンが先ほどよりも消えた。
なんだ、このアイコン?
消した分、上から新たなアイコンが落ちてきたが、最上段にあった1つのアイコン上にドラゴンの顔が描かれていた。
こいつは消したほうが良いみたいだな。
ドラゴンの顔の背面にあったアイコンと同じアイコンを3つ揃えて消す。
画面にはクリアという文字が表示されていた。
終わったみたいだな。
画面から目を離し周囲を見る。
ここは倉庫の中か?
後ろを振り返ると、5メートルくらい先に鎧を纏った男が数人と普段着のような女が1人集まって地面を見ていた。
何を見ているのだろうか?
集まっている場所に行き下を見ると、直径5センチほどのナットや、その穴に合いそうなボルトがいくつも落ちていた。
ただのナットとボルトか。なんだ!?
急に鎧を纏った男達や普段着を着た女がしゃがみ、落ちていたナットやボルトを拾い始めた。
ただ落ちている物を拾っているみたいな感じではないな。やけに急いで拾っているな。もしかして、先ほどやっていたパズルゲームのドラゴンを消したから、その報酬とか? いや、それはないな。
「なぜ、そんなに急いで拾っているんですか?」
「早く国に納めないと、この国から追放されるのです」
女が拾いながら答えてくれた。
ここって日本じゃないのか? ここにいる人達の顔を見た限りは日本人のように見えるけど。国から追放されるってゲームの世界にでもいるみたいだな。
◇
テスト当日になってから、もう少し勉強をすれば良かったと思うことがあったのは私だけでしょうか?
◇
6月12日
教室か。勉強しないとな。
教科書を開くと見たことのない車のハンドルのような絵が載っており、各部品の名称が書かれていた。
正直、覚えられる気がしないな。
席を立ち教室を出て廊下を歩く。
上に行ってみるか。
階段を上がると広いスペースになっており、所々にパーティションが立てられていた。
「俺は90点だったぜ」
左側の方から友達と話す男の声が聞こえた。
あれはクラスメートだな。
「あっ、近江はこっちだよ」
右側からクラスメートがパーティションの前で呼んでいた。
クラスメートと一緒にパーティションで囲まれた中に入ると机と椅子が各3つあり、1つは担任の先生が座っていた。
「1割くらいが落ちるらしいよ」
隣にいたクラスメートが小声で教えてくれた。
どうやら、これからテストを受けるみたいだな。
「先生、テストを受けます」
「何も持っていませんね?」
「はい」
制服の前と後ろのポケットを出して見せる。
「じゃあ、座ってください」
言われたとおり席に座ると、机に10枚くらいの右上がホチキス留めされた冊子が置かれた。その他に筆記用具と置き時計も置かれた。
「では、始めてください」
冊子を裏返し1枚目を開くと、先ほど教科書に載っていたハンドルの絵があり各部品の名称を答える問題だった。
しまった。ちゃんと覚えれば良かった。全然分からない。
◇
このような生活を送ってみたいものです。
◇
6月13日
「今日は強大な魔法を習得するため、他の学校の生徒と協力して取り組んでもらいます」
会議室に集められたオレを含めて20人程の前で先生が話す。
「これから2つのチームに分かれてもらいます。1つは、我が学校で1番魔法が得意な加藤さんにチームのリーダーをやってもらい、もう1つは他の学校より来ていただいた西蓮寺さんにリーダーをやってもらいます。リーダーは各々のチームメンバーに指導してください」
うちの学校は加藤さんか。
ショートヘアで明るく活発な女の子で、男女どちらからも人気がある。他の学校から指導に来たのは、髪が肩にかかるくらいの長さで途中からカールされている女の子だ。おとなしそうな雰囲気で、お嬢様みたいだ。
「近江くんは、こっちのグループに入ってください」
先生に言われ、西蓮寺さんのグループに入ることになった。
「近江です。よろしく」
「西蓮寺です。こちらこそよろしくお願いします」
早速、会議室を出て体育館に入り、2つのグループに分かれて練習を始める。
西蓮寺さんは、最初に呪文とどのような感覚でやれば上手くできるか説明してくれた。その後、各々が魔法の練習を始めていく。
どのくらい時間が経っただろうか。
自分のグループ全体を見ると、なかなか上手く出来ていない雰囲気に見えた。西蓮寺さんも察しているようだが、違う学校だからなのか、どう接して良いか分からないようで困っている雰囲気だった。
まあ、近くで練習している加藤さんのグループを見てみると、余計に自分のグループが上手く出来ていないのが目立つな。
加藤さんは男女関係なく同じように接しており、どんどん悪いところを指導している。
次の日も体育館に集まって練習を始める。
加藤さんのグループは、もう今回の課題である全員での詠唱に入ったみたいだな。
夕方になっても、自分のグループは進展が見られなかった。
あまり自分が動くのは好きじゃないけど仕方ないか。
「西蓮寺さん、ちょっと休憩しませんか?」
「はい」
落ち込んでいるようだな。
「じゃあ、ついてきてください」
さて、休憩スペースにでも行ってみるかな。
この学校には教室4つ分くらいの広さがある食堂みたいな場所がある。長机に椅子があり自販機も設置されている。
何か飲み物でも飲んで少し話してみるか。
「斗夢くん、私も行く」
「おう、分かった」
加藤さんがついてきてくれるのは非常に助かる。会話をスムーズに進めてくれるだろう。
休憩スペースに入り飲み物を買って椅子に座る。少し喉を潤す。
「西蓮寺さん、違う学校の人とどう接していいのか大変かもしれませんが、同じ学年同士です。遠慮せずにどんどん指導してください」
「はい」
「西蓮寺さんは可愛いですから、男子なら声をかけられて嫌に思うやつなんていないですよ」
「はあ……、って、えぇぇぇぇ!?」
急に西蓮寺さんが大きい声を出し顔が赤くなっていた。
あれ? どうしたんだ急に?
その後は、加藤さんが上手く会話をして、きりのいいところで体育館に戻って練習を再開した。
西蓮寺さんは何か吹っ切れた雰囲気だった。
詠唱を練習していた1人の男子に近づき、こうしたら良いですよと一生懸命教えていた。男子は照れながらも返事を挟みつつ一生懸命やっていた。その後も次々にグループメンバーに指導していき、全体が良くなっていくのが目に見えて分かった。
良かった。上手くいきそうだな。
「近江くん、ちょっと来てもらえますか」
「なんですか先生?」
先生の後についていく。
会議室に入ると、筒状に丸められた紙を渡された。
「見てください」
丸められた紙を開いて書かれた文字を読む。
西蓮寺さんの学校からのようだな。来週の月曜日までに魔法が上手くいかない場合は、西蓮寺さんを学校へ帰すこと、か。今日は日曜日だから8日後か。良くはなってきているが、最終課題はグループ全員で呪文を唱えて魔法を発動させることだから微妙だな。
◇
何か重要な用事があるのかもしれませんから、すぐに決めつけないようにしています。
◇
6月14日
「ねえ、近江。カードゲームするからカード貸して」
同級生の女子に頼まれた。
まあ、別に今すぐ使うものでもないから貸してもいいか。
「はい」
カバンの中からカードの入ったケースを取り出し渡す。
「ありがとう」
受け取った女子は教室を出て行った。
さてと。
廊下を出ると、あちこちで文化祭の片付けをしている生徒がいた。
オレはどうしようかな。
「手の空いている者はグラウンドに集合するように」
先生が放送で呼び掛けた。
グラウンドに行ってみるか。
どうやら外の片付けをするみたいだけど、あまり集まっていないな。みんな学校の中の片付けで来れないのか? けど、ここに来るまで片付けしている人はいたが、そんなに多くいなかった気がする。もしかして片付けもせずに帰ったやつもいるのか?
◇
パッと目につくものは気になります。場合によっては即決で買ってしまいます。
◇
6月15日
ちょっと喉が渇いたな。
自販機が無いか建物の中を歩いて探す。
あそこにありそうだな。
通路脇に光が広がっていた場所へ行くと、クレーンゲームが1台と自販機が20台近く置いてあった。
やけに多いな。まるでどこかの大きなホテルにいるみたいだな。
自販機の本体側面には、よく知っているメーカーの文字が書いてあった。
知っているメーカーなのに売っている商品は見たことないラベルばかりだな。できればペットボトルで炭酸が飲みたい気分だ。
「これは何だろう?」
白のラベルに黒字の筆記体で書かれていた商品が気になった。近づいてよく見るとミルクティーと筆記体の下に小さくカタカナで書かれていた。
炭酸じゃないのか。ラベルは気になったので少し残念だ。
◇
こんな大会があれば誰でも参加できそうですね。
◇
6月16日①
実家の隣にある庭だな。
「なあ、兄貴」
弟が買い物袋を開き5、6本入ったペットボトルのジュースを持ってきた。
これはオレが買ってきたやつだな。
「どっちにする?」
袋の中から2本取り出して見せてくる。
どっちも飲みたい気分ではないな。
「袋の中のやつは?」
「凍っているから飲めない」
袋の中のペットボトルを確認すると凍っていた。
凍らせたのか? まあ外は暑いし、すぐに溶けるか。
「これにするよ」
袋の中から1本取り出すと、弟は家の中へ行ってしまった。それと入れ替わりで妹が買い物袋を持ってきた。
「ねえ、どれにする?」
袋の中を確認すると、トレイに入った鮭の焼き魚が3パックとホッケが2パック、唐揚げが入ったパックが1つあった。
これもオレが買ってきたやつだな。
「なんだこれ?」
鮭が入った3パックのうち1パックのラップが開いており食べかけだった。
誰が食べたんだ?
顔を上げると、妹がいつの間にか箸を持っており、身をつまんで食べる。
おいおい、お前かよ。
妹が笑顔になった。
いやいや、そんな顔したからってダメだから。
◇
6月16日②
今日は陸上競技場で、けんけんぱ大会だ。
予選を終えてトラック内で休憩する。
「あなた、凄いわね」
誰かの母親だろうか? 知らない人だな。
「はあ、ありがとうございます」
母親は、どこかへ行ってしまった。
「おい、ほら」
いきなり缶の飲み物が飛んできた。
上手く取れずトラック内に転がってしまった。
近くにいた別の選手が投げてきたが、何も投げることはないだろう。
拾った缶を確認するとコーヒーだった。
できればスポーツドリンクを飲みたかったな。
「他のやつがいいなら、あそこに入っているぜ」
指をさした方にクーラーボックスのようなものがあった。
せっかくもらったがコーヒーの気分ではないので、クーラーボックスを開け他の飲み物を選ぶ。
「そろそろ次のレースに行くぞ」
先ほど缶を投げてきたやつが呼んでいた。
飲んでいる暇はないな。
◇
調べてみたら関連のない道路でした。見間違いでしょうか?
◇
6月17日
「こういう車もあるぞ」
隣にいた父から雑誌を見せられた。
いや、見せられても最近車を買ったばかりだからな。
「オレ、これから会社に行かないと」
車に乗り会社に向かう。
しばらく道路を走っていたが、途中から見たことない景色が広がっていた。
あそこで分岐しているみたいだな。
正面に道路案内図があった。
右は4号線で左が191号線か。なんか以前にもこんなことがあったような気がする。
たしか左に行ったら、だんだん道が狭くなって迷った覚えがある。
右に進むか。
しばらく走ると片側2車線の道路が続いていた。他にも車が走っている。
こっちで良かったみたいだな。
いつの間にか会社のオフィスにいた。
なんだ?
スマホの着信音が鳴った。
誰からだろう?
表示を見ると父からだった。
「もしもし?」
「おう、良かった。急ぎの用事だ。お前、確定拠出年金って知っているか?」
「はっ?」
◇
行間①
今日の夢を綴れば夢日記が1ヶ月だな。今のところ身体に違和感は無い。あの時、スマホで調べた内容だと1ヶ月で夢と現実が区別つかなくなると書いてあった。急に変化があると少し怖いが、楽しみである気持ちのほうが大きい。もしかしたら、明日から夢の中で過ごすことになるのだからな。
◇
たまに無性にやりたくなることがあります。普段はそうでもないのに、不思議なものです。
◇
6月18日
ここは服屋だな。
あたり一面、服しか見当たらない。
服屋にしては広い店だな。なんだこれ? なんでオレ、アイロンなんか持っているんだ……、服にアイロンかけたい。どこかにアイロンをかけてもいいような服はないだろうか。
店内を歩きながら探す。
アイロンから勝手にスチームが出た。
アイロンもやる気満々だな。これは! オレが寝間着にしているジャージの下じゃないか。
近くにあった板の上にジャージを乗せアイロンをかける。
これじゃあ全然足りない。もっとアイロンをかけたい。
アイロンから、また勝手にスチームが出た。
少し弱くするか。
強から弱に切り替える。
さて他にないだろうか。うおっ!?
弱に切り替えたはずなのに、アイロンから勢いよくスチームが出た。
◇
悪いことをした記憶はありませんが、追いかけられると逃げてしまうのは必然な行動と思います。
◇
6月19日
早くこの街から離れないと。1番早く離れられる移動手段は電車だな。駅に向かうか。
街中を走り駅に向かう。
「いたぞ!」
黒服に黒いサングラスをした数人が、オレの方へ向かってくる。
走りながら後方を見ると、追っかけてくるやつらは銃を持っていた。
あんなので撃たれたら冗談で済まないぞ。
銃声が聞こえた。
なんとかして離さないと。そうか、建物の上を使って逃げるか。
地面を蹴り上に飛び、近くにあった5階建ての建物の屋上へ降りる。
階段を使うしか相手は追って来れないだろう。その間に距離を稼ごう。
なんだ、あいつボスか?
追ってきたやつらに何か魔法をかけているように見える。
えっ!?
追ってきたやつらがジャンプし屋上に届きそうになった。
やばい、早く逃げよう。
◇
現実で仕事が忙しいと夢の中でも仕事をしています。勘弁して欲しいです。
◇
6月20日
「お疲れ様です」
担当している建物内工事の進捗を確認するため現場に来た。
今日は2社が入っている予定だな。
「あの」
「どうしました?」
「これって手作業で施工ですか? その場合、費用が追加になりますけど」
この人の会社は、別の担当者が対応しているのだけど、そんなこと素直に言えないよな。
「ちょっと確認しますので、待ってください」
担当者に電話をしてみたが、なかなかつながらない。
どうしよう。
◇
世の中には色々な人がいます。面倒な相手がいたら、関わらないのが1番だと考えます。
◇
6月21日
車を買った店で点検をしてもらうため店に向かう。
店の駐車場に車を停めて、店の中に入ると、車を買った時に担当してくれた女性と、もう1人いた。
人が少ないな。いつもなら店員がもっといるのに。
店内を見ると、50代くらいの夫婦が2組と40代くらいのおじさんがいた。今は夫婦の1組が店員と話していた。
「どのような車をお探しでしょうか?」
「この車で」
夫婦の男性が店内に展示されていた車を指さしていた。
既に決まっているのか。
「他にもオススメの車がございますが」
どうやら売りたい車があるみたいだな。
「ちょっと君」
オレのことか? 店内にいた40代くらいのおじさんか。なんだろうか。
「何か?」
「君も車を買いに来たのか? どうやらお金を持ってなさそうだが」
口調が馬鹿にしているようで、イラッとくるな。
おじさんの手を見ると札束を握っていた。見たところ100万くらいだろう。他の夫婦も100万を持って買いに来たのがなんとなく分かった。
こういうやつの相手をするのは面倒だ。しばらく自分の順番になりそうにないな。
店を出て車に乗る。
さて、どうしようかな。
◇
いつも、今度仕事の夢を見たら普段できないことをやってやると思っているのですが、普通に仕事をしてしまいます。
◇
6月22日
ここは監視室か。
オレの隣には上司が1人いた。
この人、以前一緒に仕事をしていた上司だな。
「お疲れ」
監視室の入口から、以前一緒に仕事をしていた別の上司が来た。
この上司、怒ると怖いんだよな。
「三上くん」
怒ると怖い上司が、オレの隣にいた上司に声をかけた。
「流し台にある食器、片付けてから帰ってね」
隣にいた上司が立ち上がる。
おそらく流し台に行こうとしているな。そういった雑務はオレの仕事だ。
「オレが行きます」
流し台に向かう。
「こんなにあるのか」
流し台を見ると、水を張った桶に溢れるくらいの皿やコップが入っていた。
洗わないと帰れないから、さっさとやるか。
スポンジに洗剤をつけて皿を手に取り洗う。
◇
外に出ないほうが良いということでしょうか?
◇
6月23日
学校の体育館か。
オレの周りには同級生が輪になり床に座っていた。
先生もいるな。これからクラスで話し合いでもする雰囲気だな。
「では何かある人」
先生の問いかけに、ほとんどの人が手を挙げている。
「じゃあ、佐藤さん」
先生の左側3人目にいた、オレの正面あたりにいる女子が指名された。
「設備の80年計画がありますけど、もう少し時代に合わせた余裕をもった計画に見直しできないでしょうか?」
確かにそのとおりだ。
「オレも……」
そう思うと言おうとした瞬間、佐藤さんと先生が同時に驚いた顔でこちらに指をさしてきた。
なんだ急に!? オレ何かしたのか?
オレの隣にいた男子が前に出る。どうやらオレではなく、この男子に指をさしたようだった。
前に出た男子がこっちを振り向く。
えっ!
男子の頭の上に毛虫が乗っていた。
反射的に離れてしまった。
いつの間にか、みんながいる輪から20メートルくらい離れた場所にいた。
なんだ?
全員がこちらを向き無言のまま両手を横へ広げた。
どこかで見たことあるポーズだ。
「「ステイホーム」」
全員が一斉に声を上げた。
どういうこと!?
◇
夢では平然と接することができますが、現実だと、そうはいかないと思います。
◇
6月24日
石造りの建物か。
壁と床、天井も石のブロックで造られており、ところどころ植物の根が生えていた。
なかなか前に進めないな。
オレの他に数人で建物の中を進んでいく。
あれは鏡か? なんでこんなところに?
左側の壁に設置してある鏡に近づく。鏡の周りにも根が生えていた。
何かありそうだな。
周りに生えていた根を見ると、あまり元気が無さそうな感じだった。
そういえば、植物用の栄養が入っている液体を持っていたな。
鞄から取り出し、根に液体を注ぐ。
「わっ!?」
立っていた石床が急に崩れ落ちた。
下に落ちると思ったが、途中で崩れが止まった。
植物の根が崩れを抑えているようだな。助かった。
崩れていない石床に移動する。どうやら他の人も無事だったようだ。
他の人には内緒だよ。
どこからか声が聞こえた。周りの人を見るが何か聞こえた素振りがない。
もしかしてオレにしか聞こえてないのか。
分かった。
心の中で返事をする。
良かったら記念に写真でも取らないか。
思い出として何かを残したかった。
いいよ。
了解の返事をもらえた。
カメラを出して、レンズを自分に向けながらボタンを押す。カメラから出てきた写真を見ると、オレの隣にボヤけた白い人の形をしたものが写っていた。
やはり幽霊みたいだな。
それじゃあ、オレたちは行くから、ありがとう。
先へ進むと開けた部屋があった。
自分が立っている場所の少し先には、急な下り坂になっており、その先は平坦な床だった。
下の平坦な床には、習字に使う半紙のような巨大な紙が3枚並べられていた。
「俺達が選ばれたんだ。やるしかない」
オレの隣にいた同級生が急に走りだし、下り坂を降りていく。
半紙のような巨大な紙が置いてある場所まで行くと、墨汁のような黒い液体を撒かす。
そんなことしていいのか? あれ、あいつら何者だ?
下の右側にあった出入口から、3人の男が入ってきた。
歴史の教科書でみたことあるような和服を纏っているな。そんなことより、このままでは、あの2人が危ない気がする。
いつの間にか手に槍を持っていた。
これであの3人の男を倒すか。
止めろ。
急にどこからか声が聞こえた。
じゃあ、どうしたらいいんだ。そうだ、あの幽霊ならどうにかしてくれるかもしれない。
鏡がある場所に戻る。
あれ? たしかこの辺だった気がするが……、
崩れたはずの石床が元に戻っていた。
場所を間違えたか? いや、あそこに鏡があるな。
もう1度助けてくれないか。
鏡の周りにあった根を両手で触り声をかける。
「うわっ!?」
急に根が成長を始め、どんどん太くなっていく。
「あれ?」
勢いが弱まり、根が萎れていく。
先ほど使った植物用の栄養剤はもう無い。どうしたらいいんだ。
「誰だ?」
鏡に男の姿が現れ、黒い野球ボールくらいの大きさの球が鏡から出てきて根に落ちていった。
すごい。
根が元気になり始めた。
誰だか分からないが良かった。
お礼を言おうと鏡を見たが男の姿が消えていた。
近くのお寺に向かって。
この声は石床が崩れた時に聞いた声だ。
先ほども助けてもらったんだ。言うとおりにすれば、あの2人を助けることができるはずだ。
石造りの建物を出て、しばらく走ると片側2車線の道路に出た。
左側に進むとお寺が3つあるな。
なんとなく地図が頭に浮かんだ。
それよりも現実ではありえない早さで走れるな。
「これからどこへ行くんだい?」
右側に並走しながら聞いてくる若い男がいた。
こいつアニメで見たことあるやつだ。
「幽霊に言われてお寺に向かっている」
若い男は驚いていた。
「君は夢で見た幽霊を覚えているんだね」
夢で見た? こいつ何を言っているんだ?
◇
このような夢を見ると、現実で何か起こるのではないかと心配になります。
◇
6月25日
今日は2社が屋外の工事をやる予定か。
自分が担当している仕事現場へ行くと2台のショベルカーが来ていた。1台は男性が操作をして、左側の廃棄品の山を掘っており、もう1台には女性が操作をして、右側の廃棄品の山を掘っていた。
山は左側の方が高かった。だんだん左側のショベルカーが中央に寄ってきた。バケットが上がり、右側のショベルカーの運転席上部にあたる雰囲気だった。
「ストップ! おい、ストップ!」
男性に声をかけるが全然気づかない。
下の状況が見えていないのか。
そのままバケットは右側のショベルカーの運転席上部にあたり、右側のショベルカーはバランスを崩して倒れ、運転席から女性が放り出された。さらに廃棄品の山が崩れ女性とショベルカーが埋もれてしまった。
やばい、警察に連絡しないと。
会社の携帯で番号を入力するが、上手く番号が入力されない。
「なんでだよ」
ボタンを押すが違う番号が入力される。
「何かあったんですか?」
あっ、警察だ。良かった。
状況を説明する。
「分かりました」
状況を説明している間に女性は助けられたらしい。
「これはしばらく休工だな」
会社に戻り工事の話し合いになり、しばらく休工することが決まった。
会社を出て、立体駐車場に停めていた車に乗り、駐車場の出入口から出ようとしたところで、中学の同級生と1人の男が右側に立っていることに気づいた。
なんであんなところに立っているんだ?
近くに寄って窓を開ける。
「やばいらしいぜ。捕まったらしい」
いったい何のことか分からないが忠告っぽいな。
「分かった。ありがとう」
それよりも、いつの間にか左側にいた男3人が気になった。片手をボンネットの上に乗せ体重をかけている。
「おい、手を寄せろよ」
買ったばかりの車をへこまされるのは困る。
全然、手を寄せる気配が無いな。
「おいっ」
1人の男が、窓が開いていた助手席側から買い物袋を投げ込んできた。中はゴミだった。
「ふざけるな」
◇
こんな場面に出くわしたら、冷静に判断して動けないと思います。
◇
6月26日
大きな建物だな。まるでホールみたいだ。
複数ある扉の1つから建物の中へ入ると広いフロントがあった。
何かソワソワしている雰囲気だ。なんだろう?
急に建物の出入口を含め、ガラス張りになっている面が防犯シャッターで覆われる。
何か事件でも起きたのか? それにしては犯人らしき人物が見当たらない。けど、いつまでも建物の中にいるのはまずいな。どこか空いている出入口は無いだろうか。それと警察を呼ばないと。
周囲を見渡し探していると、小学生低学年くらいの男の子がフロントを歩いていた。
「そこの君、ここは危ない。今すぐ外に出るんだ。それから警察を呼んでくれないか」
近寄って小さい声で話しかける。
「分かった」
男の子は頷き走っていった。
さて、オレもここから出ないと。おっ! 一部のシャッターが開き始めた。
よし、あそこから出よう。
建物を出てなるべく遠くへ離れる。
ここまで離れたら大丈夫だろう。なんだ?
歩いていると背中に硬いものが当たったのを感じた。
気のせいか?
そのまま歩き続けると、また背中に硬いものが当たるのを感じた。後ろを振り返ると、刀を持った女性がいた。
「建物に戻れ」
こいつが犯人か? 言うことを聞かないと斬られる雰囲気だな。
◇
今考えると、不用心な行動でした。夢で良かったです。
◇
6月27日
そろそろ寝る時間だな。歯磨きでもして寝るか。
なんだ?
歯磨きをしていると、ドアチャイムの音が聞こえた。玄関へ行きドアを開ける。
「すみません」
30代から40代くらいの男が3人いた。
「はい?」
「今日泊まる予定の者ですけど」
「えっ?」
うちは民宿ではない。普通の家だ。
けど、この人が泊まる場所を間違っているようには感じられない。とりあえず入ってもらうか。
「どうぞ」
リビングに案内する。
「遅くなってしまいすみません。まずはご飯をいただくことは可能でしょうか?」
「ちょっと待っててください。確認してきます」
父と母の部屋に行き中に入ると、布団を敷いて2人とも寝ていた。電気は点いたままだった。
「母さん、なんか泊まりに来た人がいるけど、ご飯あるの?」
母が目覚め上半身だけ起こす。
「ご飯は炊飯器にあるわよ。味噌汁は冷蔵庫の中」
えっ? それだけなのか?
「おかずは?」
「それも冷蔵庫の中にあるわよ。もう、急だったから父さんが急いでお惣菜を買ってきたわよ」
その言い方だと、来た人達の泊まりを承諾したのは親ではないらしいな。かといってオレも記憶が無い。
「分かった」
とりあえず、簡易テーブルでも用意するか。近くに3つ立てかけられていた。
3人だし1番大きいやつじゃないと充分ではないな。
1番大きいテーブルを持ち上げる。
◇
広い芝生で寝転んで、ゆっくりしたいものです。
◇
6月28日
今日は仕事で、ある場所の測量に向かう予定だ。
会社の車にオレを含めて4人が乗り込む。
「待ってくれ」
同じ部署の3人が車に乗り込もうとしてきた。
この車、4人乗りだよな。
車の中をよく見ると7人が乗れる車だった。
車には乗れるけど、今日の仕事に7人もいらない。
話し合いをして予定通り、4人で行くことになった。
出発してすぐに目的地に着いた。
芝生が広がっていた。まるでキャンプ場みたいな場所だ。
記録用紙を見ると測定箇所は20あった。
さて、始めるか。
これで3箇所目の測定が終わったな。
◇
夢の中だからできることです。失敗してしまいましたが。
◇
6月29日
見たことない住宅街だな。
知っている場所がないか歩いてみる。
これは夢の中だ。
近くから車が走る音が聞こえた。
近くに道路があるみたいだな。
住宅街の道路を進み左に曲がると4車線の道路に出た。車も結構走っていた。
これは試せる。
道路に出て乗用車にぶつかろうとしたが避けられた。
タイミングが早すぎたか。
今度は大型トラックが来た。タイミングを計ってトラックの正面に飛び出す。
あれ?
いつの間にかフロントに張り付いていた。
失敗か。
張り付いたまま、4、5百メートル走ったところで飛び降りる。
◇
やばいと思ったら関わらないのが1番だと思います。
◇
6月30日
仕事終わりに歩道を歩いていると、後ろから集団で歩いてくる人達に追いつかれた。
そのまま追い抜かれると思ったが、歩くスピードがオレと同じになり集団の一部となった。
「お疲れ」
パーカーを着てフードを被った顔が見えない1人から声をかけられた。
この声は、オレの祖父だな。
顔は見えないが間違いないだろう。
他の人達を見ると、色は違うが全員同じパーカーを着てフードを被っていた。
「おい、この後どうする?」
祖父とは違う集団の1人が全員に問いかけた。声や口調からして、オレと同じくらいの歳でチャラそうな感じがする。
「俺、車のキー持っている」
「「おぉー!」」
別の1人が答えると他の人達から期待が含まれた声が上がった。
この車のキーを持っていると言ったやつ、免許を持っているように感じられないな。この場にいたくない気持ちだ。
歩くスピードを上げ、集団から離れる。
◇